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序盤戦の台風の目、相模原ダイナボアーズが地元相模原ギオンスタジアムで神戸スティーラーズを迎え撃つ。ジャパンラグビー リーグワン第7節プレビュー
ラグビーレポート by 直江 光信三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
全16節のリーグ戦の3分の1を終えたリーグワンディビジョン1において、ここまでもっとも強い印象を残しているチームのひとつは三菱重工相模原ダイナボアーズで間違いないだろう。リコーブラックラムズ東京、トヨタヴェルブリッツを倒し開幕連勝スタートを切ると、第4節では昨季4位の東芝ブレイブルーパス東京にも23-19で勝利した。ディビジョン2から昇格の初年度にしてすでに3勝を挙げ、勝ち点15で堂々の6位につけている。
何より目を引くのはチーム一丸のひたむきな戦いぶりだ。ディフェンスでは厳しい鍛錬で培った体力をベースに誰もが迷いなく前に出て激しくヒットし、懸命に戻ってカバーに走る。失点を最小限にとどめて接戦に持ち込み、SOジェームス・シルコックの正確無比なショットでコツコツとスコアを積み上げて競り勝つ。チームとしての明快なスタイルを確立したことが、観戦者の心を動かすビッグパフォーマンスと、大方の予想を覆す好成績の要因となっている。
そんな序盤戦の台風の目が今節対峙するのは、2018シーズンのチャンピオンであるコベルコ神戸スティーラーズだ(2月5日12時キックオフ@相模原ギオンスタジアム)。スティーラーズの現在の順位は2勝4敗の勝ち点10で8位。ディビジョン1有数の戦力を誇り、優勝候補の一角と目されていただけに、チームにとってこの現状は不本意な成績だろう。ここまで対照的な戦いぶりの両チームの激突が果たしてどのような展開になるのか、興味はふくらむ。
スタッツ
両者のスタッツの比較で特徴的なのは、攻撃面だ。ボールキャリー数はダイナボアーズ542回、スティーラーズ581回でさほど変わらないものの、ゲインメーターは同3,322メートルに対し4,123メートル、ラインブレイクは19回に対し43回、ディフェンス突破は113回に対し187回と、大きな差がある。相手防御を破って前進する力では、スティーラーズがダイナボアーズを上回っているといえよう。
一方守備のスタッツを見ると、ダイナボアーズのタックル総数は848回で、同982回のスティーラーズより134回も少ない。攻撃で前に出ているスティーラーズのほうが、1試合平均で20回以上多くタックルしているわけだ。これらの数字から推察されるのは、ダイナボアーズがキックを効果的に使ってゲームを組み立て、有利なフィールドポジションで効率よくプレーを進めているということ。実際、ダイナボアーズのインプレー中のキック数は168本で、スティーラーズ(80本)の倍以上を蹴り込んでいる。
スティーラーズはアタッキングマインドの強いチームであり、果敢にパスをつないで前進を図る攻撃力が持ち味だ。ディフェンスを強みとするダイナボアーズにすれば、いかにキックで相手を後方へ走らせ、いいエリアで戦えるかが勝利への鍵になる。中盤の蹴り合いの攻防と、キックレシーブから攻撃を仕掛けた時の双方のリアクションが、この一戦の焦点となりそうだ。
三菱重工相模原ダイナボアーズ スターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていくと、ホストのダイナボアーズは前節東京サントリーサンゴリアス戦から先発を10人入れ替えた。フロントローは左からPR細田隼都、HO宮里侑樹、PR石井智亮の3人となり、5番にはウォルト・スティーンカンプが復帰。両FLも今季の好調を象徴する鶴谷昌隆と坂本侑翼のコンビが2試合ぶりに帰ってきた。
BKではTB陣の顔ぶれがすべて変わり、11番タウモハパイホネティ、12番ヘンリーブラッキン、13番カーティス・ロナ、14番韓尊文という並びに。前節WTBのアライアサ空ローランドがFBに回る。22番で加入後初めてメンバー入りしたオーストラリア代表59キャップのSO/CTBマット・トゥームアが、どのタイミングで登場するかも楽しみだ。
コベルコ神戸スティーラーズ スターティングメンバー
対するスティーラーズの前節からの先発変更は7人。両PRが中島イシレリと前田翔に替わり、4番には張碩煥が2試合ぶりに復帰。キャプテンのFL橋本皓も5節以来のスターターとなり、前節7番のマルセル・クッツェーがNO8に回った。
BKではSH徳田健太が今季初出場で初先発。13番の21歳、濱野隼大もこれが今シーズンのファーストマッチとなる。14番には井関信介が2試合ぶりのメンバー入りで3試合ぶりの先発だ。今季ダイナボアーズから移籍したマイケル・リトルの古巣対決は、惜しくも見送りとなった。
なおリーグワンでは、今週末の試合からマスク着用を前提に声を出しての応援が解禁された。この試合は段階的移行の準備段階として従来通り声出し応援に制限をかけての開催となったが、ダイナボアーズも2月26日以降のホストゲームについては声出し応援が可能になる。スタジアムの雰囲気がどう変わるのかも注目したい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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