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ラグビー コラム 2022年3月13日

【ハイライト動画あり】ついに覚醒か。神戸スティーラーズが今季ベストのパフォーマンスでブラックラムズ東京に快勝。リーグワン第9節レビュー。

ラグビーレポート by 直江 光信
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試合前から一変の予感はあった。前節は東京サントリーサンゴリアスに大敗を喫したとはいえ、コロナの影響でチームとして満足に準備ができない中で臨んだ一戦。内容的にも「あと1本つながっていれば」という場面が多く、1戦こなした次のゲームで大幅に良化することは想像がついた。6週ぶりの地元神戸でのホストゲームということもあって、いつも以上に気持ちが入っていたのも確かだろう。もとより2シーズン前までは敵なしたったのだから、地力は疑いようもない。ここまで2勝6敗の9位と苦しい戦いが続いていたコベルコ神戸スティーラーズが、今季ベストのパフォーマンスを発揮してリコーブラックラムズ東京から56-21の快勝を収めた。

気迫を感じさせるアタックでお互い意欲的に攻め合う立ち上がりの中、ゲームの進路を決めたのは開始10分のスティーラーズの先制トライだった。敵陣中央で獲得したペナルティで、PGではなくタッチに蹴り出してラインアウトを選択。後方でのキャッチからモールを押し込んでHO有田隆平が左中間に押さえ、最初のスコアを刻む。強気のチョイスから強みのFWで取り切れたことで、流れは真紅のジャージーの側へと傾いた。

続く17分にはラインアウト起点の連続攻撃で相手防御を揺さぶり、SOアーロン・クルーデンのフラットパスを受けたWTB山下楽平が左ライン側を突破。裏に蹴ったボールをCTBリチャード・バックマンがキャッチし、ゴールラインを超える。

ブラックラムズも23分、敵陣22メートル線内でマイボールスクラムの好機をつかむと、CTBジョー・トマネが前に出てくるラインディフェンスの裏へ絶妙のキック。途中交替で入ったばかりのCTB池田悠希がはずむボールを見事につかんでインゴールへなだれ込み、7点を返す。さらに直後にも池田の突破からゴールラインに迫ったが、ボールアウトの場面で痛いミスが起こり、連続得点はならず。逆にこぼれ球をひろったスティーラーズがすかさず切り返し、一気にブラックラムズ陣へ。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第9節ハイライト】コベルコ神戸スティーラーズ vs. ブラックラムズ東京

一連の流れでゴール前でのマイボールスクラムを得たスティーラーズは、BKのサインプレーでSOクルーデンがきれいに抜け出し、大きなトライを加える。これで完全に主導権を握ると、35分に連続展開からCTBバックマン、40分にはふたたび左サイドのWTB山下のクリーンブレイクからSOクルーデンがインゴールへ。35-7と大きくスコアを広げて、前半を折り返した。

サイドが入れ替わった後半も、スティーラーズが先にポイントを挙げる。激しいせめぎ合いを経て迎えた54分、敵陣深い位置での相手ボールのラインアウトをスチールすると、テンポよくFWが縦を突いて前進。途中から入ったSH日和佐篤のあざやかなパスでCTBラファエレティモシーが抜け出し、最後はサポートしたPR中島イシレリがポスト左に飛び込む。これで42-7に。

アイザック・ルーカス(ブラックラムズ東京)

ブラックラムズもここで気持ちを切らさず、今季絶好調のSOアイザック・ルーカスが卓越した個人技で63分、66分と2トライを返し、21-42と追撃。しかしスティーラーズは途中出場のフレッシュな選手が厳しく体を当ててリズムを取り戻し、73分にLO小瀧尚弘が力強いボールキャリーでねじ込む。

さらに終了間際にはFL橋本皓のスマッシュタックルからFWがラックを乗り越えてターンオーバー。プレーを切れば試合終了という状況ながら集中力高く相手の隙を見極め、CTBからSOにシフトした李承信のキックパスがWTBアタアタ・モエアキオラに通って8本目のトライをマークする。最後まで攻めの姿勢を貫き、いい形で快勝を締めくくった。

全16節のリーグ戦の後半戦に入るこのタイミングで、ついに本領発揮となったスティーラーズ。奪ったトライはいずれも、チームのスタイルと強みが表れたものばかりだった。ここまで思うように力を表現できないゲームが続いていただけに、この勝利は自信を取り戻すきっかけになるだろう。

これで勝点を16まで伸ばし、ポイントテーブルでもブラックラムズと入れ替わって7位に浮上。依然として上位4強とは小さくない差があるが、そこに食い込むだけのポテンシャルがあることをあらためて印象づけた。折りしも南アフリカ代表CTBルカニョ・アムとニュージーランド代表の万能BKベン・スミスの加入が発表され、一気にチームをとりまく空気が変わった感もある。今後、優勝争いをおもしろくする存在になりそうだ。

ブラックラムズは相手の大型FWに身上のフィジカルバトルで劣勢を強いられ、ディフェンスで前に出られなくなったことが大量失点につながった。アタックでもチャンスの場面で細かいミスが続き、終始相手のペースで試合を進められたのは反省材料だろう。残り7試合、本来のひたむきかつ果敢なスタイルで勝利をつかむことを期待したい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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