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ラグビー コラム 2021年9月13日

優勝争いを左右する注目の初戦は帝京大学に軍配。筑波大学も随所に可能性示す

ラグビーレポート by 直江 光信
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注目の初戦。激しくぶつかりあう両チームの選手たち

屈強なフィジカルをベースにした接点の推進力に絶対の自信を持つ帝京大学。対する筑波大学はFB松永貫汰主将、WTB植村陽彦ら学生有数の決定力あるランナーをBKに擁する。昨年度の対抗戦の順位は4位と5位ながら上位勢との差は紙一重、優勝争いを左右する可能性も十分にある開幕節の大一番は、予想通りの激戦となった。

試合の“入り”で上回ったのは筑波大学だ。WTB植村が蹴り込んだキックオフのボールを統率のとれたチェイスで追い詰め、いきなり敵陣ゴール前でのマイボールスクラムを獲得。すばやいボールアウトからBKのサインプレーで前進し、FL岩田真樹がゴールラインを超える。

ここまでわずか1分15秒。自分たちから仕掛けて狙い通りにゲームを動かし、用意したプレーで先にスコアを挙げて相手が構えをとる前に流れを引き寄せる。大切なオープニングマッチに向け重ねてきた準備のあとを感じさせる、完璧な立ち上がりだった。

対する帝京大学も、培ってきた地力をじわじわと発揮する。強烈な先制パンチを受けしばらくは受けに回るシーンが続いたが、12分に攻め込まれたところで相手ボールのラインアウトを奪って切り返し、左ライン際でパスを受けたWTB大藪洸太が防御裏へのキックをみずから押さえトライ。ピンチから一転して巡ってきたチャンスを見事にものにし、試合を振り出しに戻した。

その後は帝京大学が好機を作りながらも筑波大学の献身的なタックルに阻まれ仕留めきれない場面が連続し、スコアは膠着したが、35分、ようやく均衡が崩れる。ゴールラインまで約10メートルのマイボールラインアウトから帝京大学がモールを形成すると、割ってこようとする相手選手や反則に細心の注意を払いながら一歩ずつ踏みしめるように前進し、PR細木康太郎主将が右中間にグラウンディング。14-7と帝京大学が先行して前半を終えた。

拮抗した展開は後半に入ってからも続く。スクラムで優位に立ち、SO高本幹也やNO8奥井章仁、HO江良颯らが個人技でゲインを重ねる帝京大学に対し、筑波大学はFL倉井瑛志、FL岩田真樹、NO8楢本鼓太朗のバックロー陣を軸にした粘り強くひたむきなディフェンスで抗戦。SO浅見亮太郎、WTB植村、FB松永の滞空時間が長く距離の出るキックで効率よく陣地を進める試合運びもはまり、7点差のままピタリと追走する。

懸命に食らいつく筑波大学に最大のチャンスが訪れたのは70分だった。自陣10メートル線付近のマイボールスクラムから左オープンに展開し、FB松永がディフェンス裏のぽっかりと空いたスペースへキック。途中出場のWTB一口直貴がスピードに乗って追いかけ、トライライン目前で弾むボールを手にする。しかし帝京大学もWTB白國亮大が必死のカバーリングで追いつき、味方が戻ってくる時間を稼ぐと、ディフェンスラインが分厚い壁となって最後の一線を死守。相手が孤立したところでボールに絡み、ノットリリースザボールの反則を勝ち取った。

帝京大のアタックに対して、粘り強いディフェンスを見せた筑波大

最大の危機を切り抜けた帝京大学はその後、たたみかけるような連続攻撃でプレッシャーをかけ、敵陣で時計を進める。そしてインジャリータイムに入った84分、約30メートルのPGをSO高本が落ち着いて成功。ワンチャンスでは追いつけない10点差までリードを広げて、勝利を決定づけた。

緊張で硬くなって当然のシーズン初戦、それも強敵とのいきなりの激突だけに細かい部分でのエラーは目立ったが、今季の両チームの持ち味も随所に表れた一戦だった。帝京大学は攻め込んだ位置でのマイボールラインアウトとラインブレイク後のつなぎに課題を残したものの、猛烈なスクラムの押しと個々のボールキャリーの破壊力はどのチームに対しても脅威になることを感じさせた。反則が重なり強みのバックスリーを走らせる場面が少なかった筑波大学も、コンタクトエリアで奮闘し、終盤にあわやという状況に持ち込めたことは、確かな自信になるはずだ。

ラグビー 関東大学対抗戦2021

【ハイライト】 帝京大学 vs. 筑波大学

試合後の記者会見で帝京大学のPR細木主将は、「筑波大学がコンタクトのシーンでガツガツ前に出てくることを意識して臨みましたが、受けてしまう部分がたくさんあってタフなゲームになりました。僕たちにとってすごく勉強になる、いい試合でした」とコメント。筑波大学の嶋崎達也監督も、「選手はかなり意識していたが、絶対にしてはいけないペナルティがあって、ダメージが体にのしかかって最後に動けなかった。アタックの精度もワンチャンスで取れるところがあったので、そうした部分を磨き上げていきたい」と次戦以降の戦いに向け意気込みを口にした。

多くの手応えをつかむ初戦を経て、ここからどのようにチームとして成熟していくのか。両者の今後の戦いぶりが楽しみだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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