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ラグビー コラム 2023年10月2日

【ハイライト動画あり】南アフリカ、プール最終戦のトンガ戦に勝利。プールBの首位に立つ。ラグビーワールドカップ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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トンガのシピタウ

ラグビーワールドカップ2023はいよいよプール戦の終盤に入り、10月1日(日)はマルセイユの「スタッド・ドゥ・マルセイユ」で、プールBの南アフリカ代表世界ランキング3位)vs.トンガ代表同15位)が激突した。

大会連覇を狙う南アフリカ代表はアイルランドに負けたものの、最終戦でボーナスポイントを得て勝利し、優位な立場に立ちたいところ。ジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)は、アイルランド代表戦からFW(フォワード)、BK(バックス)合わせて12名の先発を変更した。

50試合目のキャプテンを務めるFLコリシ

引き続き先発するのは、キャプテンとして50試合目となったFL(フランカー)シヤ・コリシ、LO(ロック)エベン・エツベス、NO8(ナンバーエイト)ジャスパー・ヴィザの3人のみとなった。

南アフリカのスタメン

FW第1列はPR(プロップ)オックス・ンチェ、ヴィンセント・コッホ、HO(フッカー)デオン・フォーリーの3人で構成、ドゥエイン・フェルミューレンとコリシがFLに入った。

BKは総入れ替えとなり、追加招集されたSO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラードが昨年8月以来のテストマッチ復帰となり、SH(スクラムハーフ)コーバス・ライナーとハーフ団を組んだ。WTB(ウイング)マカゾレ・マピンピ、FB(フルバック)にはウィリー・ルルーと日本でプレー経験のある2人が入った。

リザーブにもLO/FLフランコ・モスタート(三重ホンダヒート)、FLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)と、CTBジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)とリーグワン所属の3選手が控える。

一方のトンガ代表はアイルランド、スコットランドに敗れ連敗。勝ち点をまったく取れず、プールBの4位と厳しい状況にある。トウタイ・ケフHCは、FW1名、BK2名の3名の先発を変更した。

トンガのスタメン

FWはゲームキャプテンのPRベン・タメイフナ、HOパウラ・ヌガウアモ、LOレヴァ・フィフィタらが引き続き先発。BKは、SHオーガスティン・プル(日野レッドドルフィンズ)とSOウィリアム・ハヴィリのハーフ団、CTBピタ・アーキと元オールブラックスのマラカイ・フェキトアの2人、FBにはワールドカップ後に静岡ブルーレヴズでプレーするシアレ(チャールズ)・ピウタウが務める。

ラグビーワールドカップ2023 フランス大会

【ハイライト動画】プールB 南アフリカvs.トンガ|激しいフィジカルバトルを制したのは南アフリカ

リザーブは元ワラビーズのLOアダム・コールマン、朝日大学出身のFLシオネ・ヴァイラヌ、キャプテンのSHソナタネ・タクルアらが入った。

ともにフィジカルに自信があるチーム同士の激突は、序盤から激しい戦いとなった。先制したのはトンガ代表だった。PRタメイフナがボールキャリーし、相手のオフサイドを誘い、前半3分、SOハビリがPG(ペナルティゴール)を沈めて3点を先制する。

南アフリカ代表もすぐに反撃し、敵陣のモールで反則を誘うと、相手の隙を突いてSHライナーがクイックタップから右サイドに持ち込みトライ、SOポラードも難しい角度のコンバージョンキックを決めて、7-3と逆転に成功。

果敢にチャレンジするトンガ代表はその後、相手陣に攻め込む時間帯が続くが、相手のディフェンスの壁を突破することができない。すると20分、南アフリカ代表はオープンサイドハイパントキックから相手にプレッシャーをかけて、ターンオーバーに成功。CTBカナン・ムーディーが抜け出し、トライを上げて14-3。さらに32分はモールからHOフォーリーが押さえて21-3とリードを広げる。

突進するPRタメイフナ

22m内のアタック回数では負けていなかったトンガ代表は38分、モールを起点に、最後は体重151kgのPRタメイフナが左中間にねじ込んでトライ。21-8で南アフリカがリードしてハーフタイムを迎える。

後半序盤もフィジカルバトルが続き、スコアボードがなかなか動かない。ただ、総合力で勝る南アフリカ代表は、相手陣奥のラインアウトから連続攻撃を仕掛けて、9分、最後はCTBクリエルが右中間にボーナスポイントが確定する4つ目のトライ。ゴールも決まって28-8とリードを広げた。

トンガ代表も13分にFWで攻めた後に、BKで展開しWTBフィニ・イネシがトライを挙げて28-13とした。だが、南アフリカ代表も18分、相手のミスを見逃さず、ターンオーバー後、すぐにスペースに攻めてFBルルーがトライ。23分には途中出場のHOマルコ・ファンステーデンがトライし、途中出場のSOマニー・リボックがゴールを決めて42-13と勝負を決めた。

トンガ代表は途中出場のSOパトリック・ペレグリーニがトライを返したが、終了間際に南アフリカ代表も途中出場のNO8スミスが中央に飛び込みトライ。結局、7トライを重ねた南アフリカ代表が49-18で快勝し、勝ち点を15に伸ばしてプールB首位に立った。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は南アフリカ代表HOフォーリーが選ばれた。「いい試合だった。タフな試合になることは予想していた。僕はキャリアの早い段階でフッカーをやっていたので、それほど悪くはなかった。今日はうまくいったし、うれしい」。

「ここ2年間、ボクスの選手たちと一緒に練習してきた。今日はその成果が出た。(試合途中で)HOからバックローに移動したのはかなり大変だった。でも年の割にはいい仕事ができたんじゃないかと思う」と振り返った。

3連敗となってしまったトンガ代表のケフHCは「試合前に私たちが強調したことのひとつは、誰もが誇りに思うようなパフォーマンスをすることだった。(強い相手とプレーすること)それがラグビーというものだ。いつだってベストの相手とプレーしたい。だから、今日はみんなにとって素晴らしい経験になった」。

「BK陣が我々の強みだし、FW陣もとても好調だ。どんどん良くなっている。来週が最高のパフォーマンスになると本当に信じている」と最終のルーマニア代表戦を見据えた。

自らトライも取ったゲームキャプテンのPRタメイフナも「ハードな戦いだった。このチームには多くのタレントがいるわけではないが、このタフなトーナメントに参加し、あのようなパフォーマンスを見せることができた」。

「南アフリカは世界最高で、相手と同じようなフィジカルな戦い方をしないといけない。もっと長いフェイズにそれをやっていれば、結果を出せていたかもしれない。でも、私は選手たちを誇りに思う。観客は本当に素晴らしかった。みんなに感謝したい。しっかりリカバリーして、来週に臨みたい」と前を向いた。

プール戦4試合を終え、準々決勝進出へ大きく近づいた南アフリカ代表のニーナバーHCは「トンガは、何もないところから何かを生み出すことができる。なぜなら、彼らの多くはニュージーランドやオーストラリア代表としてプレーした経験があるからだ。彼らはトップレベルのラグビーがどういうものかを理解している」と試合を振り返った。

決勝トーナメント進出はまだ確定していないが、「(準々決勝進出はアイルランドとスコットランドの結果を)待つしかない。2019年も早々にプール戦を戦い終えて同じような状況にあった。その時も日本代表との準々決勝の前に12、3日あったような気がする」。

「さらに来週にならないと対戦相手も決まらない。なので、まずは選手たちに数日のオフを与えて、メンタル面でもリカバリーして、それからトレーニングを再開する」と語った。

キャプテンFLコリシは「タフでフィジカルなトンガが簡単に勝たせてくれないことはわかっていた。自分たちはいくつかミスはあったが、最後まで戦い抜いた。コーチ陣もよく準備してくれた。自分たちの仕事とプランに忠実な選手たちに拍手を送りたい。タイトに戦い、前進したボーナスポイントも取れたし、今日はできるだけ多くの勝点を取れた」とチームメイトを称えた。

トンガ代表は10月8日(日)に、リールでルーマニア代表とプール最終戦を戦い、今大会初勝利を目指す。一方の南アフリカはプールステージの戦いを終え、7日(土)アイルランドとスコットランドの結果次第でベスト8進出が確定する。

★南アフリカvs.トンガ戦の試合データ

◆プールB 順位表(10月1日現在)
1位 南アフリカ:勝ち点15(3勝1敗)
2位 アイルランド:14(3勝0敗)
3位 スコットランド:10(2勝1敗)
4位 トンガ:0(0勝3敗)
5位 ルーマニア:0(0勝3敗)

※南アフリカ代表は決勝トーナメント進出に有利な立場にいるが、3チームが勝ち点15で並ぶ可能性がある。この場合、直接対決の結果は1勝1敗で並び、プール戦全体の得失点差で1位を決定する。現在の得失点差は南アフリカが+117、アイルランドが+122、スコットランドが+97。

得失点差でプールBの1位が決まった後、残る2チームで同じように直接対決の結果、得失点差の順で2位を決める。そのため、南アフリカが敗退するケースは

・スコットランドがアイルランドに4トライ以上で勝利→勝ち点15
・アイルランドが4トライ以上で敗戦→勝ち点15
・その上でスコットランドがアイルランドに21点以上の差をつける

上記のケースではスコットランドが得失点差で1位となり、残るアイルランドと南アフリカは直接対決の結果が適用されるので、2位アイルランド、3位南アフリカとなる。

文:斉藤健仁/Photo by Yuuri Tanimoto

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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