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ラグビー コラム 2021年12月24日

焦点はフィジカルバトル。充実の東海に魂の慶應が挑む。ラグビー大学選手権準々決勝

ラグビーレポート by 直江 光信
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東海大学 vs. 慶應義塾大学

頂上までの残るステージは、あと3つ。学生ラグビー日本一の座を争う大学選手権は、今週末にトップ8の激突を迎える。関東、関西の各リーグを制した上位シード勢もここから加わり、いよいよクライマックスの足音が近づいてきたという印象だ。

12月26日14時キックオフの熊谷ラグビー場の第2試合では、東海大学慶應義塾大学が対戦する。構図としては関東リーグ戦で4連覇を果たした東海大学に関東対抗戦4位の慶應義塾大学がチャレンジする格好だが、挑む側は過去に何度も大一番で勝負強さを発揮してきた伝統校だ。見立て通りの簡単なゲームにはならないだろう。

この一戦でひとつのポイントになるのは、両校の試合間隔の違いだ。東海大学は11月28日のリーグ最終戦から4週間ぶりの公式戦で、大学選手権はこれが初戦。コンディション調整を含め準備の時間をたっぷりとれた半面、久しぶりの実戦が負ければ終わりのプレッシャーゲームとなる。しかも相手が一発勝負に強いチームとなれば、やりにくい部分はあるだろう。

逆に慶應義塾大学は12月4日に帝京大学と対抗戦の最終戦を戦ったあと、中2週で大学選手権4回戦に登場し、関西2位近畿大学との終盤までもつれる激闘を制した。今季の関西リーグで旋風を巻き起こした相手に競り勝った経験は、ここまで思うように持ち味を出せない試合が続いていたチームに自信をもたらすはずだ。一方でタイトな連戦による消耗は懸念材料。力を出し切った試合から中6日で迎える強敵との戦いで、スカウティングから落とし込みの時間も限られる中、いかに狙いを定めてくるかが注目される。

NO8福澤慎太郎(慶應大学)

4回戦では学生随一の左PR紙森陽太を擁する近畿大学に対しスクラムで奮闘し、少ない好機をものにして先行するなど、慶應義塾大学のゲーム運びのうまさが光った。FWはHO原田衛主将を筆頭にFL今野勇久、NO8福澤慎太郎ら球際に強い仕事人がそろっており、BKでは幅広い視野とスキルを備える司令塔のSO中楠一期、一発でどこからでもトライを狙える快足FB山田響と、非凡なタレントが要所を締める。堅い展開に持ち込んで先に得点を刻み、スコアと残り時間でプレッシャーをかけながら決死のディフェンスでリードを守り切る――というのが理想の流れだろう。

SO武藤ゆらぎ(東海大学)

東海大学にすればそうした相手の思惑につきあわず、あくまで自分たちのラグビーに徹することが勝利の条件となる。猛烈な推進力にひたむきさも備える平均体重約110キロの大型FW、センスあふれる司令塔のSO武藤ゆらぎが多彩に仕掛けるBKと、戦力は参加校中有数。リーグ最終戦で流通経済大学から11トライ71点を挙げたように、迷いなくポテンシャルを発揮する流れになれば、封じ込めるのは至難の業だ。

そんな両校の対戦で最大の焦点と見られているのは、「フィジカルバトル」と表現されるコンタクトエリアの攻防だ。東海大学にとっては代々築き上げてきたクラブの根幹といえる部分であり、今季のチームにもそのカルチャーは色濃く浸透している。重く激しいヒットでセットプレーやブレイクダウンを圧倒できれば、点差を開けての快勝も十分可能性がある。慶應義塾大学も当然そこは意識しているはずで、生命線のタックルで愚直に粘り強く体を当ててくるだろう。

先発メンバーを見ていくと、東海大学のフロントローはPR木村星南、HO本橋純平、PR星野克之の3人。LO陣は小池隆成、ワイサケ・ララトゥブアのコンビで、キャプテンのジョーンズリチャード剛、レキマ・ナサミラの両FLまでがリーグ最終戦と同じ顔ぶれになった。NO8には今季初先発の井島彰英が入る。HB団はSH柴田凌光とSO武藤ゆらぎのおなじみのペア。TB陣では1年時から公式戦を経験してきた酒井亮治が今季初のメンバー入りでいきなり14番を背負い、谷口宜顕がWTBから13番へシフトする。WTB林隆広、CTB伊藤峻祐、FB野口幹太はリーグ戦時から主軸を務めるメンバーだ。

一方の慶應義塾大学は、PR朝田将多、キャプテンのHO原田衛、FL岡広将、LOアイザイア・マプスア、LO村松龍之介、FL今野勇久までが前週の近畿大学戦と同じ布陣。帝京大学戦の前半で負傷退場した攻守の大黒柱、FL山本凱が7番に復帰してきたのは大きい。NO8は元気印の福澤慎太郎だ。BKは前節と同じラインアップで、HB団はSH小城大和、SO中楠一期のコンビ。イサコ・エノサと鬼木崇の両CTBに、WTBは山之内颯人と佐々木隼、FB山田響という並びになった。

ちなみに両校は過去大学選手権で3回対戦しており、2007年度(2回戦/28-14)、2013年度(プールマッチ/10-7)は慶應義塾大学、2009年度は準決勝で東海大学が19-14で勝利。通算成績は慶應義塾大学が2勝1敗と勝ち越している。ただし過去5年の戦績では準優勝1回、4強2回の東海大学に対し、慶應義塾大学は出場4回ですべて準々決勝敗退と分が悪い。

東海大学が悲願の初優勝に向け力強く歩を進めるのか。慶應義塾大学が伝統の底力を示しアップセットをやってのけるのか。いずれにせよ、最後まで見どころの多い戦いになるはずだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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