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10月15日(日本時間11:15)、女子日本代表(サクラフィフティーン)は、ニュージーランド北島のファンガレイで女子アメリカ代表と戦った。開催中のラグビーワールドカップ2021の第2戦である。世界ランキング6位のアメリカ代表は、FWの平均身長で約7cm、体重で約5kg日本より一大きく、フィジカルの強みを押し出してくる。日本は組織的に素早く前に上がるタックル、テンポの速い攻撃で対抗しようとした。
松田凛日
互いに初戦を落とし、負けられない戦いは現地時間の午後3時15分、SO大塚朱紗のキックオフで始まった。開始直後、WTB名倉ひなのが力強いタックルで観客を沸かせ、勝利への意欲を見せつける。大塚のラインブレイクとFB松田凛日のキックで相手陣深く入った日本は、アメリカのゴールライン直前右のラインアウトからモールを組むと見せかけてNO8齋藤聖奈がタッチライン際に走り込み、待ち受けていたSH阿部恵にパスをつないで先制トライをあげる。
その後も日本は素早いプレッシャーでアメリカの攻撃を食い止め、アメリカ陣内でチャンスを作った。前半13分、アメリカのゴール前のスクラムからの攻撃で、パスが通っていればトライかと思われるシーンがあったが、ここはアメリカの故意のノックオンでチャンスを逸する。アメリカFLキャスリン・ジョンソンは故意のノックオンでシンビン(10分間の一時退場)になった。直後、ゴール前5mのラインアウトのチャンスを得るが、ボールをまっすぐ投げ入れられず、陣地を大きく挽回されてしまう。
アメリカSOガービー・カントーナにPGを決められ、5-3となった22分、大塚の好タッチキックからチャンスをつかみ、相手陣22mライン付近でラインアウトを得るが、ここもノットストレート。27分には、ゴール前のラインアウトからFWがじわじわと前進し、最後に齋藤がインゴールにボールを持ち込んだが、抱え込まれてボールを押さえることができず、相手ボールのドロップアウトとなる。前半の日本は何度もチャンスを作っていた。アメリカのモールを低い姿勢で止め、FL長田いろはが好タックルを決め、CTB古田真菜が相手ボールにからんでターンオーバーを勝ち取るなど好プレーが多かっただけに、5-3というスコアがもどかしい前半だった。
女子ラグビーワールドカップ2021 ニュージーランド大会 プールB
【ハイライト動画】アメリカ vs. 日本
後半5分、アメリカHOジョアンナ・キトリンスキーにトライを奪われ、5-8と逆転されたが、古田のタックル、HO谷口琴美のジャッカルなどで対抗。11分には、阿部がゴール前のPKから速攻を仕掛け、大塚のロングパスが名倉につながってトライ。10-8と再びリードを奪う。しかし、直後のキックオフで反則を犯すと、そのPKからのタッチキックでラインアウトを与えてしまい、CTBアレブ・ケルターに縦に走り込まれ、逆転のトライを許した。ケルターは、18歳以下のアイスホッケーの全米代表キャプテンの経歴を持つアスリート。この後も力強い走りで日本のディフェンスを切り裂いていった。
今釘小町
10-13で迎えた後半22分、交代出場のエリザベス・ケアンズに右コーナーにトライされ、この難しいゴールをケルターに決められてしまう。その後、もう1トライ追加され、10-27と突き放された。日本も後半36分、WTB今釘小町がカウンターアタックから個人技でトライをあげたが、届かなかった。
南早紀キャプテンは悔しさをにじませた。「世界ランキングほどの差を感じず、戦えているという実感はあったが、スコアを獲るという点では強豪国との差はそういったところなのかなと思った」。トライをあげた名倉ひなのは言った。「自分たちをコントロールしきれなかったことと、相手のキックに対応できなかったことが悔しい。前半のプレーや雰囲気がすごく良かったので、次は 80 分間そのモメンタムを出し続けて必ず勝利したい」
前半はアメリカ陣で戦うことに成功していただけに、3度、4度と得点チャンスを逃したのは痛恨だった。いかにスコアに結びつけるかは大きな課題だ。後半10分以降のディフェンスのほころびは「力負け」という印象が強かった。レスリー・マッケンジーヘッドコーチは「特にテリトリーをコントロールすることができたことを非常に誇りに思う。いくつか機会を逃してしまったこと、規律の欠如と判断ミスは課題。このような厳しい形で教訓を得なければならなかったことは本当に残念なこと」と話したが、「2試合負けたからと言って、物語が出来上がるわけでもなく、すべての結果が決まるわけでもない」と前を向いた。そう、サクラフィフティーンの挑戦はまだ終わっていない。第3戦は、10月23日(日本時間8:45)から行われる。相手は世界ランキング5位のイタリア代表だ。世界の大舞台でさらに成長したサクラフィフティーンの姿を見せてもらいたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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