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ラグビー コラム 2023年9月24日

【ハイライト動画あり】激戦の頂上対決、ブレイクダウンで上回った世界ランク1位のアイルランドが前回王者の南アフリカを撃破。ラグビーワールドカップ プールB

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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激しいブレイクダウンの攻防が続いた

前回王者vs.世界ランキング1位。予選プール屈指の好カードは期待通りの熱戦だった。世界ランキング2位)と、アイルランド代表同1位)の優勝候補が、パリ近郊サン=ドニにあるスタッド・ドゥ・フランスで激突した。

2019年大会王者の「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、初戦でスコットランド代表、第2戦ではルーマニア代表を寄せ付けず勝ち点9で2位に。現在世界ランキング1位のアイルランド代表もルーマニア代表とトンガ代表戦を下し、勝ち点10でプール首位に立っていた。勝利した方が準々決勝に大きく近づく一戦だった。

南アフリカvs.アイルランド

南アフリカ代表はスコットランド代表戦から1人を除いて、同じ先発を組んできた。LO(ロック)に三重ホンダヒートのフランコ・モスタート、FL(フランカー)がキャプテンのシヤ・コリシと、トヨタヴェルブリッツのピーター ステフ・デュトイ

SH(スクラムハーフ)には横浜キヤノンイーグルスのSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークと、SO(スタンドオフ)にはマリー・リボック、CTB(センター)は埼玉パナソニックワイルドナイツのダミアン・デアレンデと、横浜キヤノンイーグルスのジェシー・クリエルのコンビが入った。

SHファフ・デクラーク(南アフリカ)

WTB(ウイング)はワールドカップ終了後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビが先発。控えには静岡ブルーレヴズのNO8(ナンバーエイト)クワッガ・スミスが入るなど、日本のファンにもお馴染みのメンバーが多数メンバー入りした。

一方、アイルランド代表もトンガ代表戦から1名のメンバー変更にとどめた。キャプテンSOジョナサン・セクストンを筆頭に、PR(プロップ)タイグ・ファーロング、FL(フランカー)ピーター・オマーニー、昨年の世界最優秀選手FLジョシュ・ファンデル フライアー、この試合が50キャップ目となるCTBバンディ・アキギャリー・リングローズのコンビ、WTBはジェームズ・ロウとマック・ハンセンら経験豊富なメンバーが入った。

ラグビーワールドカップ2023 フランス大会

【ハイライト動画】プールB 南アフリカvs.アイルランド|世界ランク1位と2位の激突。プール戦最大のビッグマッチ

予想通り、試合開始から接点の攻防は激しい中、前半6分、スクラムで優位に立っていた南アフリカ代表がPG(ペナルティゴール)のチャンスを得て、SOリボックが決めて3点を先制する。アイルランド代表も接点の攻防で決して引かず、PGが狙えるところでもタッチに蹴り出しトライを狙うも、ラインアウトでプレッシャーを受けてチャンスを作ることができない。

ようやくアイルランド代表が得点を挙げたのは、33分のことだった。相手陣5mのラインアウトからボールを継続し、SOセクストンが縦に切り込んでゴールラインに迫ると最後はWTBロウ、ハンセンと繋いで右中間にトライ。セクストンがゴールを決めて、7-3と逆転に成功。前半はそのままのスコアでアイルランド代表がリードして折り返した。

後半、先に得点のチャンスを得たのは南アフリカ代表だった。7分、50mを超えるPGをSHデクラークが狙うが、ポールに当たり得点にならなかった。それでも11分、ゴール前の相手の反則からスクラムを選択。この試合好調だったCTBデアリエンデ、SOリボックとつなぎ、最後は左大外のWTBコルビがトライ。ゴールは決まらなかったが、8-7と逆転に成功した。

スクラムも一進一退の攻防

アイルランド代表も負けじと18分、スクラムで相手の反則を誘い、19分、中央のPGをSOセクストンが決めて、10-8と再び試合をひっくり返した。その後、南アフリカ代表は24分、26分と2度のPGのチャンスを決めることができず、スコアをひっくり返すことができなかった。

アイルランド代表は37分、途中出場のSOジャック・クラウリーが落ち着いてPGを決め、13-8と点差を5点差に広げた。試合終了間際、南アフリカ代表がゴール前ラインアウトからモールを形成、BK(バックス)も加わって押したものの、アイルランド代表が守り切ってモールアンプレアブルとなり、試合はそのまま、13-8とアイルランド代表の勝利でノーサイドを迎えた。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には得意のランでゲインを繰り返したアイルランド代表CTBアキが選出された。「(3万人という大勢のアイルランドのファンを目にして)信じられない。こんな光景を目の当たりにしたのは初めてだ。南アフリカは素晴らしいチームだ。チームとして、この試合に臨むにあたって、すべての面でもっと良くならなければならないことはわかっていた」。

準々決勝進出へ大きく前進し、世界ランキング1位をキープしたアイルランド代表のアンディー・ファレルHCは「信じられないほど誇りに思うし、南アフリカのコーチたちも誇りに思っていることだろう。前半は我々がフィールドポジションを支配し、後半は南アフリカが支配したと思う」。

また、「ディフェンスはサイモン・イースタービー(コーチ)のおかげだ」と喜んだが、「今夜は私たちの(優勝への)旅路における1つの試合であり、両者の間にはそれほど大きな差はないことは誰もがわかる。次にスコットランドとの試合があり、そこにフォーカスを当てている」と勝利に浮かれることなく気を引き締めた。

キャプテンのSOセクストンは、「アイルランドにとって大きな1日だ。この観衆は信じられないほどで、今日はどれだけの人が集まってくれたか。彼らをがっかりさせたくなかった」とファンに感謝し、「南アフリカ代表のようなチームと戦い抜くのは、本当に腕力勝負だった。チームとスタッフのおかげだ」と語った。

敗れた南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHCは「アイルランド代表のブレイクダウンが素晴らしかったと思う。それが、我々が勢いに乗れなかった最大の理由の1つだろう。こうなることは分かっていた」。

「この1週間で、ディフェンスのブレイクダウンにおける彼らの戦術を打ち砕くプランをいくつか立てたが、一貫して機能しなかったのは明らかだ。この試合から得られる教訓はある。どうすればもっとうまく対処できるか、新たなプランを立てなければならない」と振り返った。

さらに指揮官は「次はトンガ代表だ。(準々決勝で対戦するであろう)フランス代表のことを考え始めるのは先走ることになる。今はトンガ代表戦に集中する。そのあとはオフウィークがあるので、準々決勝で対戦する相手のために準備する時間がある」とこちらも次戦に向けて気を引き締めていた。

キャプテンFLコリシも「勝ちたかったが、素晴らしい試合、激しい試合だった。南アフリカ代表は本当にいいプレーをした。自分たちも前半はプレッシャーをものともせず、トライを奪った。自分たちのプレーを誇りに思う。私たちは少しチャンスを残していたと思うし、相手もそうだった」と振り返った。

開幕から3連勝を飾ったアイルランド代表のプール最終戦は10月7日(土)、再び、サン=ドニでスコットランド代表と激突する。2勝1敗となった南アフリカ代表は10月1日(日)にマルセイユでトンガ代表と対戦する。

文:斉藤健仁/Photo by Yuuri Tanimoto

南アフリカvs.アイルランド戦の試合データはこちら

◆プールB 順位表
1位 アイルランド:勝ち点14(3勝0敗)
2位 南アフリカ:10(2勝1敗)
3位 スコットランド:0(0勝1敗)
4位 トンガ:0(0勝1敗)
5位 ルーマニア:0(0勝2敗)

※3~5位は得失点差

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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