人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2021年12月27日

【ハイライト動画あり】東海大学、渾身のディフェンスで慶應義塾大学を退け2季ぶりの4強入り。ラグビー大学選手権準々決勝

ラグビーレポート by 直江 光信
  • Line

東海大学vs.慶應義塾大学

関東大学リーグ戦1位の東海大学にとっては、リーグ最終戦から中4週と大きく間隔が空いて迎えた大学選手権の初戦。しかも試合運びのうまさに定評ある慶應義塾大学が相手とあって、難しい戦いになることは重々想定していたはずだ。「うまくいかないことは絶対にあるし、1点差でも勝てばいいという意識で臨んだ」と木村季由監督は振り返る。

熊谷名物の強い風の影響も重なり、結果的にゲームは見立て通りのタイトな展開になった。関東大学対抗戦では焦点のぼやけた戦いが続いた慶應義塾大学だったが、的を絞って臨んだこの一戦の攻守には、伝統校らしい底力を感じさせた。そして、だからこそ、真っ向勝負で難敵を押し切った勝利は東海大学にとって価値がある。厳しい関門を乗り越えた経験は、間違いなくチームをひと回りたくましくさせるだろう。

立ち上がりの15分を支配したのは、前半風上の東海大学だった。開始4分、19フェイズに渡る連続攻撃で相手ディフェンスを崩し、WTB林隆広がショートサイドを抜け出して先制のトライを挙げる。13分にはラインアウト起点のアタックで前進してゴールラインに迫り、鋭く切れ込んだCTB谷口宜顕が左中間にフィニッシュ。12-0と先行した。

一気に流れが傾きそうな場面だったが、慶應義塾大学もここでよく踏みとどまる。自軍キックオフのボールを確保し、CTB鬼木崇の好ランと好判断のキックから敵陣22メートル線付近まで前進。マイボールラインアウトからLOアイザイア・マプスア→HO原田衛のサインプレーで5メートルの幅を仕留めた。SO中楠一期が難しい角度のゴールを決め、5点差に詰め寄る。

しかし東海大学は続くキックオフからの度重なるピンチをしのいで陣地を盛り返すと、27分にラインアウトモールを20メートル近く一気にドライブしてHO本橋純平が右中間に押さえる。慶應義塾大学も後半35分にSO中楠の左コーナーへのハイパントをFB山田響が見事にジャンピングキャッチしトライを奪ったが、東海大学はすかさず反撃。直後の37分、キックオフのこぼれ球を確保して中央にラックを形成すると、右サイドに回り込んだSO武藤のオフロードからWTB酒井亮治が抜け出し、そのままインゴールへ。

ラグビー 全国大学選手権 21/22 準々決勝

【ハイライト】東海大学 vs. 慶應義塾大学

前半終了間際の敵陣ゴール前での好機は取り切れなかったものの、24-12とワンチャンスでは追いつけない点差に拡大して折り返したことが、結果としては後半のゲーム展開に大きな影響をもたらした。

サイドが入れ替わった後半も、先にスコアを刻んだのは東海大学だった。4分、優勢のスクラムでペナルティを獲得すると、SO武藤が正面22メートルのゴールを落ち着いて成功。27-12と2トライ2ゴールでも追いつかないところまでスコアを広げ、慶應義塾大学をプレッシャーのかかる状況へ追い込む。

その後は膠着した場面が続き、試合は15点差のまま残り20分の勝負どころを迎える。ここから慶應義塾大学が猛攻でたびたび相手ゴールラインに迫ったが、東海大学は渾身のディフェンスで対抗。強い向かい風を受けキックで前進するのが難しい中、集中力高く体を当て続けてインゴールを死守する。

ラスト10分はほとんど自陣ゴール前に釘づけにされたが、激しいタックルで何度も相手を押し戻し、ひたむきなカバーリングで間一髪のピンチをしのぎ続ける。最後はNO8井島彰英のビッグヒットで相手ボールを奪い、タッチに蹴り出してフルタイム。風上の慶應義塾大学に後半は得点を許さず、27-12で息詰まる熱戦を制した。

強みのフィジカルを生かして接点のバトルで優位に立ち、相手の練り上げたプランにはまりかけながらも力で勝ち切ったことは、東海大学に確かな自信をもたらすだろう。「慶應義塾大学のアグレッシブなプレー、タックルに対して、受けることなく自分たちのスタイルを貫こうといっていた。この1か月、特にディフェンスに力を入れて取り組んできましたが、そこで前に出続けてくれたと思う」と木村監督。やりにくいシチュエーションの初戦を無事突破し、1週後の準決勝では存分に持ち味を発揮できるはずだ。

一方の慶應義塾大学。新型コロナウイルスのクラスター発生で春シーズンはほとんどチーム活動ができず、秋の対抗戦でも不完全燃焼のゲームが続いていたが、選手権に入り戦い方を研ぎ澄ませて上位シード校に肉薄したのはさすがだった。「後半風上で敵陣に攻め込む機会が多かったが、東海大学のディフェンスの圧力がすごく、一発でトライを取れずにズルズルといってしまった」とはHO原田衛主将。これで2大会連続の準々決勝敗退となったが、困難な日々を乗り越えてこの舞台にたどり着いた1年の歩みは、きっと来季以降への糧となるだろう。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ