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レキマ・ナサミラ(東海大学)
戦国時代の到来か。
9月10日(土)に開幕した関東大学リーグ戦1部は、開幕週の4試合中3試合が「11点差以内」の接戦だった。
そして9月24日(土)、埼玉・熊谷に、今季初勝利を目指す1敗の東海大が登場する。
王者にチャレンジするのは、同じく1敗の立正大学。東洋大と同じ昇格組だ。8季ぶりとなるリーグ戦1部で、東洋大に続くアップセットを狙う。
立正大学は強い。
指揮官は元日本代表SHの堀越正己監督。高速展開の申し子だった名スクラムハーフらしく、チームは「9番を中心に動き」「スペースにボールを運ぶ」(堀越監督)スタイルだ。
昨季からの主力が多く残り、春季大会はCグループで4勝1敗(不戦勝1)の2位。充実した春を過ごし、さらに夏には戦術戦略が深まったという。
「夏合宿で個人面談をしながら戦い方を話す機会があり、それを夏合宿でやり込みました。そこでチームが上向きになってきた印象です」(立正大・堀越監督)
迎えた日本大学とのリーグ開幕戦で、立正大は驚きの戦術を見せた。
徹底したハイパント攻撃。これには日本大の中野克己監督も「描いていた立正大学さんとはかなり違い、選手が慌てる場面もありました」と予想外だったと語った。
立正大の奇襲は成功した。
昨季リーグ戦2位の日本大に対し、開始70分を過ぎまで5点リード(33-27)を奪っていた。番狂わせまであと一歩。しかし終盤に2トライを奪われ、11点差(33-44)の惜敗となった。
思えば今夏、本稿筆者のインタビューの際、代表26キャップの堀越監督はこんな言葉を残していた。
「すべての試合をテストマッチのつもりで闘いたい」
格上相手には守備から僅差に持ち込み、勝ちにこだわり、1点でも上回る――。
予想を覆す日本大戦のハイパント攻撃は、テストマッチ同様、徹底的に勝ちにこだわる覚悟に見えた。
本稿執筆時点でメンバーは未発表だが、日本大戦で2トライを奪った南アフリカ出身のNO8ユアン・ウィルソンは出場すれば要注目。南ア代表を多く輩出する強豪高校・パールジムナジウム出身の好キャリアーだ。
NO8ウィルソンは2年生だが、1年目はコロナ禍により部活動に参加できず。部への本格加入は本年度からで「実質1年目」(堀越監督)という。
そして日本大戦で先発したHO陣内源斗主将。またBKリーダーで主戦SHの中森隆太(4年/東福岡)、副将のSO吉永崚(4年/九州学院)という九州出身コンビはやはりキーマンだろう。
かたやリーグ戦王者の東海大。
2006年度の関東学院大学以来日本一から遠ざかっているリーグ戦勢を牽引してきたトップランナーであり、今季はリーグ5連覇、そして悲願の初優勝を狙っている。
24年目を迎えた木村季由監督は開幕前、「今年のチームの一番の課題は経験値の低さですが、いろいろなチームと対戦して春から夏にかけて少しずつ克服してきた」と総括していた。
開幕戦でアップセットを許したが、重厚な選手層、強力なセットプレーに裏打ちされた実力は簡単には揺るがないだろう。
帝京大学には21-59で破れて4勝1敗(2位)となったものの、これが成長のターニングポイントだったと木村監督は語る。
「春の帝京大学戦で『やらなきゃいけないことをやらないとどうなるのか』を思い知らされたと思います。そこからひとつ意識が変わってきたかなと」
敗戦を糧に成長するチームは、東洋大戦での敗戦を受けて、今週土曜日にどんな姿を披露するのか。
そして東洋大戦で先発した3人の留学生FW、両ロックのアフ・オフィナ(3年)、ワイサケ・ララトゥブア(4年)。そして190センチの体躯で猛進するFLレキマ・ナサミラ(4年)をどの場面で使ってくるか。
注目点のひとつはフィジカルバトルだろう。
昨季までリーグ戦2部が舞台だった立正大にしてみれば、フィジカルのスタンダードを試す格好の相手。フィジカルでしっかり対抗できれば東洋大と同様に勝ち筋が見えてくるはずだ。
一方の東海大はフィジカルで優位に立ち、伝統的に強いセットプレー、ラインアウトモールで圧力をかけたい。ハーフ団が指揮する高速アタックも要注目だ。
東海大は今季初勝利を飾り、さらなる成長の糧にできるか。かたやテストマッチの覚悟で襲いかかる立正大は、どんな戦い方を見せるのか。今週は土曜日の熊谷から目が離せない。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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