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ラグビー コラム 2022年8月5日

五郎丸歩、クラブスタッフとしてのセカンドキャリアを語る編 ~大畑大介、大西将太郎、五郎丸歩がラグビー界について語る!~

ラグビーレポート by J SPORTS 編集部
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大畑大介さん、大西将太郎さん、五郎丸歩さん、3人の元ラグビー日本代表選手に、ラグビー選手のセカンドキャリア、日本代表時代の出来事、プライベートについて語っていただきました。

大西将太郎:今日は素敵なゲストをお招きして、「J SPORTSラグビーチャンネル」と、僕たちのYouTube「大畑&大西のラグビーチャンネル」がコラボして、テーマに沿って話をしていこうという企画です。五郎ちゃん、わざわざ来てくれて、ありがとうございます。

五郎丸歩:いえいえ、とんでもないです。

大畑大介:いやー、(五郎丸とは)久しぶり。

五郎丸:相当、久々ですよね。

大畑:うん。いやー、改めて見て「でけーな」って…(笑)。

五郎丸:でかいっす。はい(笑)。

大西:3人で(一緒に日本)代表ってありました?ないよね?

大畑&五郎丸:ないですね。

大西:僕が覚えてるのは五郎丸が一番最初、学生で代表入った時に僕が所属してたワールドのグラウンドで合宿していた。

五郎丸:あー、してました。

大西:その時に2人はいたんですよ。

大畑:いたいた。

大西:僕は代表を外れていたから、あの時に初めて五郎ちゃんを見た。3人で重なったことはないので、この3人でトークするのは初めてですが、よろしくお願いします。

クラブリレーションズオフィサーの仕事は何でも屋!?

大西:今日は五郎が来てくれているので、引退した後のセカンドキャリアのこととかについて話を聞きたいなと。五郎さんは今、C…?

五郎丸:RO

大西:CRO、クラブリレーションズオフィサー。

大畑:日本語で言って。

大西:え…。

五郎丸:何でも屋です(笑)。

大西:1年目、リーグワンが終わりました。そこで五郎の立場からクラブに関わって、リーグワンの印象はどうですか?

五郎丸:そうですね。元々、構想していたのは「完全にプロ化しましょう」という中で、それだったらちょっと応援できないよとか、会社として参加できないよ、というチームがいる中で、完全プロ化と完全社員化の中間を取ったのが、今回の体制かなと思っています。まあ、プロ化の第一歩を踏み込んだという感じです。

【J SPORTS×大畑&大西のラグビーチャンネル×静岡ブルーレヴズ】

【動画】大畑大介、大西将太郎、五郎丸歩がラグビー界について語る!〜コラボ企画 前編〜

大西:良い言葉やね。

五郎丸:他の業界に、各チームが今まで興行権を持ってなかったというのはかなりびっくりされます。やっと、各チームに興行権が振られて、1年間自分たちで興行してみなさいというところ。Jリーグなんて、もう30年も歴史を刻んでます。他のリーグは30年40年先に行ってるのをやっと今、1年目を踏み出したというのが正しいかなと思います。

大西:本当にそういった意味で、五郎は先輩というか、社長とかとよく会って話しとかしてるもんね。

五郎丸:先週は野々村(芳和)チェアマン。自分が目指したい方ですけど、プロとして選手もされてましたし、球団社長もされて、今年の4月からはJリーグのチェアマンとして活躍をされています。

大西:初めて選手からチェアマンになった。

大畑:ということは、五郎はゆくゆくはそこを目指していくと。

五郎丸:なれたらいいなと思ってますけど。

大西:そういう、いろいろな経営者の方々と会ってやっぱり勉強になる?

五郎丸:そうですね。今、企画でずっとやらせていただいているんですけど、普段会えないような方と番組を通じてお話しできるんで、非常にありがたい機会をもらってると思います。

大畑:ラグビーに還元できることもある?

五郎丸:我々、静岡ブルーレヴズというのはラグビー界で、初めて子会社化して独立、採算性を持ってやりましょうという会社。とは言っても1年目ですし、会社としてどういう風に規模を大きくしたり、自分たちの存在感を示していくかという観点では、いろいろな業界から話を聞けるのですごく勉強になりますね。

大西:今は1年通してシーズン終わって、その後のレビューをしていこうという時期ですか?

五郎丸:この1年間通じて、どういった方が来場されたとか、どういったものを購入されているとか、どのエリアから足を運んでいただいたか、というデータが全部出てきてるので、それをベースに来季どうしていくかというところです。

コーチをやると言ったら清宮さんに「面白くない」と言われて…

大畑:今シーズンに関して、コロナ禍の状況の中で、想定してたものとは大きく違ったと思うんだけど、その辺りはどういう風に捉えて運営してましたか?

五郎丸:我々は開幕から3試合、コロナの影響で飛ばしてしまったんですが、新リーグ開幕でかなり意気込んで、いろいろな施策を打ってきたんですが、それが全部パーになってしまって結構ショックも大きかったです。

ただ、選手をやっていた身としては、選手が一番ショックを受けてるだろうから、我々は気持ちを切り替えたり、「次の試合で選手たちが気分よく試合できるようにやってあげなくちゃいけないね」という話はしました。

大畑:今日、引退してからの五郎の話をいろいろ聞いたんだけど、セカンドキャリアで現役を引退するその手前ぐらいから、こういった道を選んでいくんだとか、自分がやろうとしてることとかをイメージしていたとかあるの?

五郎丸:いや、あまりイメージしていなかったです。コーチの話もいただいてたので、そのまま現場に残ろうかと思ってたんですけど、清宮(克幸/元ヤマハ発動機監督)さんと夏合宿の時にちょっと話そうと言われて、2時間ぐらい話したんですけど、「お前、セカンドキャリアどうすんだ」と言われて、「コーチの話もいただいてるので、現場でやっていこうかなと思ってます」と伝えたら一言、「うーん、面白くない」と言われて(笑)。

で、そこから2分くらい沈黙です。「これ、やばいな」と思ってずっと待っていましたけど、まあそれ以降、言葉は出てこずですね。「ちょっと考え直します」というところで。

大畑:五郎としての存在はどこにあるのかと。

五郎丸:そうですね。「お前しかできないことを追い求めていかなくちゃいけない」というところで、2時間話しましたけど、結局答えはくれずですね。合宿中悩んでるみたいな感じでした(笑)。

大畑:モヤモヤした状態で(笑)。

五郎丸:うちの会社、ヤマハ発動機が完全に子会社化して、ラグビー界で今までやったことないことにチャレンジするという話を聞きました。大体、子会社化すると、上から人事が降りてくるものですが、そうではなく全く違う世界の球団社長を持ってくるということでした。

その球団社長で山谷拓志という者がいるんですけど、一緒に食事をした時にその運営に対する魅力というのも感じましたし、ゆくゆくは球団社長になれるくらいの実力はつけた方が良いということでした。ただ、お飾りみたいな形でなるのは良くないので、本当にイチからチケット1枚売るところからスタートしようと、チケットチームに最初に配属させてもらったいう感じです。

いろいろなことに興味を持って学ぶ機会が増えた

大畑:そういった意味でも、五郎の場合は名前もあるし、実績も残しているし、必要とされている人間として入っていくけれど、チームの中でも引退した後にどういった形で携わっていくのかは、すごく難しいとは思う。ブルーレヴズとしては、プロ契約で引退した人間が、そのままチームスタッフに入っていくという事も考えてはいるの?

五郎丸:理想としては現場でやってきて、しっかりと功績を残した人間に関しては 残すべきだという風には思いますが、ただその職がないから、ブルーレヴズの運営としてやるというのは違うと思っています。お互い、プロ意識を持ってやっていくとなれば、選手に能力があれば運営に残ってやっていくのは1つの手かなと思いますけど、全員が全員、辞めたから戻ってくるというのは、それはちょっと違うと思います。

大畑:都合の良い話やからね。そういった意味では、トップリーグができて契約選手が増えてきたのが将太郎の時代ぐらいかな?俺の時代はまだそういう活動が全然なかった時代だし、五郎の頃はチームに入る段階から選択はできるような段階だったということでいうと、五郎が36歳ということは、周りの人間も結構引退し始めてる選手が多いよね?

五郎丸:残り山下(裕史/コベルコ神戸スティーラーズ)、堀江(翔太/埼玉パナソニックワイルドナイツ)、この2人が2トップで頑張ってますね。

大畑:そういった選手は引退した後とか、結構いろいろな仕事就いたりとか、また現役中に色々なこうデュアルキャリアみたいな感じで色々と学んでる選手とかいたの?

五郎丸:我々のチームは元々、そんなにプロ全員来ていいよという感じのスタンスは取っていないです。今だと、3~4人とかそんなレベルでしか、日本人のプロ選手はいないです。いないので、セカンドキャリア云々という問題は、あまりフォーカスされないと言いますか。

大西:社員やったよね。五郎入った時?

五郎丸:いや、僕は入った時はプロです。リーマンショックで社員になって、もう1回プロに戻ったみたいな。

大畑:将太郎は契約だったの?

大西:僕はヤマハに入る時はもうプロで。ワールドに入る時は社員。

大畑:僕は神戸製鋼の時は社員だったので、ラグビーをきっかけとして会社に入る。そういった部分で言うと1つのキャリアだよね。けど、五郎の頃はプレイヤーとして会社に入って、もしくはプレイヤーとしてチームに入っていくことで言うと、ラグビー以外の部分も当然必要になってくる。そこの難しさはみんな考えていたの?契約で入るということを。

五郎丸:いやー、そこまで深く考えてなかったですね。大体、「先生になります」とか「家業継ぎます」とか、みんな言って入ってきますけど、結局社会人やってる間に気持ちが変わったりして。

大西:そのまま、そうなった人、あまり見ないよね?

五郎丸:ほとんどいないですね。今、コロナ禍になって苦しい反面、オンラインが進んできた。それこそ今、大学院に行かせていただいていますけれども、運営として仕事をしながら、大学院へ行ったりすることも可能ですし、それは今のプロ選手たちも一緒かなと思うんです。

プロをしながら大学に行くのは、拘束時間や移動時間も含めて結構ハードルが高い。でも今、オンラインになったので、いろいろなことに興味を持って学ぶ機会が増えたと思います。

セカンドキャリアは前向きに捉えた方がいい

大畑:現在進行形で選手もそういった講義を受けたりとかしているの?

五郎丸:結構いますよ。別にラグビー界だけじゃなくて、Jリーグとかも、今多いです。

大畑:各スポーツがセカンドキャリアに対して、リーグでそういったことととかサポートしていくと言ってるもんね。

五郎丸:大体、現役の時に言われるのは「セカンドキャリア大丈夫?」とか、心配する声が結構多くて、セカンドキャリアはスポーツ選手にとって、すごくネガティブなイメージが入っているじゃないですか?

もうちょっと前向きに捉えた方がいいんじゃないかと思っていて、考え方だと思うんですけど、自分が人生を豊かにするために学ぶことだとか、そういうことはすごく大事だなという風に思いました。

大西:でも、本当にびっくりしたのは、一番最初にヤマハスタジアムで開催できたブルーレヴズの試合の時。雨が降ってたから、朝から椅子拭いてたもんね。

五郎丸:拭いてましたね。

大西:僕は解説で行ったんですけど、チケット売るのも大変そうやし、スタジアムを動きまくってるんですよ。そういう姿を見て「あー、引退してそういうことをしようとしてやってんねんな」というのをすごい身近で思いました。めっちゃ動いてたもんな?五郎。

五郎丸:まあ動くしかないですよね(笑)。

大畑:だって、何でも屋やもんな。

五郎丸:そうです。何でも屋なので(笑)。椅子も拭きますし。

大西:でも、あのラジオ、場内のラジオとか、三角(公志/ヤマハ発動機ジュビロ OB)がやってるやつとか、すごい人気があるよね?

五郎丸:そうですね。オフィシャルになると言えないこととか、いろいろ表現方法とか考えて表現しないといけないし、それこそラジオ自体にスポンサーがついたらそっち寄りの話があるんですけど、そういうことをせずに、すごいフラットな感じでラジオをやっているので。

大西:あれは独自性みたいなのを、もっと追求していきたいって感じ?ブルーレヴズとして。

五郎丸:うちは勝ち抜いていくためには、独自性を求めないと東京のチームと同じことやってても絶対無理だと思いますね。

大畑:チームのポリシーというか、テーマとしてもそういうところがあると?

五郎丸:もう人口が違いますし、そもそもうちのお客さんは静岡県内の方ばっかりなので、サッカーが先に行ってるとなれば、ブルーレヴズを見る価値というのは、いろいろなことで作っていかないとと思います。

大畑:子供たちに対するアプローチも、随分昔からやってるもんね。

五郎丸:普及活動は恐らくリーグワンの中では一番やってるんじゃないですか。

これからもラグビーを楽しく見てもらうためにがんばる

大西:さっきもちょっとしゃべってましたが、大介さんのセカンドキャリアは?

大畑:自分の中で、とにかくラグビーできる時間というのはそんなに長くないと思ってたし、1日でも長くラグビーを続けて、ということはなく、とにかくでかい花火を打ち上げて。自分の中でやってきたことを自己否定したくなくて、自己肯定するためにラグビーやってきたのがあった。

引退の一番大きなきっかけは、2019年のワールドカップ。自分が引退した後に何がしたいかよりも、世界からいろいろな人が来てくれるし、少しでも楽しんでもらえる環境を作っていくとなった時に、プレイヤーとしてはもう下り坂で、その中でプレーしても、結局は自分本位でしかないから。ならば外側に出て、少しでもラグビーのことを知ってもらえる活動をした方が良いんじゃないかな、というのが大きかった。

だから、それ以降にまた自分の中で新しくやれることをやっていくことによって、またいろいろなことが見えてくるのかなと、その1つが「大畑大介商店」というECサイト。あれも結局、自分がラグビープラス、その後にタレント活動をすることによって、いろいろな生産地の方と知り合ったことによって、コロナ禍の状況で出荷先がなくなったということに対してサポートしていきたい、というところで繋がってる。

自分がラグビーを通して感じた、自分の居場所がどこにあって、何ができるのかということの延長。そこに対しては、さっきのセカンドキャリアのネガティブさというのはなくやっている。

そういったところで言うと、将太郎なんて当時はラグビー選手は1つのチームで根を張ってプレーするのが多かった。でも、将太郎の場合は本当にいろいろなチームに必要とされて、そこで結果を残してきた。

大西:僕らの時代では移籍はあまりなく特殊だった。でも、その分いろいろなクラブを経験したことで、今の仕事にすごく活きている。そのクラブの特徴を喋れるのは大きい。だから全部繋がってると思います。

ただ、僕が辞めて思うことは、自分が社員じゃなくてプロでやってきて、終わった後に「なんか、あいつ何してんねん。失敗したな」と思われたら、今後プロになりたい人が増えないと思うので、がんばろうという思いだけでやったら、なにかあるかなみたいな。多分、みんなそうやと思いますよ。やっぱり辞めた後、僕はこれからもラグビーを楽しく見てもらうためにがんばろうと思っていますけど。

新しい世界を見られるのはすごく素敵なこと

大畑:いやー、だからセカンドキャリアなんて難しいよ。

大西:人、それぞれ違うし、だって五郎には五郎にしかできないことがあるし、大介さんには大介さんの、だからどう捉えるかですよね。でも、捉え方として五郎が言った捉え方は素晴らしいですよね。ネガティブじゃなくポジティブに。

大畑:本当に充実していた生活の中で、次に何がいろいろな自分の中でできるのかという、新しい世界を見られるのは、すごく素敵なことだと思う。ちょっと新しい世界すぎるから不安になるんじゃなく、自分がやってきたことをプラスにして、またさらに大きなものを見つけていく作業をしていくというのが大事と思うんだよね。自然と見えてくるよ。

五郎丸:でも、我々はお腹いっぱいまでラグビーできたんですけど…。

大畑:せやねん、結局そこやねんな。

五郎丸:ケガで、23とか24とかで「じゃあプロ、もうできません」となった時の備えはしておいた方が良いかなとは思いますけど。

大畑:それは大事だよね。

大西:そういうところをクラブがするのか、リーグとしてするのかというところ。もしクラブでするならば、クラブの1つの魅力に、チームを選ぶ1つの魅力になっていったりするってことだよね。

大西:はい。ということでセカンドキャリアを語る編はここまでです。

<プロフィール>

◆五郎丸歩:1986年3月1日生まれの36歳。佐賀工業高校、早稲田大学から、ヤマハ発動機、レッズ、RCトゥーロン(フランス)に所属。日本代表キャップ57、通算711得点で日本代表テストマッチ最多得点を記録。2015年ワールドカップの大会ベストフィフティーン。

◆大畑大介:1975年11月11日生まれの46歳。東海大学付属仰星高校、京都産業大学から、神戸製鋼、モンフェラン(フランス)に所属。日本代表キャップ58、通算69トライ、345得点を記録。日本人として2人目のワールドラグビー殿堂入り。

◆大西将太郎:1978年11月18日生まれの43歳。啓光学園高校、同志社大学から、ワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機に所属。日本代表キャップ33。2007年ワールドカップのカナダ戦、終了直前に同点のコンバージョンキックを決め、日本のワールドカップ連敗記録を13で止めた。

文:J SPORTS編集部

J SPORTS編集部

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