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ラグビー コラム 2023年1月26日

世田谷に密着し強化を進めるブラックラムズ。ひたむきなラグビーと華麗なBK陣が魅力。

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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今季初のホストゲームで入場する松橋ゲームキャプテン

1月21日(土)、「NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23」ディビジョン1の第5節が行われ、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場でホストのリコーブラックラムズ東京が昨季王者の埼玉パナソニックワイルドナイツを迎えた。

東京都、世田谷区をホストエリアとするブラックラムズにとって、この試合が世田谷区で迎える今季初のホストゲームだった。黒いジャージーを着たファンや、黒のフラッグを持ったファンを中心に5598人が集まった。

キックオフ直後は拮抗した状態が続いたが、ブラックラムズは前半終了間際の38分、42分に2トライを許し3-23で前半を折り返した。ただ「泥臭くひたむきに戦うのがチームのDNA」とこの試合は欠場したキャプテンHO武井日向が話していたように、ホストのファンの前でブラックラムズは決してあきらめることはなかった。

後半、SH(スクラムハーフ)高橋敏也、SO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスらを投入すると黒衣軍団の時間帯となり、23分、27分にFB(フルバック)マット・マッガーン、WTB(ウイング)ネタニ・ヴァカヤリアがトライを挙げて17-30と2トライ&2ゴールで逆転できる13点差に追い上げた! しかし試合巧者のワイルドナイツに追加点を奪われて17-38でノーサイドを迎えた。

ブラックラムズのピーター・ヒューワットHC(ヘッドコーチ)は「相手はチャンピオンチームでワールドクラスの選手がたくさんいました。3-22でハーフタイムを迎えたが、しっかりファイトバックしてくれた」と選手たちを称えた。

明治大学時代から世田谷区に住んで10年以上となる、ゲームキャプテンFL(フランカー)松橋周平は「今季初の世田谷区の試合でしたし、戦うエリアを全員がしっかり理解し、ビジターで2連勝できてチームも自信がついて挑んだ試合だったのでどうしても勝ちたかった」と悔しさを露わにした。

ただ黒いフラッグがたくさん揺れていたことに関して松橋は「嬉しかったですね! 地域、地元がすごく僕らを盛り上げてくれているので、ホストゲームで勝ってもっと盛り上げたかった」と話した。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第5節ハイライト動画】ブラックラムズ東京 vs. 埼玉ワイルドナイツ

「泥臭くひたむきに戦う」のがチームのブラックラムズの信条であるが、BKには華麗なラン、スキルに長けた選手たちが揃っている。

BKの主力には昨季リーグワンのディビジョン1の「ベスト15」に選ばれた23歳の攻撃的SO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスを筆頭に、ゲーム運びの上手いSO堀米航平、今季ワイルドナイツから移籍してきた攻守に渡り堅実なプレーを続ける元ウェールズ代表CTB(センター)ハドレー・パークスらがいる。

さらに昨季、日本代表に選出された日本人BKが2人いる。それがSH(スクラムハーフ)高橋敏也、そしてWTB/FBメイン平の2人だ。高橋 、メインの2人に話を聞いた。

学生時代から東京でプレーする高橋敏也

國學院久我山中学&高校時代、そして青山学院大時代とずっと東京でのプレーを続けているSH高橋は「ホストの声援はめちゃくちゃ力になりました! 街中や駒沢大学駅の周りもブラックラムズ一色にしてもらったので、駒沢で勝ちたかった。(13点差に追い上げたが)不用意なペナルティーで相手に流れがいってしまったので、80分通して隙を与えないというところが課題かな」と振り返った。

ただ今季のブラックラムズはワイルドナイツとも対等に戦う時間も多く、トヨタヴェルブリッツ静岡ブルーレヴズといった昨季、自分たちより順位が上位だったチームにも勝利した。「全員がいい競争をチーム内でやっていて、誰が出ても自信を持ってプレーできている。また今季は相手に対して泥臭さ、ひたむきさなど自分たちが大事にしているDNAの部分など、自分たちが目指すべきところが見えていて、そこに対して一歩一歩プロセス踏んでいるのかな」と高橋はチームの成長を実感している。

身長182cmとスクラムハーフとしては体格のある高橋、長所は「長いパスと左足のキックとディフェンス」と胸を張る。昨季は試合出場こそできなかったが、日本代表にも選ばれたことは「今まで体験できなかったスタンダードを経験しめちゃくちゃプラスになった。今季はしっかりリーグワンで自分の成長を見せて、次また日本代表に挑みたい!」と語気を強めた。

6月のウルグアイ代表戦で初キャップを得たメイン平

またもう1人のメインは、昨季のリーグワンで活躍し、6月のウルグアイ代表戦で日本代表初キャップを得た22歳の若きスター選手だ。ニュージーランドの父と日本人の母親の間に宮崎で生まれ、高校は奈良・御所実業に進学し花園で活躍し、父の母国であるニュージーランドでの研鑽を経て20歳でチームに加入した。

駒沢での今季初のホストゲームに際して「たくさんの黒いジャージーを着たファンを見ることができてすごいパワーにもなりましたし、一緒に戦っている感じがして良かった! 子どもを見るとやっぱり自分たちは夢を与えたいと思うので、出来る限りのファンサービスとかやりたい」と話した。

試合に関しては「2連勝したときはディフェンスの粘りで持ち味が出ていたが、今日の試合は規律の部分で、自分たちで足を引っ張ってしまい、リズムを作れなかった。(個人的には)ボールタッチの回数が多くなくて、自分の強みであるランをあまり発揮できなかったが、ディフェンスの部分では自分の責任を果たせたかな」と振り返った。

昨季まではCTB、FBで主にプレーしていたが、日本代表ではWTBも経験し、今季からブラックラムズでもWTBとしてプレーするようになった。

「昨季、日本代表で初めてWTBとしてプレーし、スペシャリストにいろいろと教わりながら、というのが今になって活きています。日本代表でプレーしたおかげで、少し周りが見えるようになったというのがあります。代表の経験がすごく生きている」

メインの目標はもちろんワールドカップ出場である。ブラックラムズで良いプレーを続けることがワールドカップの出場につながっていくはずだ。

また今季初の世田谷区のホストゲームということでブラックラムズは「世田谷デー ~そうだ、駒沢に行こう。」というテーマを掲げて、キックオフ前から会場を大いに盛り上げていた。

スタジアムの前には世田谷区に店舗を持つお店のキッチンカーなどが並んでいた

キッチンカーでのグルメだけでなく、世田谷区自慢の逸品を指定している「世田谷みやげ」の店舗も出展され、世田谷区在住の方にはよりブラックラムズ東京を身近に感じていただけるように、ラグビーファンには世田谷を楽しんでいただけるように、と趣向をこらしてラグビーファンを迎えていた。

リーグワンオフィシャルサポーターの依吹怜さん

この日は「リーグワンオフィシャルサポーター」の依吹怜さんも来場し、試合前には会場の雰囲気や世田谷グルメを満喫していた。実際に買ったのが「ラグパン」と「ふたこビール」。ピロシキみたいなラグパンの中にはブラックラムズのちなみラム肉が入っていて「美味しかった!」と声を弾ませた。

「ブラックラムズさんはディビジョン1では東京23区唯一のチ-ムで、地域に密着していて、キッチンカーだけでなく世田谷区の名産品がたくさん出店されていていい取り組みだなと思いました!」(依吹さん)

そんな依吹さんが一押しの選手がCTBパークス選手である。「目立たないプレーも多いのですが、たくさんタックルに行って献身的なプレーを続けています。ただ試合後に話すと、柔らかくチャーミングで、そのギャップがブラックラムズのファンを虜にしているな、と思います!」

また依吹さんは、あらためてブラックラムズのホストゲームに足を運んでみて「ちょっとずつ強くなっているので人気も出てくると思います。またブラックラムズの黒はおしゃれな感じで、他のカラーと合わせやすくてすごく好き。お洒落に着こなしやすいから、イケメン選手も多いし、女の子のファンは『ラムガール』としてどんどん増えてほしい!」と率直な感想を口にした。

リーグワンのディビジョン1は次節からクロスカンファレンスマッチが始まり、ブラックラムズは2月18日(土)、25日(日)にともにホストゲームで、東京サントリーサンゴリアス花園近鉄ライナーズを迎える。両日は是非、ディフェンスに強みを見せるブラックラムズのひたむきなラグビーと世田谷グルメを駒沢オリンピック公園陸上競技場で大いに楽しんでほしい!

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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