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ラグビー コラム 2021年11月22日

【ハイライト動画あり】帝京が明治との全勝対決制し4年ぶりの優勝に王手。関東大学ラグビー対抗戦

ラグビーレポート by 直江 光信
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この秋初の公式戦開催に好天も重なり、11月20日の秩父宮ラグビー場には1万人近いファンが詰めかけた。そしてそんなスタンドの熱気に呼応するように、関東大学対抗戦の頂点を争う大一番は、80分間を通して熱のこもった激闘となった。

見せ場はいきなり訪れた。開始2分、ハーフウェーライン付近でこの日最初のスクラムが組まれる。1度目は崩れ、2度目は呼吸が合わず組み直し、そして3本目で投入側の帝京大学が力強く押し込む。狙い通りにペナルティを獲得して、FW陣が雄叫びをあげた。

いずれもスクラムを強みとする両校だけに、どちらがそこで優位に立てるかはこの試合最大の焦点と見られていた。その最初の攻防に組み勝ったことで、帝京大学がつかんだ手応えは大きかったはずだ。むろん1本のスクラムだけで試合が決まるわけではない。ただ、この1本で試合の流れは間違いなく決まった。

以後、帝京大学は前8人の推進力を押し出して主導権を握り、SO高本幹也が判断よくボールを散らしてチャンスを作り出していく。明治大学も鍛え上げられたチームディフェンスで辛抱強く対抗するが、相手の勢いに食い込まれ、なかなかボールを取り返せない。キックの蹴り合いで帝京大学が優勢だったこともあって、赤のジャージーが大半の時間を敵陣でのアタックに費やした。

そして前半15分、最初のトライが生まれる。ゴールラインまで10mほどの位置でのマイボールスクラムを帝京大学が一気に押し込んでアドバンテージを得ると、SO高本が左奥のスペースへキックパス。チェイスしたWTB高本とむがピタリと軌道に合わせてキャッチし、インゴールに飛び込んだ。

なおも帝京大学の攻勢は続き、たびたび明治ディフェンスを突破してゴールラインに迫る。そして28分、キックレシーブからWTB白國亮大が巧みなステップで抜け出し大きくゲインすると、フォローしたPR照内寿明が約30メートルを快走。最後はカバーに戻ってきた明治WTB石田吉平のタックルを振りほどく圧巻の走りでトライを挙げ、リードを14ー0と広げた。

ラグビー 関東大学対抗戦2021

【ハイライト】明治大学 vs. 帝京大学

その後も帝京大学はFW、BK一体となった迫力ある攻撃でたたみかけ、ラインブレイクを連発。再三決定的な場面を作ったが、ここで明治大学も意地を見せ、懸命の防御で踏みとどまる。結果的には14ー0のまま、ハーフタイムを迎えた。

開始早々のスクラムプッシュをきっかけに帝京大学が理想的な展開に持ち込み、多くの局面を支配した40分間。もう1、2本トライを追加できそうな場面があっただけに仕留めきれなかった印象はあるものの、真っ向勝負で相手を凌駕した内容に、選手たちはこの時点で確かな自信をつかんだはずだ。明治大学にすれば自分たちの形をほとんど作れない前半戦となったが、ひたむきに体を張り続け、なんとか最小失点といえるスコアで切り抜けたことで、残りの40分に望みをつないだ。

果たして後半は、ゲームプランを修正した明治大学が攻勢に転じる。

蹴り合いに付き合い思うようにアタックの機会を作れなかった反省から、積極的にボールを保持して攻める戦い方へと切り替えたことが奏功。今季の強みのひとつであるクイックテンポの連続攻撃で徐々にリズムをつかんでいく。それにともない、中盤で反則を獲得→タッチキックから敵陣深い位置でのマイボールラインアウトを起点に攻めるという得意のパターンが増え始めた。

後半4分の反撃のトライも、まさにこの形から生まれた。帝京陣22m線内の左ラインアウトでサインプレーを仕掛け、SH飯沼蓮のンパスを受けたWTB石田吉平がゴールラインに迫る。FWがラックサイドを削り、最後はPR大賀宗志が左中間に押さえた。

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これで落ち着きを取り戻した明治大学は、本来の多彩な攻めで相手ディフェンスをゆさぶり、決定的な場面を作り出していく。しかし帝京大学のタックルも厳しく、インゴールを背負ったところで集中力高く守り続けて、最後の一線を割らせない。

前半とは一転して明治大学がゲームを支配する中、帝京大学は守勢を強いられながらも向かっていく姿勢を崩さず、隙あらばたくましくボールに絡んでターンオーバーを勝ち取った。その気迫みなぎるヒットの圧力に、明治大学はあと一歩を攻めきれないシーンが続く。結果的にその後スコアは動かず、14ー7のままフルタイム。帝京大学が歓喜の拳を突き上げた。

この勝利で帝京大学は明治大学と入れ替わって首位に立ち、3シーズンぶりの対抗戦優勝に王手をかけた。過去3年はすべて敗れてきた相手だけに、大きな関門を突破したことでチームはさらに自信を深めるだろう。「今日の試合を乗り越えたことで、心の中に力強さが注入されると思う。中身の濃い、価値ある試合でした」とは、岩出雅之監督。

一方の明治大学は受けに回った序盤の流れを立て直すまでに時間がかかり、相手の土俵で戦ってしまったことが悔やまれる。もっとも、一方的な流れから逆転に手が届きそうなところまで盛り返したのは地力の証だ。「何度もチャンスがあったのに、取りきれなかったのが敗因」と振り返ったのはSH飯沼蓮主将。苦いレッスンを今後への糧とできるかが注目される。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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