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ラグビー コラム 2022年12月24日

東海大相模、神奈川の歴史を動かす桐蔭学園からの勝利。花園では日本一を目指す。全国高校ラグビー大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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桐蔭学園を破り花園の切符をつかんだ 写真提供:東海大相模高校

神奈川の歴史が動いた。

12月27日(火)から大阪・東花園市花園ラグビー場で「花園」こと、「第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会」が始まる。その注目校の1つが神奈川県代表でBシード校となった東海大相模だ。

東海大相模は神奈川県予選決勝で、春の選抜大会ベスト4で、昨季まで7大会連続で花園に出場していた「東の横綱」桐蔭学園を14-13で下し、2大会ぶり10回目の花園の切符を手にした。東海大相模は近年、2校出場できるなどの記念大会ではしっかり花園に出場してきたが、神奈川県で優勝しての出場は32年ぶりの快挙だった。

キャプテンLO(ロック)上村太陽キャプテン(3年)は「先輩たちが泣き崩れる姿をグラウンドやベンチから見ていました。先輩たちに『おまえら頼むぞ』と言われていました。(優勝して)桐蔭学園という大きな壁を越えましたが、そこに満足せず、課題を1つひとつ潰していって、花園優勝に向けて頑張っていきたい」と胸を張った。

三木監督(右)と津田コーチ

東海大相模に赴任し12年目、指揮官として10年目の三木雄介監督(45歳)、そして津田将FW(フォワード)コーチ(29歳)らが中心となって指導している。三木監督は、学生時代はCTB(センター)で、HO(フッカー)だった津田コーチともに東海大仰星、東海大学で活躍した経歴を持つ。三木監督は大学時代はキャプテンだった。なお、元東海大仰星の名将・土井崇司校長は不定期に、部活に見学に来て、監督らにアドバイスを送ることもあるという。

東海大相模は、すでに2020年度大会はオータムチャレンジで勝ち抜き、花園に出場してベスト16に入ったように三木監督の下で、FW、BK(バックス)一体となったアタックと組織ディフェンス、津田コーチの下でFWのモールの整備などをしており、関東でも実力のあるチームの1つとして知られていた。

桐蔭学園に14-13で競り勝った 写真提供:東海大相模高校

ただ、3年前は14-38、一昨季は9-22、昨季は17-19と予選決勝で桐蔭学園に敗れていた。だが、少しずつその差を埋めていたことも事実だった。新チームとなり、三木監督が今季のチームに対して、新たに積み上げたことは「はやく倒してはやく争奪する。タックルとセカンドマンレース(接点の寄り)、そしてジャッカルです」と話す。昨季まではラックをオーバーすることしかやってこなかったが、「手をかけてみよう」と年間を通して、ジャッカルの練習に取り組んだ。

1月の新人戦決勝こそ接点で遅れを取って19-29で敗れたが、5月の関東大会予選決勝では14-14で引き分けた。「引き分けたことで、生徒たちは自信がついたと思います。大きなターニングポイントになった」(三木監督)。

2大会ぶり10回目の花園出場 写真提供:東海大相模高校

迎えた花園予選決勝でも、前に出るディフェンスと合わせて、ゴール前のピンチでジャッカルするなど、練習の成果がしっかりと出ていた。また、大学選手権の決勝でも2番をつけて出場した経験もある津田コーチが指導するラインアウトディフェンスも機能し、LO上村キャプテン、山本圭吾(3年)らがラインアウトにプレッシャーをかけて、相手に有効なアタックを許さなかったことも大きかった。

東海大相模は相模原市に1963年に開校し、ラグビー部は1964年に同好会として誕生、翌年に部に格上げされた。1968年度に花園初出場を果たし、1975年度の全国ベスト8が最高成績だ。人工芝のグラウンドはあるが、サッカー部、陸上部と共有で中学生とともに半面を使用している。

この日は練習の半分がフィットネストレーニング

ラグビー部員は現在マネージャー4人も含めて86名(3年生30名、2年生25名、1年生27人)。大半が経験者で、部員の多くが東京や神奈川のラグビースクールでプレーしていた生徒たちだという。ウェイトトレーニングは火、木、土曜で、授業がない土曜の午前中は、昨季からオリンピック銅メダリストの太田拓弥さんにレスリング指導を1時間くらい受けて、タックル、接点の強化をしてきたという。「起き上がる動作がはやくなった」と副将のSO(スタンドオフ)野口柊(3年)もその効果を実感している。

今季は桐蔭学園に勝ってその先を目指すという意味を込めて「日本一」と、「地域に愛されるチームになる」というダブルゴールを掲げた。2シーズン前、花園に出場した先輩たちも掲げたものと同じ目標で、そのまま受け継がれているという。「生徒たちは日本一を目指すと同時に、人間力を高めるために、地域の方、保護者、応援してくれるOBなど、誰からも愛されるチームになろうと頑張っています」(三木監督)。

東海大相模、目標は日本一

東海大相模は選抜ベスト4の桐蔭学園を下しての出場ということでBシードに選ばれた。そのため1回戦はシードとなり、加治木工業(鹿子島)と若狭東(福井)の勝者と12月30日に対戦し、順調に勝ち上がると、1月1日に同じくBシードの大阪桐蔭(大阪第2)と激突する可能性が高い。

「強みはジャッカルとFWとBK一体となってボールをつなぐ展開力」と話す三木監督が期待をかけるのは、大黒柱のLO上村主将はもちろんのこと、FWでは「しんどいときにボールを奪って、流れを変えてくれる」とジャッカルの得意なFL(フランカー)金井悠隼(3年)だ。

また、アタックは父も東海大相模で花園に出場した経験のある副将SO野口柊とCTB涼(ともに3年)の双子が中心だ。1年生で唯一先発に入る可能性が高いWTB(ウィング)恩田暖はステップとスピードに長けている。

上村主将(中央)と野口兄弟

花園に向けてLO上村キャプテンは「ディフェンス、ジャッカルは自分たちの武器になると思う。花園ではフィジカルの強いチームと対戦することになると思うが、スピード、仕事量、あきらめない気持ちでカバーしたい。持っているものをすべて出したい」と意気込んでいる。

副将で双子の兄SO野口柊は2年前の花園唯一の経験者だ。「花園は全国の強豪と対戦するのでタフなチームが勝っていく。SOとしてキックでしっかりエリアを取って、相模の展開ラグビーを引っ張っていきたい」と話す。一方、「(兄の柊とは)2人しかわからないタイミングや癖がある」という弟のCTB涼は「モールも強みですが、ボールをつないで相手を崩してトライどんどん取っていきたい」と語気を強めた。

神奈川王者として堂々と花園に乗り込む、総合力の高い東海大相模。まずは2年前に乗り越えられなかったベスト16の壁を破ってベスト8に進出し、シード校の責任を果たしたい。そして花園で成長しながら目標に掲げている初の「日本一」を目指す。

文/写真:斉藤健仁
写真提供:東海大相模高校

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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