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ラグビー コラム 2023年6月26日

日本代表、初の準々決勝進出。スタジアムもONE TEAMに! 南アフリカ3度目の頂点。コルビのステップも必見

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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2019年日本大会 準々決勝 日本 vs. 南アフリカ

【ラグビーワールドカップ100選!】はいよいよクライマックス。日本代表は初めての準々決勝で南アフリカと対戦する。2019年10月20日、東京都調布市の東京スタジアム(味の素スタジアム)には、日本代表のレプリカジャージーをまとったサポーターが続々と詰めかけた。満員(48,831人)の観客の前で日本代表が健闘。前半は3-5と2点差で食い下がる。しかし、スクラム、モールで圧力を受け、徐々に差をあけられた。キャプテンのリーチ マイケルはこの大会で印象的だった瞬間を問われて、「南アフリカ戦が終ったとき、みんなが力を出し切った顔をしていた」と答えている。それが嬉しかったということだ。

初戦のロシア戦からベストメンバーで戦い続け、アイルランド、サモア、スコットランドという強豪を破り、たどりついた準々決勝だった。選手たちは疲れ切っていた。それでも力を振り絞って僅差勝負に持ち込めたのは、ハードトレーニングと周到なゲームプランの成果だろう。サポーターからの万雷の拍手は、全力で戦い続けた選手たちへの労いと感謝の気持ちが込められていた。

ウェールズ対フランスの準々決勝(10月20日、大分スポーツ公園総合競技場)は死闘だった。前半は19-10とフランスがリードするも、後半9分にLOセバスチャン・ヴァアマイナにレッドカードが出て、残り時間を14人で戦うことに。それでも粘るフランス。このフランスを見ておくと、今年のラグビーワールドカップ(RWC)が楽しくなる。辛勝したウェールズは、準決勝(10月27日、横浜国際総合競技場)で南アフリカと接戦を繰り広げる。互いにキックを多用するキッキングゲームになるが見応え十分だ。

2019年日本大会 準決勝 イングランド vs. ニュージーランド

準決勝で見逃せないのは、イングランド対ニュージーランド(10月26日、横浜国際総合競技場)だ。2015年は日本代表を率いて南アフリカを破ったエディー・ジョーンズヘッドコーチがイングランドを指揮してラグビー王国の才能集団を倒す。試合前の儀式では、ニュージーランドのウォークライ(ハカ)に対抗し、逆V字フォーメーションでニュージーランドの選手たちに違和感を与える。キックオフ直後からは準備されたプレーで攻略し、開始98秒でCTBマヌ・トゥイランギが先制トライを奪った。

心理的に優位に立ったイングランドはディフェンスでも激しく前に出て圧力をかけ続けた。ニュージーランドのWTBジョージ・ブリッジの「最初から鼻を殴られた」というコメントは的を射ている。最初から全エネルギーを使って戦ったイングランドの見事な勝利。何度でも見る価値のある戦いだ。

決勝戦は南アフリカとイングランドの対戦となった。11月2日、横浜国際総合競技場には、同会場最多の70,103人のファンが詰めかけた。ニュージーランドに快勝したイングランドに勢いがあるかと思われたが、南アフリカは80分間、前に出続ける。イングランドは前半3分でスクラムの大黒柱であるPRカイル・シンクラーが負傷交代。これが痛かった。前半、南アフリカはスクラムで相手の反則を誘うなどFW戦で優位に立つ。SOハンドレ・ポラードの4本のPGで12-6とリードした。

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2019年日本大会 決勝イングランド vs. 南アフリカ

後半26、34分のトライは必見だ。特に最後のトライは来季からリーグワンの東京サンゴリアスでプレーするWTBチェスリン・コルビが独特のステップワークでタックラーを翻弄する。横浜イーグルスのSHファフ・デクラークは攻守にわたって大活躍。その後、日本のリーグワンでプレーする選手たちの勇姿を楽しめる試合だ。優勝カップを掲げたのは南アフリカで初の黒人キャプテン、シヤ・コリシ。「南アフリカのために戦った」と多くの人のサポートに感謝し、「人々が一つになればどんなことでも達成できる」と話した。感動的なフィナーレをいま一度かみ締めたい。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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