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ダミアン・マッケンジー
快晴の味の素スタジアムで「太陽の巨人」サンゴリアスが躍動した。1月16日、リーグワン第2節の相手はトヨタヴェルブリッツ。昨年はボーデン・バレットが終了間際に決勝PGを決めるなど、ここ数年は僅差勝負が続く相手だ。この日も多くのファンは接戦を予想していただろう。
午後2時5分、ヴェルブリッツのキックオフで試合は始まった。まずはヴェルブリッツが攻める。日本代表FL姫野和樹、新戦力のFLピーターステフ・デュトイ、LOパトリック・トゥイプロトゥらがガツガツと前に出てサンゴリアスのゴールラインに迫る。しかし、フィジカル勝負で一歩も引かないサンゴリアスはこの猛攻をしのぎ、相手陣深く攻め入る。
先制トライは前半3分だった。SO田村煕が22mライン付近からディフェンスの背後にショートパントを蹴ると、瞬時の加速でこれを追ったFBダミアン・マッケンジーがゴールライン手前でキャッチし、タックルされながらパスを浮かして、NO8ショーン・マクマーンがインゴールでボールを押さえた。縦への突進でディフェンスを集め、横にボールを動かしたかと思えば、背後のスペースにキックを使う。立体的なアタックはこの後もディフェンスを翻弄した。
ヴェルブリッツSOライオネル・クロニエにPGを返され、7-3と迫られたが、16分、再び高速攻撃でのトライが生まれる。ヴェルブリッツのゴールラインまで15mほどの右ラインアウトから、まずは、パワーランナーのCTBサム・ケレビを縦に切り込ませる。すぐにボールを出して、マクマーンがボールを持つと、今度は爆発的なスピードを持つマッケンジーが縦に走り込み、ゴールライン直前で倒されるも、ラックは作らずマクマーンにパス、次にパスを受けた田村が左タッチライン際のWTB中野将伍にロングパスを送って左コーナーにトライをあげた。超一流ランナーの2つの縦突破を入れながら、突進力あるマクマーンがボールをつなぐ。この攻撃をハイテンポで行われたら止めるのは難しい。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第2節ハイライト】東京サンゴリアス vs. トヨタヴェルブリッツ
サンゴリアスは、この後もWTB尾崎晟也、マクマーンがトライを加え、29-3で前半を折り返した。後半2分には、ヴェルブリッツのゴール前スクラムから左オープンに展開し、ケレビの横に走り込んだマッケンジーがインゴールに走り込んだ。マッケンジーは、これがリーグワン初トライ。セットプレーからあっさり獲ったトライで勝負はほぼ決した。第1節のブレイブルーパス東京戦ではディフェンスに課題が残ったが、この日は修正され、相手を1トライ、1PGに抑え込んだ。
「トヨタが5、6週間プレーしていないことは知っていました。我々としては3フェイズのクオリティーを保って速いテンポで攻撃する準備をしていました」と、ミルトン・ヘイグ監督。ヴェルブリッツは第1節が中止になり、この日が初戦だったこともあって、ゲーム慣れしていない相手をハイテンポで攻略したということだ。今季より加入のマッケンジーのスピードを生かすシーンも多々あり、チームにフィットしてきた感がある。「後半はミスが多かった。そのあたりは課題です」(ヘイグ監督)。連勝スタートも手綱は緩めずに次戦(1月30日、対ブラックラムズ東京)に向かう(※1月23日の静岡ブルーレヴズ戦は中止)。
「完敗です。言い訳できません。立っていなければいけない場所に立っていないなど、チームとしてのクオリティーが低かったです」。姫野が試合後に語った通り、連携不足で攻めきれず、フィジカルで優位に立つこともできなかった。しかし、第1節が相手チームにコロナ陽性者が出たことで直前に中止になり、心身の調整が難しい状況だったことはたしかだ。本当の力が出てくるのはこれからだろう。2019年の世界最優秀選手のデュトイは、リーグワンデビューで献身的に動き続けた。肩の怪我も癒えたようで、今後、日本の若い選手の手本になるようなプレーが楽しみだ。ヴェルブリッツは1月22日、レッドハリケーンズ大阪と豊田スタジアムで対戦する。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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