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ラグビー コラム 2022年12月5日

【ハイライト動画あり】同志社大、崖っぷちでシーズンベストのパフォーマンスを発揮し大学選手権出場つかむ。ラグビー関西大学Aリーグ最終節レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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なすすべもなく完敗した2週前の近畿大戦から一転、気迫みなぎる攻守でゲームを支配し続けた同志社大。対照的に天理大は前節京都産業大との首位攻防で息詰まる熱闘を演じながら、この日はほとんど持ち味を発揮できぬままフルタイムを迎えた。学生ラグビーはわずかなきっかけでチームもパフォーマンスも大きく変わる。稀に見る混戦となった今季の関西大学リーグを象徴するような、ドラマティックな最終節だった。

大学選手権出場へ望みをつなぐために勝ち点5を取るしかない同志社大は、キックオフ直後からフルスロットルでたたみかけた。開始2分、相手の反則に乗じて敵陣レッドゾーンでマイボールラインアウトのチャンスをつかむと、後方のクリーンキャッチからモールをドライブ。BKまで加わって一気に押し切り、ルーキーのNO8林慶音が先制のトライを挙げる。

大島 泰真(同志社大学)

その後、天理大も8分にゴール前のラックからLO韮沢陽斗がサイドを割ってポスト下に飛び込み、ゲームはいったん振り出しに。しかしこの試合の同志社大はここからがたくましかった。14分、ふたたびゴール前ラインアウトからモールでなだれ込むと、直後の17分にはこちらも1年生のSO大島泰真がキックチャージしたボールを絶妙のタッチで足にかけ、そのまま左中間にグラウンディング。みずからコンバージョンも決めて21-7とリードを広げる。

追いかける天理大は21分、FW、BK一体となったアタックでフェーズを重ね、右サイドをWTBナイバルワガトマシ→FB本田飛翔で崩してCTB上野颯汰がインゴールへ。これで点差は7点に縮まったが、同志社大も粘り強いカバーディフェンスで続くピンチをしのぎ、相手側へ傾きそうな流れを懸命につなぎ止める。そして迎えた38分過ぎ、敵陣ゴール前でラインアウトを得ると、またも結束の固いモールで天理大FWを圧倒してトライ。同志社大が28-14と先行して前半を折り返した。

後半。天理大が個々の推進力を押し出して連続攻撃を仕掛け、たびたび敵陣22メートル線内へ攻め込んだが、同志社大も集中力高くひたむきに体を当て続け、決定的な場面を作らせない。15分あまり続いた苦しい時間帯をしのぎきると、次第に同志社大が勢いを盛り返し、相手陣でアタックするシーンが増え始める。

ラグビー 関西大学リーグ2022

【ハイライト動画】天理大学 vs. 同志社大学

14点差のまま迎えたラスト20分。次に点を刻んだほうが主導権を握ると思われたこの勝負どころで、大きなトライを挙げたのは同志社大だった。

62分、ゴール前5メートルの位置でのマイボールラインアウトから、この日4度目となるモールドライブでゴールラインを越える。さらにその2分後には途中出場のFL奥平都太郎のビッグタックルから一気にインゴールへ迫り、鋭くギャップをついたSO大島が2本目のトライをマーク。42-14と安全圏までスコアを拡大する。

以後は得点差によって生まれた精神的な優位性を生かし、落ち着いてゲームをコントロール。76分に天理大NO8パトリック・ヴァカタに密集脇をこじ開けられたものの、気持ちのこもった防御で失点はこの5点だけに抑え、着々と時計を進める。最後はまたしてもラインアウトモールからサイドを突いたHO長島幸汰がフィニッシュ。最終的には47-19までスコアを伸ばし、同志社大が快勝を収めた。

負ければ入替戦に回る可能性もあるという崖っぷちの状況で、プレッシャーをはねのけシーズンベストのラグビーを披露した同志社大。ボーナスポイント付きの勝ち点5をつかみ取り、3位近畿大、4位関西学院大がいずれも敗れたため、結果として逆転で3位に滑り込んで大学選手権への出場権も手にするという大きな大きな勝利となった。

勝因は何といってもFW陣の奮闘だろう。ラインアウトからのモールで5つのトライを奪ったほか、ブレイクダウンやタックルシチュエーションのバトルでも相手を上回り、チームに活力をもたらした。リーグ最終戦にしてようやく、今季ここまで積み上げてきたものが完全開花したという印象だ。

どん底からはい上がった勢いが生み出す上昇気流は、中1週で臨む大学選手権の福岡工業大戦(12月11日11時45分キックオフ@花園ラグビー場)、さらにはその先の戦いに向けても貴重な力になるだろう。一方の天理大は同日同会場で行われる筑波大との激突(14時キックオフ)へ、短期間でどこまで立て直せるかが問われることになる。関西のみならず全国のラグビーファンにとって注目の2試合となりそうだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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