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ラグビー コラム 2021年7月6日

ラグビー日本代表、遠征総括会見。ライオンズ戦、アイルランド戦での収穫と課題

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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藤井雄一郎NTD

7月6日(火)、ラグビー日本代表がブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦および、アイルランド代表戦から帰国したことを受けて、15人制男子日本代表ナショナルチームディレクター(NTD)の藤井雄一郎氏がツアーの総括会見を実施した。

チームは前日朝に帰国し、現在は指定されたホテルで6日間隔離中だという藤井NTDは、遠征を振り返って「別府の合宿からスタートしてサンウルブズの試合を経て、スコットランドでライオンズ、アイルランド代表と対戦して尻上がりで良くなった」。

「アウェイの試合で、ホテルから一歩も出られなかったですが、コロナの環境の中でも、選手は強いストレスの中で集中力を切らさずに『ワンチーム』を保って、最後までコーチ陣とともに戦い抜いてくれた。今回、パフォーマンス的にもいい試合ができた。引き続き、8月の終わりから選手を集めて、次の試合に向かっていきたい」と総括した。

また、アイルランド代表戦直前でケガしたNO8(ナンバーエイト)姫野和樹(ハイランダーズ)、WTB(ウィング)松島幸太朗(クレルモン)の2人に関しては、藤井NTDは「大ケガではなくて、時間が経てばきっちり治ってくると思います」という見通しを示した。

日本代表が限られた短い中でも高いパフォーマンスが出せた要因について藤井NTDは、「前回、ワールドカップ前に3年かけて、サンウルブズとか、みんな大変な苦労してコーチ陣、リーダー陣がどのようにしたら、早くチームにいろんな戦術、戦略を落としこむができるかを身につけてきた」。

「新しい選手も含めて、練習の意図ややり方が彼らの身体にしみこんでいた。そういう意味で、戦術面を短期間に落とし込めたのが要因」と分析していた。

遠征2試合を通して概ねスクラム、ラインアウトが安定したことや、新たな戦力が出てきたに関しては、「セットプレー、その進め方も含めて、リーダー陣とコーチ陣が連携し、起きている間はセットプレーの勉強していたし、慣れてきた」。

「新人に関しては、サンウルブズ戦でちょっと良くて『これくらいやるだろう』という選手がいて、ライオンズ戦では齋藤も良かったですし、少し層が厚くなったことは、今回の遠征でよかった」と話した。

また、試合を重ねるごとにパフォーマンスが上がったキャプテンFL(フランカー)リーチ マイケル、絶対的な司令塔であるSO(スタンドオフ)田村優の2人のベテランに関して聞かれて、藤井NTDは「(リーチは)リーダーの仕事を少し減らし、もう少しラグビー集中させたらパフォーマンスがよくなった。彼にとって一番パフォーマンスが出るポジションにしていきたい」。

「田村はビッグゲームプレイヤーなので、相手が強くなればなるほどいいパフォーマンスを出す。また、日本には彼に並ぶ選手がいないのが、彼が出続けている条件です」と変わらぬ信頼を寄せていた。

ただ、アイルランド代表戦で、セットプレーを起点にモメンタム(勢い)を作られてしまい、トライを奪われたことは大きな反省点だったという。

「モメンタムで前にいかれた時はきつかった。後ろから走り込んでくる選手に単純に前に出られて、ゲインラインを切られた。早くセットして前に出るのか、テクニックの部分で補うのかはコーチ陣が考えることです」。

試合内容だけでなく、アウェイの環境面での問題もあった。スコットランドに到着して練習に行くと、そこはラグビーポールもないグラウンドだったという。

藤井NTDは「負けられないという雰囲気もあったし、オールブラックスだったら、絶対に使わないようなグラウンドだった。(そういった対応は)ラグビー協会の仕事かもしれないが、まだまだ世界と渡り合えているところまでいっていない」と実感したという。

また、サインプレーも気をつけていたが、ほとんどがばれて丸裸にされていたそうで「(交渉の部分では)まだまだティア2レベルで、アウェイでは、日本全体で戦わないと1勝するのは難しい」と正直に吐露した。

もう1つ、現在、ラグビー日本代表が直面しているのが、日本代表に準ずるレベルにある選手の強化、育成だ。サンウルブズのスーパーラグビーへの参戦はなくなり、U20日本代表、ジュニア・ジャパンも稼働していない。

藤井NTDは「今回のスコッドに外れた選手、ちょっといいなという選手を、代表の次のクラスで国際レベルの試合を経験させたい。サンウルブズがなくなってしまったので、若い選手に経験をどう積ませるか悩んでいる」。

「23歳くらいまでの選手をどんどん海外でプレーさせたり、トップリーグで1チーム作って、(海外の)大会やトップリーグに出したりしていかないと、(若手の中で)見たい選手が自分たちのやりたいラグビーの中でとできるか見られない。今まで連携はなかったといえばなかったので、U20も含めて、(日本)代表の中でやりたい」と見通しを語った。

いずれにせよ新生ラグビー日本代表にとって、今回の遠征は2023年ワールドカップに向けていいスタートになったと同時に、収穫もあり課題も出た、いい遠征になったことは間違いない。

日本代表選手たちは身体を休めて8月末から再合流の予定。今回遠征に連れて行った36名よりも多い選手を招集する予定で、4月に発表した日本代表候補選手以外からも呼ぶ可能性もあるという。

遠征に行ったメンバーで、体脂肪やフィットネスの数字が規定に達している選手は少し休ませつつ、9月中旬からは全員で合宿を行うという。また、秋のシリーズでは国内で練習試合を含めて2試合、海外では11月20日のスコットランドの代表戦など3試合の計5試合の予定だ。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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