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左上から垣永、堀越、ハラシリ、福田、小倉、フィフィタ
ラグビー日本代表は9月17日(日)のイングランド代表戦後、2日間のオフを経て、28日(木)のサモア代表戦に向けて始動している。20日まではモナコ、21日にはベースキャンプ地であるトゥールーズに戻り、ここまで2戦ともメンバー外だった3人ずつが報道陣に対応した。
イングランド代表戦でスクラムが互角だったことに関してHO堀越は、「メンバーから外れた時、僕たちの役目はイングランドのフロントローをしっかり研究して、イングランドの組み方を3人で話し合いながら組むことでした。そこを1週間通して、メンバーにプレッシャーかけ続けていました」。
「試合でああいった、いいスクラムを組んでくれたことは、すごくうれしかった。もちろん、悔しさはあるが、その悔しさは1週間の中で、グラウンドで出すことがすごく大事だと思っている。まずはチームファーストをしっかり考えながら、自分の役割をしっかり全うすることを心がけた」と振り返った。
垣永も「去年、イングランド代表とやって結構スクラムが押されて、しっかりやっていこうということで、6月からやってきた。リーグワン中のミーティングでも、イングランドに押されたことはしっかり受け止めていて、長い時間かけた成果が出た1週間だったなと思う」。
「簡単に相手の土俵に立たないというか、すごく細部にこだわって、足がどうだとか、首がどうだとか、いろいろな自分たちの土俵に引きずり込んで、相手が自分たちに合わせるというのをすごく対処した。本当にいろいろなケースを想定して、組み方をしっかり決めて、何が起きてもグラウンドで対応できたと思う」と話した。
左から堀越、ハラシリ、垣永
メンバー外が続いているが、意識していることを聞かれて、PRハラシリは「ご飯をいっぱい食べることですね(笑)。練習ではパワーが必要なので」。HO堀越は「メンバー入らなかったことで、イングランドの戦術やアタック、ディフェンス、ラインアウト、スクラム、全部分析しながら練習でやっていくが、同時並行でケガ人が出た時、自分も入らなければいけないので、日本代表のプランとかそういうのも全部頭に入れるようにしている」と答えた。
プール戦は残り2試合。PRハラシリは「あと2試合、みんなで準備して勝ちにいきたい」、HO堀越は「チームが勝つために、自分がしっかりできることを毎日頑張っていきたい。その中でメンバーに入ることがあったら、もちろんそこで頑張るし、33人は1人ずつ本当に大事な役割があるので、そこに対して自分の役割を100%発揮していく大会にできれば」と答えた。
また、PR垣永も「ジェイミー(・ジョセフHC)も(大会)1週目に言っていましたけど、1人でも欠けたら、このチームは前に進めないし、みんながいて、皆が役割を遂行してチームは勝っていくという話があったので、その通りだと思っていて、僕らもしっかり役割があって、全うしていきたい」と前を向いた。
2019年のワールドカップもそうだったが、日本代表は試合ごとにメディカルスタッフなども含めたコーチ陣全員が、メンバー外ながらチームに対して献身的にサポートをした選手に「グローカル賞」(※グローバルとローカルを合わせた造語)を決めている。チリ代表戦は垣永、ハラシリ、堀越の3人で、イングランド代表戦はハラシリ、SH(スクラムハーフ)福田健太の2人だったという。
左からフィフィタ、福田、小倉
トゥールーズに戻った21日には、SH福田健太、SO(スタンドオフ)小倉順平、WTB(ウィング)シオサイア・フィフィタの3人が対応した。まず、イングランド代表戦の週に「グローガル賞」を送られたSH福田は、「チームとして大事な週だったので、より一層、準備にも集中したし、細かいところまで準備したので、その週でグローカル賞をもらえてうれしかった」。
「1週間、チームにプレッシャーかけつづけて、いいパフォーマンスができるようにするだけだった。ワールドカップのメンバーに参加している以上、やらなければいけない責任なので、今後どういうメンバーになるかわからないが、その週の役割を果たしていきたい」と話した。
メンバー外ながらチームに貢献していることを聞かれて小倉は「その週の試合に対して、主将、副将を中心にしっかりプラン通りにできるように、メンバーの人たちはいい準備をするし、僕みたいに出られない人は、対戦相手が何をやるのかを見て、やってくることを実行して、メンバーがそれに対して対応する。毎週、そういう流れになっている」と説明した。
WTBフィフィタは「チームに貢献できることをしっかりやっている。練習相手だったり、イングランド戦やったらWTBじゃなくてCTB(センター)入ったりした。結果は残念だったが、1週間はいい準備できた」と振り返った。
また、福田は「一番は試合に出てワールドカップで桜のジャージーで活躍するのが選手冥利につきると思うが、メンバー選考に関しては、自分たちでコントロールできない」。
「特にSHだとナギさん(流大)に刺激をもらっている。ラグビーの部分もそうだが、ラグビーに対する考え方や、オフでも他のポジション選手とコミュニケーションを取るなど、ポジティブに1つ1つの無駄にしないようにしている。こういう状況で頑張れないと、他でも頑張れないのでポジティブにやれている」と前を向いた。
また、福田はトヨタヴェルブリッツでもチームメイトの、NO8(ナンバーエイト)姫野和樹キャプテンのリーダーシップについて聞かれると、「トヨタのときよりプレッシャーを感じている。弱音を吐いたりはしないが、愛情とパッションを大事に、チームを引っ張っていくキャプテンシーなので、代表でも貫いている」。
「日本のことについて、姫野さん自身が一番学んで外国人選手に教えて、例えば君が代の意味や日本刀の作り方などを調べて、ミーディングで発表し、外国人選手も理解しているし、より一層みんなが日本のためにと思うように、チームをいい方向に向くように引っ張ってくれている」と話した。
フィフィタも「僕も君が代の意味が詳しくわからなかったが、姫野さんからそれを説明してもらって、僕だけじゃなく他の外国人選手も、日本のことを学んだと思う」と歓迎した。
また、フィフィタは今大会のチームソングについて聞かれて「もとになったのはライオンキングの歌。2021年秋のツアーの時、僕らトンガ人が集まって、中島イシレリ、マノ(レメキ ロマノ ラヴァ)、アサ(ヴァルアサエリ愛)、(テビタ・)タタフ、(ファウルア・)マキシ、みんなで考えた。(歌詞に出てくる)『ホカキムア(Hoka ki mu'a)』はトンガ語で『ファイトし続ける』という意味」と説明してくれた。
福田が「プール戦がまだ2試合あって、前に進むしかない。イングランド戦の負けを引きずっていないので、チームとして前を向いている」と話した通り、日本代表はモナコでの2日間のオフを経て、33人が一丸となり、9月28日のプール3試合目のサモア代表戦へと集中力を研ぎ澄ませていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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