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ラグビー コラム 2021年10月3日

ジェイミー・ジョセフHCがキャプテン交代の理由を、稲垣啓太がテストマッチへの意気込みを語る。ラグビー日本代表記者会見

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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W杯でも2試合でゲームキャプテンを務めたラピース(右)

10月2日(土)、宮崎で合宿を行って3日目となるラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)と、リーダーの1人、PR(プロップ)稲垣啓太がオンライン会見に出席した。

前日、宮崎入りしたジョセフHCは「リーダーシップグループを交代したい」と2014年4月からスキッパーを務めてきたFL(フランカー)リーチマイケルに替わって、「ラピース」こと、FLピーター・ラブスカフニをキャプテンに、副キャプテンにCTB(センター)中村亮土を指名した。

ジョセフHCはリーチをキャプテンから外したことに関して、「マイケル(リーチ)、彼は今でも世界屈指のラグビープレーヤーの1人ですし、彼のスキルや経験はチームに必要なので、これからはリーダーシップの責任を外して、100%プレーヤーとしてより集中できるようにしたいと思いました」。

主将交代の理由を話すジョセフHC

「もちろん、チーム内で彼が他の選手を牽引していく存在であるのは変わらないし、もっとラグビーに専念できるようになるでしょう。キャプテンにはマネジメントやメディアへの対応や、いろいろな責任があります」。

「4回目のワールドカップ出場となるリーチには、しっかりとラグビーに向き合える環境の方が良い、若い選手でもないのでキャプテンの交替は必要な判断だと思いました。マイケルにはラグビーファーストでいてほしい。これが1つ目の理由です」と説明した。

副キャプテンを務める中村

続いて指揮官はキャプテンをラピースに、副キャプテンを中村に指名した理由を「ラピースはすでに2019年のワールドカップでも、ゲームキャプテンを務め、そこで出色のリーダーシップを見せました。生まれながらのリーダーシップを持っていますし、姿勢も素晴らしく、安定感もあり英語も話せます。日本語はあまり話しませんが、日本のラグビー、文化をきちんと理解しています」。

「そして中村は、日本代表に戻ってきてからは大変素晴らしいプレーをしていましたし、キャプテンをサポートし、また自身もリーダーとして成長してきている。サントリーでもリーダーとしてチームをまとめ上げていますので、今後、代表のキャプテンとしても期待されます。この2人がチームのリーダーにふさわしいと考えました」と話した。

新キャプテンとなったラピースは、日本協会を通して「本当に名誉で光栄な気持ちです。このチームは特別なチームです。私とここにいる仲間たちの心の中は、桜のジャージーを着て自分たちのベストを出し、日本を代表することに向け、熱い気持ちでいっぱいです」。

「私たちの行動から、チームのビジョンや価値を皆様にお見せできればと思います。また家族や友人、最終的には日本の皆様に誇りに思っていただけるように頑張りたいと思います。私たちはこれからの試合、挑戦に向けてとても興奮していますし、楽しみな気持ちでいっぱいです」とコメントした。

ラピース、中村の2人のリーダーシップ体制は、ひとまず秋のテストマッチ活動期間限定ということで、ジョセフHCは「リーチが長く(キャプテンを)やってきましたが、ここで違う声、変化を加えることは必要だと思っています。(欧州遠征が終わったら)また評価して考えます」と話した。

合宿1日、2日目はフィットネスやウェイトレーニングのテストを行った。日本代表のスタッフからメニューが選手に送られており、合宿前に所属チーム先でトレーニングをしていたという。

ジョセフHCは「選手たちは3日間すでに過ごしていますが、コーチ陣は昨日の午後(宮崎に)到着してきたので、最初の2日間は選手たちでやるべきことを行っていました。非常に良い結びつきができている」と満足げに話した。

稲垣は「みんな、代表から出されたメニューを忠実にやって、ほとんどの選手がフィットネステストをクリアした。99%の選手が2019年ワールドカップのスタンダードに到達していた。2年前でこの数字はすごいことだと思います。選手みんなが見えない部分の努力をしてきた。あとはメンタルと理解度、技術をこの合宿でどれだけ築き上げていくか」と先を見据えた。

ジョセフHCら、コーチ陣が合流すると、全体でミーティングを行った。そこで強調された言葉は「スタンダード」だった。

「勝つ姿をお見せしたい」と稲垣

稲垣は「ティア1(世界の強豪トップ10相当)に対するスタンダードはいったいどういうものか。今までの我々の試合のデータが出て、ディア1のデータが出て、データ、スタッツでは(日本代表は)あまり変わりない」。

「3~4年前、ティア1と対戦するのは1年に1回くらいあったが、スタッツは劣っていた。今、ティア1チームと、我々のスタンダードはデータ上では同じ。でも最近、ティア1に勝ててない。独自のスタンダードを作り上げるという話しがミーティングで出た話の1つです」と説明した。

ジョセフHCも「まず、選手たちにボールポゼッション、テリトリー、ゲインライン。ラグビーの勝敗に必要なスタッツを説明しました。比較したのは現在のティア1のチームです」。

「それと(日本代表の)最近の2試合を比較して平均を出しました。結果はさほど変わりませんでした。自分たちの方が高い部分もありました。そこから自分たちがティア1のチームに近づけていくためにやらなければいけない部分がある。そこで新しいチームのスタンダードを作っていかなければならない」。

「これからどういう風にスタンダードを上げていくのか。2019年のワールドカップで、フィットネスやスピードは高いレベルでできた。特にボールインプレーについてはティア1チームより上回っていた」。

「ボールをしっかり動かすことができれば、フィットネスがあるので試合に勝つことができる。ワールドカップのときは1試合で36分、38分のボールインプレーだったが、他のチームは32分くらいだった。現在でもティア1チームは38分くらいになってきているので、自分たちももっと高くしていかなければいけない」と話した。

指揮官は合宿でどういったエリアに重点を置きたいかと聞かれて「(春の2試合は)パフォーマンスには満足していますが、結果を残すことはでず、いくつか課題を見つけました。例えばアイルランド代表戦はバランスを欠いた部分がありました」。

2019年のワールドカップのアイルランド戦では、私たちは素晴らしいスキル、スピードでプレーしました。(7月の対戦では)自分たちはプレーしすぎてペナルティをし、相手にキックでコーナーにタッチに出され、そこで自陣に入られた。規律が悪い部分があるのでそこを修正して、アイルランド代表に限らず相手を自陣22mに入れないようにしたい」と語気を強めた。

今回の合宿では2日練習して1日オフというサイクルで行っているという。こうした取り組みはジェイミー・ジャパンになっては初めてのこと。「フォーカスしたいのは質です。選手たちがそれぞれオフシーズンにプログラムを行なってきたのでコンディションはいい。2日ハードワークして、1日リカバリーです。ラグビーから離れて、しっかりリフレッシュする時間を取ることが必要だと感じました」と説明した。

稲垣も「(練習の)2日にどれだけコミットできるか。1日は身体を休めて頭を使う時間になってくる。2日に対して、1日の休みでどれだけ準備できるか。全体ミーティングはないが、必要な人間を集めてより質の高いミーティングを繰り返して、練習の2日に臨む、それを繰り返していくのが今回の合宿のキー。(オフの1日は)選手の自主性が問われる1日じゃないかと思います」と話した。

合宿3日目は早速、3部練習だったという。練習を終えて稲垣は「チームのスタンダードが高くなったことを、3日目の練習で実感しました。その理由としては初日にしてはゲームに対して理解度は高かった」。

「初めて参加した選手も含めて、相当、準備してきた感覚がありました。全員のコンディショニングが高かったので、ボールゲームに時間費やすことができた。質の高い練習が1日目からできたという印象が強い。だから出だしとしては、いいスタートが切れた」と振り返った。

2023年ワールドカップを踏まえて、今秋のテストマッチシリーズの位置づけを聞かれて指揮官は「ワールドカップまではまだ遠いと考えていますし、選手の中でも年齢が上になってきた選手もいるので、そうした選手たちをしっかり評価していきたい。彼らの状態を見て若い選手をメンバーに入れている」。

「対戦相手は我々と違い、休みなくプレーを続けているので、チームを成長、育成していかなければならない。コントロールできる部分はしっかりコントロールしてやっていきたい」と冷静に話した。

8月から導入された新ルールの対応に関しても聞くと、ジョセフHCは「選手も気にしているところだと思います。コーチ陣とは何度もディスカッションしています。どのチームもそのルールには対応しようとしている」。

「現在のラグビーでいうと、ラックのところはディフェンスサイドが有利になっている部分があるので、ブレイクダウンが重要。今の時点ではそこまで変わりはないのではないか」と話すに留めた。

10月23日(土)大分で行われる「ワラビーズ」こと、オーストラリア代表戦は、2019年ワールドカップ以来となる、国内でのテストマッチとなる。

稲垣は「テストマッチは勝たないと意味がない。特に自国でテストマッチを行うことが、どれだけかの意味があるのかを理解しているので、勝つ姿をお見せしたい。今、宮崎でその準備をしていますし、準備したことがフィールドで100%発揮できれば結果を残せることも証明してきたし、そこにしっかり備えてやっていきたい。そして、ファンのみなさんと日本国内で喜べたらいい」と意気込んだ。

ワラビーズ戦まで残り3週間を切った。ケガ人も数人出ているようだが、ラピースが新キャプテンとなったラグビー日本代表は急ピッチでチームを仕上げていく。

文/写真:斉藤健仁

◆日本代表 スケジュール

・ 9月29日(水)~10月16日(土)宮崎合宿
・10月16日(土)~10月27日(水)別府合宿

・10月23日(土)日本 vs. オーストラリア(大分)
・11月 6日(土)アイルランド vs. 日本(ダブリン)
・11月13日(土)ポルトガル vs. 日本(リスボン)
・11月20日(土)スコットランド vs. 日本(エディンバラ)

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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