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ラグビー コラム 2023年1月23日

【ハイライト動画あり】埼玉ワイルドナイツ、揺るがず。ブラックラムズ東京の挑戦を退け開幕5連勝。ジャパンラグビー リーグワン、ディビジョン1第5節レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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ブラックラムズ東京vs.埼玉ワイルドナイツ

序盤はショットで着実に 3点を刻んでジワジワと点差を広げ、疲れが現れ始める30分以降の勝負どころで一気に引き離す。中盤、ゲームの流れが行き来する中で相手が勢いに乗る時間帯はあるものの、決定的に展開が傾くまでには持ち込ませない。そして最後はきっちりと突き放して締めくくる。まさに横綱相撲といいたくなるような、埼玉パナソニックワイルドナイツの勝利だった。

陣地戦略を重視するチーム同士の戦いらしく立ち上がりから引き締まったキッキングゲームが繰り広げられる中、開始9分にSO松田力也のPGで先制。その後も風上を利して優勢に試合を進め、16分に松田が2本目のPGを加える。

ホストのリコーブラックラムズ東京も続くキックオフから敵陣へ攻め入り、相手スクラムでペナルティを獲得。19分にFBマット・マッガーンがPGを返し、3-6と差を詰める。28分、自陣ゴール前でのCTBハドレー・パークスのボールキャリアーへの絡みが反則になり3点を追加されたが、風下ということを考えれば前半30分で3-9は悪くない状況に思われた。

しかし35分過ぎ、ワイルドナイツの真骨頂といえるプレーが飛び出す。自陣の中盤右でのキックレシーブからSO松田が左オープンへ展開すると、FB山沢拓也が大外のスペースへキックパス。キャッチしたCTBディラン・ライリーが大きくゲインし、FLラクラン・ボーシェー、SH内田啓介とつないでゴールラインを越えた。

40分にはふたたびキックレシーブを起点に左サイドを崩し、最後はラックからショートサイドを攻めてFB山沢がインゴールへ。見事な集中力を発揮して5分足らずで14点を積み上げ、23-3で前半を折り返した。

サイドが入れ替わった後半。風上のブラックラムズが敵陣でアタック機会を作る場面が増えるが、ワイルドナイツは緻密な組織防御とブレイクダウンのしぶとい絡みでボールを奪い返す。そして48分、敵陣22メートル線内でマイボールラインアウトを得ると、この日がリーグワンデビュー戦のCTB長田智希から内返しのパスを受けたWTBマリカ・コロインベテがFWとBKの間を切り裂いて左中間へ。これでスコアは30-3まで広がった。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第5節ハイライト動画】ブラックラムズ東京 vs. 埼玉ワイルドナイツ

ブラックラムズもその後、ワイルドナイツSO松田がデリバレイト・ノックオンでシンビンになった数的優位を生かし、62分に連続展開から左大外をWTBネタニ・ヴァカヤリア→FBマッガーンで突破してようやくゴールラインを越える。67分には相手陣22メートルライン付近の左ラインアウトから、48分のワイルドナイツのトライと同じような内返しのサインプレーでヴァカヤリアが一直線にポスト下へ。17-30と13点差に詰め寄った。

5,598人のファンで埋まる観客席の熱気が一段上がるような時間帯だったが、ここですかさず立て直せるのがワイルドナイツの王者たるゆえんだ。71分、SO松田が約40メートルのPGを通すと、74分にはゴール前での連続攻撃を丁寧に仕上げて途中出場のWTB竹山晃暉がフィニッシュ。79分には自陣22メートルライン付近の相手スクラムを力強く押し込んでペナルティをもぎ取り、38-17の最終スコアでフルタイムとなった。

ゲームの四隅と呼ばれる前後半の入りと締めの局面で得点を刻み、余裕を持ってプレーを組み立てる懐深い試合運びは、ワイルドナイツの底知れぬ地力を感じさせた。風上の前半、トライを取り急ぎたくなる状況でも落ち着いてPGで加点し、相手のプレッシャーが緩んだところを見逃さず仕留め切ることができるのは、メンバー全員のゲーム理解度の高さと卓越したスキルの証だ。

「チームの成長を感じられる試合でした。後半風下でなかなか自陣から出られず、難しい部分もある中で、しっかりコミュニケーションをとってワイルドナイツのラグビーに戻ってこられた。そこはポジティブにとらえています」(HO坂手淳史主将)

第3節から連勝と調子を上げてきたブラックラムズだったが、ワイルドナイツの盤石の牙城を崩すまでには至らなかった。前半30分まで拮抗した戦いを演じながら、わずかに集中力が途切れたところで突き放されたのは、常勝チームに真っ向勝負を挑んだからこそ得られた大切な教訓だろう。「チャンピオンチームとの試合では80分いい戦いを続けなければいけない。我々は65分間はいい戦いをできたが、80分ではなかった。3-9から3-23になった10分間が痛かった」とはピーター・ヒューワットヘッドコーチ。

勝ち点を伸ばすことはできなかったものの、3-30までビハインドが広がったところから2トライを返し食い下がったシーンには、チーム全体の気力の充実が浮かび上がった。これからもディビジョン1を盛り上げる存在になりそうだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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