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丸山凜太朗(東海大学)
9月12日に開幕した関東大学対抗戦に続いて18日からは関西大学リーグも始まり、序盤から見ごたえある熱戦が繰り広げられている秋の大学ラグビーシーン。コロナ禍で多くのチームが夏の活動を休止していたことから開幕が延期された関東大学リーグ戦も、いよいよ今週末に第1節を迎える。神奈川県小田原市の城山陸上競技場では、充実の戦力でリーグ4連覇を目指す東海大学に、昨季7位の関東学院大学が挑む。
猛タックルでチームの姿勢を体現するキャプテンのFLジョーンズリチャード剛(4年)や、学生屈指の攻撃的プレーメーカー、SO/CTB丸山凜太朗(4年)ら下級生時から主軸を務めてきた実力者が数多くそろう東海大学は、関東大学春季大会で早稲田大学に48-26で勝利し、明治大学にも26-28と接戦を演じるなど、確かな手応えを感じながらチームづくりを進めてきた。7月に入り部内でコロナ陽性者が確認されたため夏合宿は中止となり、予定通りに実戦経験を積めなかったのは誤算だが、「校内での合宿という意識でみんな集中して取り組んでくれた」と木村季由監督はその後の歩みを振り返る。各ポジションに能力の高いメンバーを擁するだけに、リーグ戦で試合を重ねながら連携を深めていけば、十分に覇権を狙える存在になるだろう。
戦力的にはFW、BKともにバランスのとれた総合力の高さが今季の特長だ。LOワイサケ・ララトゥブアやNO8ノア・トビオら海外出身の留学生を軸にしたFWは全国でもトップクラスのサイズと推進力を誇り、猛然と体を当てて接点で相手にプレッシャーを与える。BKでは高校時代から強豪校で10番を背負い活躍してきたSO武藤ゆらぎ(2年/東海大仰星出身)、CTB丸山(東福岡出身)の“ダブル司令塔”への期待が高い。副将の林隆広(4年)、谷口宜顕(2年)の両WTBなどアウトサイドにもゲームセンスに優れた好ランナーが控えており、10番武藤、12番丸山のコンビネーションが成熟すれば、学生屈指のBKラインに仕上がりそうだ。
対する関東学院大学も、多くのレギュラー経験者が最終学年を迎える今季は勝負の年となる。大半のチームがコロナ感染により活動休止や夏合宿中止を余儀なくされる中、影響を受けず春、夏と計画通りに強化を進められた点は大きなアドバンテージだろう。板井良太監督も「ラグビーに真摯に取り組める時間を持てた。まだまだ発展途上ですが、さらに成長することを願って励んでいます」と好感触を口にする。
関東大学春季大会はCグループで青山学院大学に26-22、成蹊大学に54-0、立教大学に70-12と3連勝。夏合宿では筑波大学に14-65と完敗を喫したものの、山梨学院大学には42-17、拓殖大学には63-21で勝利を収めた。優れたリーダーシップを誇るキャプテンのSH三輪悠真(4年)に加え、セブンズ日本代表の経験を持つ191センチ、102キロの大型FB川崎清純副将(4年)もひとまわり成長を遂げ、大きな存在感を発揮している点は秋に向けての好材料だ。LO小濱康嵩副将(4年)、SO芳崎風太(4年)らとともにリーダー陣が先頭に立ち、精力的なプレーでチームに活力を与えている。
登録メンバーの顔ぶれを見ていくと、東海大学は先発15人中10人、関東学院大学は12人が4年生という布陣になった。ゲームの焦点となりそうなのは、ボール争奪局面でのフィジカルバトル。LOララトゥブア、FLオフィナ・アフ、NO8トビオとインパクトある選手が並ぶ東海大学のFWに対し、本来LOの小濱(185センチ)をFLに下げ、山崎海(4年/187センチ)、矢野裕二郎(2年/192センチ)のLO陣と合わせてサイズ面でスケールアップした関東学院大学のFWがどこまで対抗できるかが、試合展開を左右しそうだ。
BKでは東海大学のSH柴田凌光(4年)とSO武藤、関東学院大学のSH 三輪とSO芳崎という両HB団のゲームメイクに注目したい。また東海大学はCTB近藤翔耶、関東学院大学はSH服部莞太と、昨冬の花園を沸かせた期待のルーキーがメンバー入りを果たした。独特のプレッシャーがかかるシーズン初戦でどんなパフォーマンスを見せるのか、こちらも興味がふくらむ。
東海大学は昨季、コロナの影響でリーグ最終戦を棄権し、2週間の活動休止期間を挟んで臨んだ大学選手権は準々決勝で帝京大学に惜敗(8-14)してシーズンを終えた。不完全燃焼の感が残る悔しい幕切れだっただけに、今年にかける思いは強いはずだ。関東学院大学もリーグ戦1部に復帰して2年目の今季は10年ぶりの選手権出場を目標に掲げ、チーム一丸となって地道に鍛錬を重ねてきた。過去に6度の大学日本一を達成した強豪の復権に向け、ひとつでも多く勝利を重ねて躍進の足がかりにしたいところだろう。
開幕が2週間後ろ倒しされたことで、本年の関東大学リーグ戦は9週間で7試合を戦うタイトなスケジュールとなった。短期決戦では勢いも重要な要素となるだけに、両校にとってこの初戦が持つ意味は例年以上に重い。結果はもちろん内容も注目される一戦だ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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