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5月中旬よりスタートした2022年の関西大学春季トーナメントは、7月2日、3日に最終節を迎える。今大会には関西大学Aリーグの8校とBリーグの上位2校に加え、東海学生リーグから朝日大学、中国地区大学リーグからIPU環太平洋大学が参加。これまで7週にわたって1~3回戦と敗者戦、順位決定戦の一部が行われ、今節で1位から12位まですべての順位が確定する。いずれの試合も楽しみなカードで、各校の春の成長度を見極める絶好の機会だけに、それぞれの戦いぶりが注目される。
7月3日(日)に天理親里競技場で行われる決勝(14時キックオフ)は、京都産業大と天理大の顔合わせとなった。両者の今大会での足取りを振り返ると、昨秋7戦全勝で23季ぶりに関西大学リーグを制した京産大は、関西学院大との初戦こそ前半14-17と先行されるなど苦しんだが(最終的には33-22で勝利)、続く6月26日の準決勝では、2回戦で同志社大に57-14と完勝した立命館大から12トライを奪う猛攻で78-19と圧勝。前年のレギュラー6人が卒業したものの、今シーズンも関西を牽引する存在であることを強く印象づけた。この試合ではFL福西隼杜共同主将を軸とするFWが安定した支配力を発揮したほか、右WTBの位置に入った1年生のシオネ・ポルテレが猛烈な突破力で3トライをマークするなど活躍。184センチ、115キロの巨躯を生かした爆発的な走りは、チームをさらに飛躍させる推進力となりそうだ。
2016年からの関西リーグ連覇が昨季5でストップした天理大は、トーナメント初戦で関西大を57-12と危なげなく退けると、準決勝では昨シーズン躍進を遂げた近畿大と対戦。スピードと頑健なコンタクトで攻守にプレッシャーをかけて序盤から主導権を握り、前半4トライ、後半に3トライを挙げて43-19で快勝した。スタメンの大半が入れ替わったFWが接点の攻防で優位に立ち、狙い通りのテンポでラックを連取してスコアを重ねられたことは、フレッシュなメンバーが多いチームにとって王座奪回に向けての自信になったはずだ。
ちなみに両校は5月1日にも練習試合を行なっており、この時は天理大が52-35で勝利している。2か月間のステップを経て迎える再戦は、果たしてどのような展開になるのか。秋の覇権争いを占う上でも、さまざまな面で重要な意味を持つ一戦となるだろう。
決勝に先駆けて行われる3・4位決定戦(7月3日12時キックオフ)では、前年度リーグ5位の立命館大と、同2位の近大が対戦する。立命館大は昨冬の花園でインパクトを残した俊英が数多く入学し、FL榎本匡志(大阪桐蔭出身)、WTB御池蓮二(東海大仰星出身)らが春季トーナメントで先発デビューを果たした。京産大との3回戦はセットピースで劣勢を強いられ大敗を喫したが、初戦で同志社大を圧倒しており、勢いに乗った時のアタックは大きな可能性を感じさせる。
一方の近大はPR紙森陽太、CTB福山竜斗ら学生トップクラスの実力者が卒業したこともあってこの春は苦しいゲームが続いたが、天理大との3回戦では持ち味のアグレッシブな仕掛けで3トライを奪い、潜在力を示した。新しいメンバーたちがチーム戦術にフィットしてくれば、今季も楽しみな存在になりそうだ。ともに3回戦はディフェンス面で課題が残っただけに、組織防御をどこまで立て直してくるかが焦点となる。
5・6位決定戦(7月2日14時キックオフ@天理親里)は、昨年の春季トーナメント優勝校である同志社大と、昨季リーグ戦7位の摂南大というカードになった。社会人の強豪サントリーでチームづくりのノウハウを学んできた宮本啓希新監督が就任した同志社大は、5月29日の京都ラグビー祭で京産大に19-52で敗れ、翌週の春季トーナメント初戦も立命館大に14-57と完敗するなど、この春は思うように結果を残せなかった。もっとも6月12日に行われた明治大との定期戦では随所に新スタイルの片鱗を見せ、19-40で敗れたものの確かな手応えをつかんだ。対する摂南大は初戦で朝日大を60-5で退け、2回戦は近大に24-50で屈したものの、3回戦では関西大を38-29で撃破。NO8ヴィリアミ・ルトゥア・アホフォノら突破力自慢の留学生を軸にしたアタックは破壊力があるだけに、この一戦は両チームにとって現在の力が試される重要な機会となる。
関西学院大と関西大がぶつかる7・8位決定戦(7月2日12時キックオフ@天理親里)も、両校にとって大切な位置づけのゲームだ。昨年度のリーグ戦の対戦では後半ロスタイムの逆転トライで関西大が勝利し、勢いに乗った関西大が6位に浮上した一方、敗れた関西学院大は全敗の8位に沈んだ。それぞれ下級生に力のある選手を擁しており、関西学院大はこの春季トーナメント2回戦で京産大に22-33と善戦(続く同志社との3回戦は棄権)。関西大も初戦で大阪体育大を38-7で破り、天理大との2回戦でも2トライを挙げるなど見せ場を作っている。5月29日の定期戦は35-35のドロー決着だっただけに、いずれも強い意気込みでこの試合に臨んでくるだろう。
なおこのほかの順位決定戦2試合は6月26日に行われ、9・10位決定戦は環太平洋大が27-10で朝日大に、11・12位決定戦は大体大が27-21で龍谷大に勝利している。まもなく迎える夏の鍛錬期に向け、いい雰囲気で春シーズンを締めくくりたいというのが、どのチームにも共通する思いだろう。各校の奮闘を楽しみにしたい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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