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ラグビー コラム 2022年12月5日

【ハイライト動画あり】明治大が高速バックスで5トライ!伝統の早明戦で通算41勝目。関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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池戸将太郎(明治大学)

「最初の10分で圧力を受けてしまい、主導権を握られてしまったと思います」(早稲田大学・大田尾竜彦監督)

12月4日(日)、東京・国立競技場に観客3万5438人を集めた関東大学対抗戦の「早明戦」。

定期戦では98回目の激突となる名門同士の一戦は、まず紫紺のジャージー、明治大学が機先を制した。

キックオフ直後にWTB秋濱悠太が相手を押し込み、窮屈になった早稲田は距離の出ないキックを強いられる。ここから早稲田指揮官・大田尾監督が「圧力」と語った、明治の猛攻は始まった。

この日明治は成功率91.7%(12本中11本成功)のラインアウト、成功率100%のスクラム(4本中4本)を誇り、先制点はその安定したラインアウトが起点となった。

齊藤誉哉(明治大学)

前半2分、両軍最初のラインアウトで、191cmの山本嶺二郎をスピード勝負のジャンプ。2フェーズ目でSH萩原周がラックサイドを突破し、この日多用したカットイン気味のランでCTB齊藤誉哉が先制トライを挙げた。

7点を先制されたライバルの早稲田も反撃。

ただ最初の20分間、敵陣で4度の攻撃を仕掛けたが、明治の激しい守備、ブレイクダウンワークなどで圧力を受けて得点に繋がらない。明治の神鳥裕之監督が守備のフォーカスを語った。

「早稲田さんにクイックボールを出させると良いアタックをしてくる――そこは自分たちが想定していた通りでした。今日の明治のディフェンスは、球出しを遅らせること。そこで自分たちの形が見えてきたと感じました」(明大・神鳥監督)

また攻撃では――「重戦車フォワード」がDNAの明治だが――、近年は機動力のあるフォワード、そしてバックスの展開力、決定力が光る。

前半9分にはボールを左右に振りながら、怪我から復調したWTB石田吉平キャプテンが12フェーズ目でトライ。2度目の敵陣アタックでも得点を奪い、10分間で2トライを奪い、モメンタム(勢い)を生み出した。

この日注目を集めたスクラム戦では、紫紺ジャージーがプライドを見せた。

前半20分、2度目のスクラムバトルでは重圧をかけてペナルティ奪取。フォワード陣が雄々しく吠えた。直後に6人のモールで約30メートルを押し込むなど、強力FWが多彩な力で国立競技場を沸かせる。

前半25分にはSO伊藤耕太郎が突破し、FB安田昂平のチーム3トライ目をお膳立て。バックスの3連続トライ&全ゴール成功で21-0とした。

ただ、やはり伝統の「早明戦」は簡単には終わらない。ここから早大が逆襲に転じた。明治にも課題が残った。

「今年のチームは中だるみが課題です。入りは良いのですが、途中で上手くいかないこともありました。そこは修正しなければいけません」(明治・WTB石田主将)

早稲田は21点ビハインドから2連続トライを生み出す。

両校の規律正しく激しいブレイクダウンにより、序盤はノット・リリース・ザ・ボールの反則はなし。しかし早大のルーキー、FL栗田文介が前半26分にジャッカルを決めた。

ルーキーが起こした攻守交代から敵陣に入った早稲田は、前半28分。

松下怜央(早稲田大学)

エリア左の狭いスペースで4本のパスを繋ぎ、外側で一気に加速してWTB松下怜央が疾走。5度目の敵陣アタックでようやくデザインされたチームアタックで初トライ。実力を示した。

さらに早稲田は前半30分、キックチャージ後にSH宮尾昌典、HO佐藤健次が2人掛かりでジャッカル。

ブレイクダウンを修正してみせると、試合序盤に後手を踏んだ自陣脱出方法でも修正力を発揮。タッチに出さずに蹴り返したところで、今度はPR井元正大、HO佐藤がジャッカル。ディフェンスから自陣を脱出してみせた。

ここから敵陣に入った早稲田は前半終了前、ルーキーSO野中健吾が落ち着き払ったグラバーキック。これを業師のFB小泉怜史がグラウンディング。7点差(14-21)に詰めて後半へ入った。

「前半に取られた3トライは、すべての起点がラインアウトからでした。後半はそこで起点を作られないよう、コンテストボールを増やしました」(早稲田・CTB吉村紘ゲーム主将)

後半開始から早稲田はハイボールを多用。味方が競ることのできる絶妙な位置に落とし、ボールを争奪。後半開始後、5回中4回の再獲得に成功した。

それでも7失点を喫した理由は、インターセプトだ。

後半3分、明治のCTB齊藤誉哉が山なりのロングパスをインターセプト。早稲田は手痛い一撃を浴び、ビハインドはふたたび14点(14-28)に。

さらに追加点がほしい明治だったが、序盤はミスがなかったボールセキュリティの精度が落ち、2連続のノックオン(後半16、20分)。

すると早大はFB小泉が得意のキックゲームに勝利し、敵陣でアタックを開始する。

そして後半24分、先制トライと同じく細かいパスを繋いでエリア隅を攻略。トライゲッターのWTB槇瑛人が疾走してチーム3トライ目。ビハインドをふたたび7点差(21-28)に戻した。

残り15分で7点差。

期待を裏切らぬ好勝負となったが、両軍フロントローのほとんどが交替すると変化が。明大は今季初出場のPR大賀宗志をはじめ、HO紀伊遼平、PR中山律希がスクラム、そして攻守にエナジーを注入した。

終盤、早稲田はスクラムで2連続の反則。明治が右コーナーへ侵入した後半33分、HO紀伊、PR中山が地を這うようなキャリーでゴール目前へ。

ここでSO伊藤に代わって入った池戸将太郎がギャップを見つけて走り込み、殊勲のトライ。スクラムハーフもできる万能プレイヤーが大舞台で値千金の仕事を果たし、リードは再度14点に。

その後の早稲田はFL森山雄太のジャッカルなどにあい、得点できず。最後も12フェーズを重ねた後にラックでカウンターをもらい、万事休す。

明治は全5トライをバックスが奪い、最終スコアは35-21。98度目の対戦で勝利した明治は、通算を41勝55敗2分けとした。

勝者となった明治の神鳥監督は「早明戦はいつの時代も厳しい試合になります。スコアで上回った選手を非常に誇りに思います」と話した。

「ただ我々の目標は『これから』です。しっかりと気を引き締めて次の試合の準備をして行きたいと思います」(明大・神鳥監督)

ラグビー 関東大学対抗戦2022

【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 明治大学

敗戦した早稲田のCTB吉村ゲーム主将は「最初の10分で圧力を掛けられ、スコアを重ねられ、そこから巻き返すところまでは持っていけました。しかし結果としてこういうスコアで終わり、すごく悔しい気持ちです」と語った。

また早稲田の大田尾監督は「敵陣22メートルに入った時にスコアする術を持っているかが選手権の鍵、と思いながら今日のゲームを見ていました」と話し、すでに視線を1週間後の3回戦、11日の東洋大戦へ向けていた。

最終週を終えた関東大学対抗戦は帝京大学が1位、明治が2位、早稲田が3位に。

早稲田は12月11日の大学選手権3回戦で、関東大学リーグ戦で旋風を巻き起こした同3位の東洋大学と対戦する。

「東洋大学さんは夏合宿で試合をしたのですが、規律が高い印象です」と早稲田の大田尾監督。

「外国人留学生のボールキャリーもあり、自分たちのやるべきことが明確な良いチームという印象です。早明戦の翌週に試合というのは、僕もやった事がなく、コンディションやスケジュールをどれだけ整えられるのか、難しさは感じています」(早稲田・大田尾監督)

選手権3回戦の勝者は、2週間後の12月25日の準々決勝に進出。準決勝進出をかけて対抗戦2位チーム――つまり明治と激突する。

明治のWTB石田主将は、3週間後のクリスマスまでにさらなるチーム力の向上を誓った。

「選手権には良い形で繋げられたかなと思いますが、チームが一つになるという点ではまだまだだと思うので、そこにもう一度こだわりたいと思います」

舞台はすでに開幕している大学選手権へ。今年はどんな熱きドラマが待っているのか。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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