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藤井雄一郎NTD
11月24日(水)、日曜日に日本に帰国した15人制男子日本代表チームのNTD(ナショナルチームディレクター)である藤井雄一郎氏が、オンラインで欧州遠征総括会見を行った。
まず、国内で対戦したオーストラリア代表戦を含めて この秋のテストマッチシリーズは下記のように1勝3敗という結果となった
◆日本代表テストマッチ
・10月23日 ●日本 23-32 オーストラリア @大分
・11月06日 ●日本 5-60 アイルランド @ダブリン
・11月14日 ○日本 38-25 ポルトガル @コインブラ
・11月20日 ●日本 20-29 スコットランド @エディンバラ
まず、藤井NTDは欧州遠征を振り返って「アイルランド代表戦は日本代表が一番良くない時で、アイルランド代表が非常に調子が良くて点数が開いた。その次のポルトガル代表戦ではいろいろことを改善しながら、なおかつスコットランド戦に向けて、全てを見せるのではなく(戦術やサインプレーを)制限した中で戦った」。
「その後、スコットランド代表戦はもちろん勝利を目指しましたが、最後、向こうに寄り切られたという形でした。ハイパントキックに関しては、特にマイボールで相手にプレッシャーかけられなかったところが課題になったので、その部分は今後修正が必要と思っています」。
「(コロナ禍でこの2年間)試合ができなかったということがいろいろ影響があったが、それは言い訳にはならない。そういう意味で最後に負けましたが、そこそこ評価できる戦い方できたと思います。今後は、隔離による選手の疲労というか、疲弊をどうするか。隔離の中で、どのように結果を残していくかも頭に入れつつ、チームを作っていかないといけない」と振り返った。
欧州遠征で、初戦のアイルランド代表に大敗してしまったことに関しては、藤井NTDは「オーストラリア代表戦で『いけるんじゃないか』みたいな、ちょっと良くない自信をつけたと思う。それはラグビーの中で本当に絶対に頭の中に入れたらダメ。なんとなくそういう雰囲気があった」と分析した。
また、善戦したスコットランド代表戦では、完全アウェイの中での対戦だった。「練習自体はシークレットでやっていますが、サインプレーもかなり読まれている感じがあったので、どこからか漏れていると思う。そのあたりも織り込み済みでいかないといけない」。
「あと、観客に飲まれないようにということで、ジェイミー(・ジョセフHC/ヘッドコーチ)もかなり(選手に)ハッパをかけて、すごいいいミーティングもできましたし、選手たちの中で6万7000人対23人の戦いで、自分たちの力を発揮できるようにというのをやっていた」。
「ただ、ワールドカップに関してはどのチームもアウェイになってくるので、(今後は)よその地に行ってしっかり戦えるスキルを身につけていくべきだと思っています」。
今回の欧州遠征ではジョセフHCも「経験」(エクスペリエンス)と「試み」(エクスペリメント)と話し、2019年ワールドカップメンバーの中に、ポルトガル代表戦ではCTB(センター)中野将伍(東京サンゴリアス)、LO(ロック)ディアンズ・ワーナー(ブレイブルース東京)らを起用した。
「今回、ポルトガル代表戦で中野が経験できたのは、本当にトップリーグ10~20試合分ぐらいの価値はあると思います。ワーナーは、きっとスーパースターになると思います。スピードもすごいですし、もちろん2mの身長と素晴らしいスキルを持っているので、きっといい選手になると思います」。
代表キャップこそ取れなかったが、PR(プロップ)淺岡俊亮、LO秋山大地、WTB(ウィング)高橋汰地(いずれもトヨタヴェルブリッツ)、FL(フランカー)福井翔大(埼玉ワイルドナイツ)ら、若手が日本代表遠征に帯同した。
藤井NTDは「試合に出られなかった選手も、ずっと合宿に参加して、テストマッチの肌感覚というのは、彼らも擬似ではありましたが、しっかり体験できた。経験というのがどれだけ大事なのかというのがわかったと思います」と話した。
ラグビー日本代表テストマッチ2021
【ハイライト】ポルトガル代表 vs. 日本代表
「特にLO(ロック)がそうですが、選手層が全体的に薄い」と話す藤井NTDは「サンウルブズがなくなったり、(リーグワンの)クロスボーダーの大会もまだ見えてないので、次の世代にいい経験をさせてやれてない」。
「それをリーグワン以外のところで、経験させてやる場が必要だと思っています。弱くなりだしたら、どんどん弱くなっていく。経験ある選手の中で1人、2人と替えていくか、もうごっそりとメンバーを替えて戦うか、どちらかにシフトしないと2023年以降は厳しい」と今後に関しての不安を口にした。
今後はNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)という形で若手やテストマッチをあまり経験していない選手に対して、アジア勢との対戦などの試合を組んでいく方向だという。「コロナの状況によるが、福井や中野など自分のチームでの試合が少なくて、なおかつ自分のチームではないチームでどう戦えるかを見たい」。
もちろん、1月から始まるリーグワンでもジョセフHCらとともに、積極的に選手のプレーはチェックする予定だ。藤井NTDは「国内の試合になると、トップのチームがどれぐらいの力を持っているかということが鍵になる」。
「今までと同じようにトップと下のチームで50点差が開いたりすると、国際レベルの試合を行っていかないといけない。そういう試合たくさん出てこないことを願っています」とリーグワンで高いレベルの試合が行われることを期待している。
日本代表は来年の6・7月は日本でテストマッチを行う予定だという。欧州遠征から戻った日本代表選手はリーグワンのそれぞれのチームに戻り、少し休んだ後、1月の開幕に向けて準備していく。日本代表選手たちはよりレベルアップして来春の日本代表に備えていく。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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