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ラグビー コラム 2021年8月18日

トップチャレンジ4チームが健闘 近鉄ライナーズは2回戦進出!記憶に焼き付けたいトップリーグ2021プレーオフ1・2回戦

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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2021年のシーズンで18年の歴史に幕を閉じたジャパンラグビー トップリーグでは、2003年9月の開幕から全24チーム、約3,000名の選手がプレーした。最後のトップリーグは、コロナ禍で開幕が1か月遅れ、急きょ日程を変更して行われた。本来は、参加16チームをホワイト(WC)、レッド(RC)の2つのカンファレンスに分けたファーストステージ、下部リーグ「トップチャレンジ(TCL)」の上位4チームを加えて4組に分かれるセカンドステージ、上位8チームによるプレーオフトーナメントと3段階で行う予定だった。

しかし、短縮バージョンではセカンドステージを省き、ファーストステージのあとは、トップチャレンジの4チームを加えた全20チームでのノックアウト方式のトーナメントの開催となった。つまり、プレーオフで負けたチームからシーズン終了になる。引退を表明していた五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)、福岡堅樹(パナソニックワイルドナイツ)以外にも、引退を決めていた選手は多く、感謝の気持ちを持ってプレーする選手、その雄姿を記憶に焼き付けようとするファンの皆さんが一体となり、一つ一つの試合が重い価値を持つプレーオフとなった。

J SPORTSは、その全試合を再放送しているが、プレーオフ1・2回戦の見どころを紹介したい。

アレックス・グッド(NEC)

1回戦はトップリーグの下位チームにTCLの上位4チームが挑戦した。実力差があるとみられていたが、ふたを開けてみるとトップチャレンジの健闘が光った。4月17日、東大阪市花園ラグビー場で行われたNECグリーンロケッツ(WC・8位)と豊田自動織機シャトルズ(TCL・1位)の戦いは僅差勝負となる。序盤はNECが10-0とリードするも、後半、豊田自動織機はモールからトライを奪って逆転し、約40mをモールで前進して反則を誘い、残り10分で9点差のリードを奪う。しかし、NECにもトップリーグの意地がある。猛反撃し、最後はイングランド代表SOアレックス・グッドがPGを狙う。劇的な幕切れを今一度かみしめたい。

同日、パロマ瑞穂ラグビー場で行われたのは、三菱重工相模原ダイナボアーズ(RC・7位)対コカ・コーラレッドスパークス(TCL・3位)だ。雨の中、キック主体に試合を進める三菱重工相模原だが、ミスも多く得点機をものにできない。コカ・コーラは後半6分、CTBトゥクフカ トネが勝ち越しトライをあげ、あと一歩までトップリーグチームを追い詰める。しかし、最後は、三菱重工相模原の大黒柱であるCTBマイケル・リトルが逆転トライを決め、チームを勝利に導いた。その後、コカ・コーラの廃部という衝撃のニュースが流れることになるのだが、まさにこの試合が最後の雄姿となった。

片岡涼亮(近鉄)

4月18日、たけびしスタジアム京都で行われた日野レッドドルフィンズ(WC・7位)対清水建設ブルーシャークス(TCL・4位)は、清水建設が一時15-0とリードして下克上をにおわせる。しかし、後半は日野が盛り返し、LOリアキ・モリのトライなどで勝利した。そして、同日、秩父宮ラグビー場で行われた宗像サニックスブルース(RC・8位)対近鉄ライナーズ(TCL・2位)は唯一TCLのチームがトップリーグに勝った試合になった。近鉄には元オーストラリア代表SHウィル・ゲニア、SOクエイド・クーパーがおり、正確なスキルでゲームをコントロール。近鉄は後半に入ってすぐに危険なタックルでレッドカードを受け、14人で戦うことになったが、これがメンバーの心に火をつけた。1人少ないことを感じさせないアグレッシブなプレーが続き、後半33分、ゲニアのキックしたボールを追ったWTB片岡涼亮が決勝トライをあげる。近鉄ファンならずとも何度も見たくなる試合かもしれない。

4月24日、25日に行われた2回戦8試合は、トップリーグの上位陣も出そろい、大差の試合もあったが、リコーブラックラムズ(WC・4位)と東芝ブレイブルーパス(RC・5位)の試合は僅差勝負になった。東芝が先制するも、スクラムで優位に立ったリコーがペースを握る。後半38分、ラインアウトモールから前進し、最後は交代出場のSH山本昌太がトライ、27-17と10点差とした。東芝も交代出場のSH小川高廣がトライを返したがノーサイドとなった。

マカゾレ・マピンピ(NTTドコモ)

NTTドコモレッドハリケーンズ(WC・3位)とHondaHEAT(RC・6位)の試合も点差は開かなったが、NTTドコモの充実を感じさせる内容だった。堅実なディフェンスを見せ、スクラムでも優位に立ち、マカゾレ・マピンピTJ・ペレナラがトライして準々決勝に駒を進めた。このほか、日野のLO北川俊澄(40歳)は事前に引退を表明し、最後は16年間プレーした古巣・トヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦する感慨深い試合となった。三菱重工相模原のPR成昂徳(38歳)も、神戸製鋼コベルコスティーラーズに敗れ、フィールドで静かにスパイクを脱いだ。最後のトップリーグを終え、現役生活に区切りをつけた選手、新たに始まる「リーグONE(ワン)」を見据えて移籍した選手は多い。そんな情報を踏まえてプレーオフを見返すと、また違った視点で楽しめるかもしれない。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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