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大塚朱紗
ニュージーランドで開催されているラグビーワールドカップ(RWC)に参加している女子日本代表(サクラフィフティーン)が、10月9日、一次リーグの初戦で女子カナダ代表と対戦。序盤から接点で圧力を受け、5-41で敗れた。
試合は、ニュージーランド北島ワンガレイで午前11時15分(現地時間15:15)にキックオフされた。史上初のベスト8を目指す日本だが、開始2分、自陣深くにキックを蹴り込まれ、懸命に戻ったWTB今釘小町がタッチに蹴り出そうとしたところで猛然と走り込んできたカナダCTBサラ・カルジュビーにキックをチャージされてしまう。ボールはインゴール方向に転々とし、WTBペイジ・ファリーズに押さえられ、先制トライを許した。
日本もすぐさま反撃。SO大塚朱紗がカナダ陣深く蹴り込み、相手がキャッチした瞬間にタッチラインを越えてしまうという絶妙なキックでチャンスを得る。このラインアウトから攻めた日本は、CTB中山潮音の縦突進を起点に速いテンポでボールをつなぎゴールラインに迫る。最後はRWC2大会目の出場となるLO高野眞希がトライをあげた。ゴールは決まらず、スコアは5-5となる。
その後も日本は体格の大きなカナダ選手の縦突進を低いタックルで止め続ける。しかし、カナダの武器であるラインアウトからのモールを止めきれず、前半14分、HOエミリー・トゥットシにトライを奪われた。SHブリアナ・ミラーのゴールも決まって、12-5。日本はこの後もモールに苦しめられることになる。24分には、ボール争奪戦で圧力をかけられてボールを失い、その後のラックサイドをSHミラーに破られて3つ目のトライを献上。続く29分、ラインアウトからのモールを約10m押し込まれて4つ目のトライを奪われ、35分にはモールで前進されたあと、SHミラーにトライを追加された。前半を終えて、27-5。
後半はカナダのキックオフで始まったが、このボールが10mラインに届かない短いキックとなる。そのまま放っておけば、ノット10mの反則だが、CTB中山はこれをキャッチしてカナダ陣に走り込むアグレッシブなプレーを見せる。その後も、LO佐藤優奈のジャッカル、SO大塚の好タッチキックなど、個々には良いプレーが出るのだが、それが得点につながることはなかった。その後もカナダの波状攻撃を踏み込んだタックルで止め続けたが、最終的には5-41で完敗した。
女子ラグビーワールドカップ2021 ニュージーランド大会 プールB
【ハイライト動画】日本 vs. カナダ
連携ミス、ハンドリングエラー、反則が多く、自陣で戦うことが多くなったのは敗因の一つだろう。日本は今大会でもっとも小さなチームだ。ラインアウトからのモールには今後の試合でも苦しめられる可能性が高い。ゴールラインを背負ってディフェンスする時間をできるかぎり少なくする試合運びが求められる。
黒星スタートとなったが、レスリー・マッケンジーヘッドコーチは悲観していなかった。「ゲームマネージメントの面では、次の2週間に向けて厳しい教訓を得る良い機会になりました。全体的にはポジティブな要素が多く、とても満足しています。コンタクトやボールの動きも良かったし、日本代表が持っている良さも少しは見せられたと思います」。南早紀キャプテンはこう語った。「セットプレーについては、良いスクラムを組めて、対等に戦えていましたが、ラインアウトやモールでは判断が上手くいかなかったところもあり、次に向けて修正して良いディシジョンメイキングをしていきたいです」。
プール戦はあと2試合ある。次は10月15日(土)、日本時間の午後1時30分からアメリカ代表との対戦だ。世界ランキングは6位(10月3日現在)で3位のカナダより下だが、同じようにフィジカル面で圧力をかけてくるだろう。この日、唯一のトライをあげた高野は言った。「次戦以降は、自分たちの強みであるディフェンスでもっと前に出て相手にプレッシャーをかけ、アタックでボールを継続し、自分たちのラグビーを表現したい」。次こそ、大きなサクラウェーブを起こしたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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