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ラグビー コラム 2022年6月20日

【ハイライト動画あり】帝京が東海を圧倒し3年ぶりに春制覇。 関東大学春季交流大会Aグループレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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帝京大学 vs. 東海大学

関東の大学ラグビー春の陣の頂点を争う大一番は、意外なほどの大差決着に終わった。フルタイムの笛に凱歌をあげたのは前年度の大学王者、帝京大学だ。ここまで春季交流大会全勝の東海大学を相手に焦点のフィジカルバトルで優位に立ち、9トライを奪っての完勝。3年ぶり8度目の優勝を果たし、今シーズンも大学ラグビーの主役であることを強烈に印象づけた。

ゲーム序盤に主導権を握ったのは東海だった。LOワイサケ・ララトゥブアやFLレキマ・ナサミラら留学生の強烈なヒットを起点にリズムをつかむと、WTB中川湧眞のビッグゲインで一気に敵陣ゴール前まで前進。ペナルティから速攻を仕掛け、NO8井島彰英が開始3分に先制のトライをマークする。

自陣ゴール前でのピンチをしのいだ後の9分には、相手陣22メートルライン内のマイボールラインアウトからFWがパワフルに前に出る。最後はラックサイドをLOララトゥブアが豪快にブレイクし、オフロードを受けたLO朴淳宇がポスト下に飛び込んだ。ゴールも決まってスコアは14-0に広がる。

一気に流れが傾くかと思われたシーンだったが、ここで帝京はインゴールで円陣を組んで気を引き締め直すと、すかさず反撃に転じる。HO江良颯、FL奥井章仁らが接点で激しく体を当てて勢いを生み出し、15分にラインアウトモールを一気に押し切ってPR上杉太郎がグラウンディング。22分にも献身的なキックチェイスから好機を引き寄せ、ふたたびラインアウトからのドライビングモールでPR上杉がなだれ込んだ。

さらにウォーターブレイクを挟んだ後の29分には、SO高本幹也があざやかな個人技でチャンスメーク。キャプテンのCTB松山千大が好判断でぽっかり空いたスペースへキックを蹴り込み、転々と弾むボールをFL奥井がインゴールで押さえる。これで19-14と逆転。その後に作り出したいくつかの決定機は仕留めきれなかったものの、帝京が19-14とリードして前半の40分を折り返した。

関東大学ラグビー春季大会2022

【ハイライト】 帝京大学 vs. 東海大学

迎えた後半。じわりとアクセルを踏み込むように力を発揮する帝京に対し、懸命の攻守で対抗していた東海だったが、後半開始5分に自陣ゴール前からのあざやかなカウンターアタックを仕上げて帝京CTB二村莞司がゴールラインを越えると、ゲームの天秤は大きく赤のジャージーの側へと傾く。

49分に東海のFLアフ・オフィナが危険なタックルでシンビンとなり、数的優位に立った帝京は、まず52分にラインアウトモールでHO江良がトライ。55分にもスクラム起点のアタックから、キックボールを追いかけたSH李錦寿が立て続けにインゴールを陥れる。60分には相手陣ゴール前でテンポよく順目にフェーズを重ね。LO山川一瑳がディフェンスのギャップを突き抜けて左中間へ。たたみかけるような連続トライでまたたく間に東海を突き放し、勝負を決めた。

ラスト20分は互いに多くのメンバーを入れ替えながらの戦いとなり、帝京は72分にまたもHO江良がパワフルなボールキャリーでフィニッシュ。東海も80分に途中出場のルーキーSH川久保瑛斗がトライを返して意地を見せたが、最後は帝京のPR高井翔太がラインアウトモールからゴールラインを割って締めくくり、59-21で帝京が勝利を収めた。

立ち上がりこそ東海のアグレッシブなアタックに受けに回ったものの、すかさず自分たちのすべきことに立ち返り、大崩れすることなく流れを引き寄せた帝京の対応力と底力は見事だった。ラグビーの根幹であるコンタクト局面で誰もがひたむきに体を張り、一歩でも前に出て圧力をかけ続ける厳格な姿勢は、チームとしての揺るがぬカルチャーと重厚な地力を感じさせる。4本のトライを奪うなど試合を通して猛威を振るったモールの推進力も圧巻だった。

この勝利で最終成績は4勝1敗の勝点20となり、同じく4勝1敗ながら勝点18の東海、明治を上回って3季ぶりの優勝が決まった。岩出雅之前監督よりチームを引き継いだ相馬朋和新監督は、指揮官として迎える最初の春の区切りとなる試合を終え、「学生1人ひとりが自分の力を出してくれた」と安堵の表情。CTB松山主将は夏に向け、「これからハードなシーズンになるが、もっとタフなチームを作っていきたい」と意気込みを口にした。

東海は身上の接点で劣勢を強いられ、時間が進むにつれて相手の圧力に押し切られる形でジリジリとスコアを広げられた。「自分たちで勝手に崩れて、自分たちの形を最後まで出せなかった。(帝京は)一人ひとりがシンプルなことを、ここぞの場面でやってくるのがすばらしい」と木村季由監督。もっとも、狙った形で攻めた時のスピード感と一人ひとりの非凡な局面打開力は大きな可能性を感じさせた。この試合で得た体感を糧に、今後どのように変貌を遂げていくかが楽しみだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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