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共同キャプテンを務めた東京サンゴリアスSH齋藤直人
「ジャパンラグビー リーグワン」も第4節を迎えた。1月30日(日)、東京・秩父宮ラグビー場では、ディヴィジョン1で2位のリコーブラックラムズ東京が、首位の東京サントリーサンゴリアスと激突、ともにチーム名に「東京」が入った「東京ダービー」となった。
ホストのブラックラムズ東京は開幕戦こそ、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪に43-22で快勝。しかし、第2節は相手チームにコロナ陽性者が出て中止。逆に先週の第3節は自チームに陽性者が出てしまい中止となり、開幕戦以来の2試合目のゲームとなった。それでも勝ち点10で前節を終わってディビジョン1で2位につけていた。
ビジターの東京サンゴリアスは、開幕戦は東芝ブレイブルーパス東京を60-46で退け、第2節はトヨタヴェルブリッツに50-8と快勝。先週の静岡ブルーレヴス戦は相手チームにコロナ陽性者が出ていた影響で中止となったが、開幕から負けなしで、勝ち点14で首位に立っていた。
ブラックラムズ東京は開幕戦からFW(フォワード)4人、BK(バックス)1人の計5人を変更したが、キャプテンHO(フッカー)武井日向、FL(フランカー)松橋周平、SO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスら主軸は引き続き先発した。
一方、東京サンゴリアスはトヨタヴェルブリッツ戦から先発メンバーを10人入れ替えて臨んだ。キャプテンの日本代表CTB(センター)中村亮土、SH(スクラムハーフ)流大、オールブラックスのFB(フルバック)ダミアン・マッケンジーらはメンバー外となり、この試合はLO(ロック)からFLに戻ったツイ ヘンドリックと、SH齋藤直人が共同でゲームキャプテンを務めた。
ともにアタックに自信を持つチーム同士の対戦は、コロナ禍のため、5000人の人数制限がある中、4,524人の観客を集めて行われた試合は、12:00にホストのブラックラムズ東京ボールでキックオフされた。
序盤、ブラックラムズ東京がテンポ良く攻めるが、なかなか好機を作ることができない。すると前半5分、東京サンゴリアスは敵陣に入り、ラインアウトから右に展開。NO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフが抜け出し、FLショーン・マクマーンがパスを受けてトライ。SO(スタンドオフ)田村煕のゴールは決まらなかったが、東京サンゴリアスが5点を先制する。
ホストのブラックラムズ東京も負けじと22分、敵陣からのペナルティキックからSH高橋敏也がクイックタップで攻め込み、ボールを継続。最後はWTB(ウイング)西川大輔が中央に回り込んでトライ。FB(フルバック)マット・マッガーンのゴールも決まり7-5と逆転に成功する。
東京サンゴリアスは直後の25分、今季加入したCTB森谷圭介の「50-22」キックからの敵陣に入り、ラインアウトをキープ。ラックから近場を攻めてフェーズを重ね、最後はFB塚本健太がトライ。12-7と再びスコアをひっくり返した。
ブラックラムズは前半30分、WTBネタニ・ヴァカヤリアが危険なプレーで10分間の一時退場となってしまう。数的優位に立った東京サンゴリアスは、31分、ハーフウェイラインの右ラインアウトから左に展開すると、NO8タタフが抜け出し、一気にゴール前まで迫る。さらにラックから左に展開し、最後はWTB成田秀平が押さえてトライ。リードを10点差に広げる。
しかし、東京サンゴリアスは35分、NO8タタフがラックで相手にノーバインドタックルし、レッドカードで一発退場。これで14人対14人となった38分、ブラックラムズ東京はラインアウトからモールを押し込み、ピックアンドゴーを繰り返して、最後はキャプテンのHO武井がトライ。ゴールも決まり、3点差に迫る。
トライをあげるFBマッガーン
さらに前半終了間際、CTBメイン平が左サイドを駆け抜けて、最後はFBマッガーンに繋いでトライ。ブラックラムズ東京が21-17と逆転に成功して前半を折り返した。数的有利もあり、このまま勢いに乗りたかったブラックラムズ東京だが、後半、アタッキングラグビーを信条とする東京サンゴリアスがすばらしい攻撃を見せる。
後半2分、敵陣左22mライン付近でもスクラムから右に展開し、フェーズを重ねて、最後は左サイドでWTB成田秀平が2本目のトライ。22-21と再びリードを奪う。さらに7分、LOツイが相手陣でターンオーバーし、右サイドのCTB森谷がトライを挙げて29-21とする。
だが、数的有利なブラックラムズ東京もすぐに反撃し、敵陣右ゴール前でのラインアウトからボールを継続し、最後はSOアイザック・ルーカスが抜け出しトライを挙げ、3点差に迫る。
ここからブラックラムズ東京は相手陣で攻め続けるも、東京サンゴリアスも守備で粘りを見せて、なかなかスコアを奪えない状況が続いた。ようやく35分、ブラックラムズ東京はラインアウトからフェーズを重ねて、最後はゴール前でFL松橋が押し込んでトライ。33-29と再度逆転に成功する。
残りは3分ほど、このままブラックラムズ東京が勝利するか……と思われた。だが、38分、途中出場のPR(プロップ)祝原涼介が、ブラックラムズ東京のSOルーカスのキックをチャージ。そのボールをキャッチしてそのまま左中間に押さえてトライ。「(チャージは)狙っていました。手に当たって、ボールを見ていなかったんですけど、見たらたまたま手に入ったので、ラッキーだと思いました」。
POMはFLマクマーン
結局、東京サンゴリアスが土壇場で試合をひっくり返し、36-33で勝利。開幕から負けなしの4連勝で、勝ち点を18に伸ばし首位をキープした。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には東京サンゴリアスのFLマクマーンが選出された。
「2度のワールドカップも経験しているが、コーチングキャリアの中でも一番と言ってもいい試合です」と興奮気味に語った東京サンゴリアスのミルトン・ヘイグHC(ヘッドコーチ)は「レッドカードの選手が出て、非常に厳しい戦いになったが、本当に選手たちは最後まで諦めず、しっかり勝利を掴んでくれたことに満足しています。とても満足しています!」と逆転勝利を喜んだ。
後半は14人で戦い続けたサンゴリアス東京のゲームキャプテンSH齋藤は「(ゲームキャプテンだったが)自分のパフォーマンスにフォーカスしました。(後半は)14人という状況は変わらないので、そのプレーじゃなくて、1つの仕事だけじゃなく、その後の仕事まで意識しようと他のリーダーから言われました」と話した。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第4節ハイライト】ブラックラムズ東京 vs. 東京サンゴリアス
惜しくも敗れたブラックラムズ東京のピーター・ヒューワットHCは「78分間は非常によかった。2分だけ足りなかったように思う。(一方で)東京サンゴリアスは80分間プレーし、笛が鳴るまでは終わらなかった。勝ちきれなかったので、まだ修正が必要と思います」と肩を落とした。
チームを引っ張ったSOルーカスは「ああいった形(逆転トライ)で終わって、もちろん非常に悔しい。しかし、80分間ファイトした。チームは毎日成長しているのですごく残念ではありますが、次に向けてしっかりやっていきたい」と前を向いた。
勝ち点18で首位をキープする東京サンゴリアスは、次節は2月6日(日)に大阪・ヨドコウ桜スタジアムで最下位のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪と対戦する。
惜しくも敗戦となり、勝ち点11で5位に順位を落としてしまったブラックラムズ東京は、2月5日(土)に愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場で4位のトヨタヴェルブリッツと対戦する。
文:斉藤健仁/Photo by S.IDA
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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