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日本 vs. チリ メンバー
フランスでBRAVE BLOSSOMS(勇敢な桜の戦士たち)の挑戦が始まる。
4年に一度の祭典「ラグビーワールドカップ(W杯)」2023フランス大会。
現地時間9月8日(金)に開幕するラグビー世界最強決定戦で、世界ランキング14位(8日時点)の日本代表が、9月10日(日)、いよいよ大会初戦を迎える。
プールDに入った日本は、トゥールーズ(フランス)で、今大会唯一の初出場国である世界22位のチリ代表と激突する。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
今大会の日本は、4年前のベスト8を大きく超える初優勝も見据えている。
開幕直前トゥールーズで行われた歓迎セレモニーで、4大会連続出場のFL/NO8リーチマイケルは「私たちはワールドカップで優勝することを目指しています」と力強く語った。
勇敢な桜の戦士にふさわしく、堂々とそう言い切った。
リーチと同じく日本代表の主将経験があるFLピーター・ラブスカフニも「(プールステージ突破後)1試合ずつ進んで、最後まで行きたい」と、世界最高峰に挑む意志を明かした。
W杯イヤーの日本は開幕3カ月前から本格始動し、大会前哨戦のシリーズは1勝5敗。攻守の連携面、怪我の多発など不安を残したまま大会に入った。
しかし日本は強い。アタックやディフェンスの遂行力は本番へ向けて上昇傾向だ。
主将のFL/NO8姫野和樹が「(選手の能力は)4年前より上がっている」と答えれば、戦術の理解度や浸透スピードも「4年前より速い」(HO堀江翔太)。副将のSH流大などリーダーは多く、大会を乗り切る一体感も醸成されている。
あとはW杯本番で自信を深め、どれだけ大会中に成長できるか。
日本 メンバー
まずは重要な大会初戦。着実な一歩を踏み出すためのメンバー23人が発表された。
両ロックはユーティリティFWのジャック・コーネルセン、足首負傷で無念の落選から再招集されたアマト・ファカタヴァ。
そしてNO8姫野主将、FLリーチとFW第3列を形成するのは、大会直前にファカタヴァと同時に入替登録となったFL下川甲嗣だ。
そして国鳥コンドルを意味する愛称「ロス・コンドレス」のチリ代表だ。
南米最強のアルゼンチンに次いで、今大会出場のウルグアイなどと共に2番手グループを形成。成長著しい南米中堅国だ。
日本との比較は、10大会連続出場の大会経験値は当然ながら、実力でもチリを上回っているだろう。しかし決して侮れない。
まずチリの成長が著しい。
成長促進の大きな要素はメンバーのほとんどが所属する「セルクナム」。
アメリカ大陸リーグ「スーペル・ラグビーアメリカス」に参戦するチリ人チームで、アルゼンチンやウルグアイ、ブラジル、パラグアイチームと切磋琢磨。代表強化の要として機能させてきた。
その最大の成果が今回の初出場だ。
W杯予選プレーオフで、2031年の自国開催を控える格上のアメリカに対し、2戦合計で1点差(52-51)で上回ってみせた。
SH流も「映像を見る限りフィジカルが強く、簡単に勝てる相手ではない」と警戒。日本代表のジョン・ミッチェルDFコーチも警戒すべきと考えている。
「彼らには攻撃的なスタンドオフとフルバックがいます。スクラムハーフはボール運びが非常に上手いです」(日本・ミッチェルDFコーチ)
チリ メンバー
9番のSHマルセロ・トレアルバはウイング並みの韋駄天。プレーメイクはもちろんキックも多彩だ。
そして司令塔は鋭いランが光るSOロドリゴ・フェルナンデス。予選プレーオフで決めた“雨の6人抜きトライ”が22年の「トライ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。母校セルクナムの主力だ。
そしてチリが侮れない理由はもう一つ、元ウルグアイ代表指揮官のパブロ・ラモイネHCの手腕だ。
初出場を決めたW杯プレーオフ。アメリカとの最終第2戦で、ラモイネHCは奇策に出た。
後半40分間が勝負の要と考えた指揮官は主力メンバーをリザーブに置き、後半に圧力をかける大胆な采配を振るったという。
そして用意した“逆襲作戦”は成功。一時19点ビハインドを背負ったが、後半1点差で上回る逆転勝利を呼び込んだ。
チリは日本が格上であることは承知だろう。勝負師は日本戦へ向けてどんな策を用意しているのか。
大会初戦である点も要注意だ。
W杯初戦の開始直後から完璧なスタートを切ることは難しい。4年前の日本代表はロシアとの開幕戦でキックオフボールをノックオン。先制トライも奪われ、最終スコアこそ30-10だったが辛勝のスタートになった。
「前回大会と同じく、開幕戦は難しいものになるので、100%の準備が必要です。後先考えず、この試合に100%コミットします」(SH流)
まずは自信を深める1勝を。
そしてイングランド(第2戦)、サモア(第3戦)、アルゼンチンとのプール最終戦へと調子を上げていきたい。
日本の熱狂はチリ戦から始まる。日本から、世界から、勇敢な桜の戦士たちに声援を送ろう。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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