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ワールドカップ以来のテストマッチ
6月26日(土)、新生ラグビー日本代表がスコットランドのマレーフィールドでイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドを代表する選手を集めて4年に1度編成される「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」と激突した。
前半こそ、0-21でリードされたが、後半は日本代表も見せ場を作り、途中出場のFL(フランカー)姫野和樹がトライを挙げるなどで善戦。しかし、試合は10-28で敗れた。
それでも先発したWTB(ウィング)シオサイア・フィフィタ、途中出場したPR(プロップ)クレイグ・ミラー、LO(ロック)ジャック・コーネルセン、SH(スクラムハーフ)齋藤直人の4人が記念すべき初キャップを獲得。
歴史的一戦を終えたジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)や、FLリーチ マイケルキャプテンなどの選手たちの声を紹介していきたい。
ジョセフHCは「約18ヶ月ぶりのテストマッチでしたが、チームがこれだけまとまれたことを誇りに思います。ラストの5分はチームの形を見せることができた」。
「2年くらい活動できなかった中、そして1ヶ月ほどのバブル(生活)、様々な困難や犠牲があったにもかかわらず、ライオンズのような世界のベストチームとこのような戦いができて、選手達を誇りに思う」と選手たちを讃えた。
リーチ マイケル
リーチキャプテンは「人生に一度しかないチャンスなので、ものすごく準備して勝ちにいきましたが、ライオンズの素晴らしい選手の経験や、接点の強さがあって、自分たちのやりたいラグビーができなかった」。
「ボールをどんどん動かして相手を疲れさせて勝ちたかったが、ブレイクダウン周りのプレッシャーで、早いラグビーができなかったことが原因だと思います」と唇を噛んだ。
それでも経験豊富なスキッパーは「継続できた時、スペースにボール運ぶことができた。後半から出た選手がインパクトを与えてくれたし、新しく出た選手もがインパクト与えてくれた」。
「だから、次の試合のレギュラー争いが激しくなると思うので楽しみです。今後、強い相手(アイルランド)が待っているので、ブレイクダウン周りをしっかりと整理して、今日出た課題を修正して準備したい」と前を向いた。
存在感を見せた松島
この試合で、素晴らしいランを繰り返して、両チーム通じてランメータートップの123mを記録したWTB松島幸太朗は「120%を出し切ったと思います。チームとしての全てを出し切れたかなと思います。長い間、国際試合ができない中でしたが、いいスタートが切れたと思っています」と先を見据えた。
ライオンズからの初トライは姫野
トライを挙げたFL姫野は「ライオンズという名誉あるチームと対戦できて、ラグビー人生において自分の宝物になると思います。素晴らしい経験になった。(トライは)サインプレーで決まっていたので、いいクオリティでラインアウトのボール供給とか、チームがいい形で持ってきてくれたこそだと思います」と、チームでのトライを強調した。
稲垣は、「尊敬するライオンズと試合できたことが光栄ですし、自分たちのパフォーマンスについては満足いく結果にはならなかったが、この経験を糧に課題を修正してやっていきたい。スクラムを課題に挙げてきましたが、通用したと思います。前半、ペナルティが多くて、それがきっかけで失点してしまった。ディシプリンを課題にやっていきたい」。
また、中村は「本当に貴重な体験をさせてもらったのが1つと、ジャパンもこれからいい積み重ねをして、いいものを作っていけば、さらにこういうレベルでも勝つところまでいけるかなという自信にもなりました」。
「前半はボール持ってアタックしたいと思っていたが、ミスとペナルティでスコアを広げられてしまって、不利な状況になってしまいました。だが、最後まで自分たちのスタイルを貫いて、次につながるいいゲームになった」。
最後にこの試合で初キャップを得たWTBフィフィタ、LOコーネルセン、SH齋藤選手のコメントを紹介したい。
「このジャージーに着ることができて感謝しています。しっかりこのジャージーのプライドを持って80分、身体を張りました。(相手は)フィジカルが強くて、スピードも速いのはわかっていました。どれだけ自分の強みが通用するか楽しみにしていたが、負けてしまいました。次の試合も出られるようにいい準備がしたい」(WTBフィフィタ)。
「言葉に出して説明するのはすごく難しいです。自分にとって今日の試合出られて、光栄で名誉なことだと思っています。相手のライオンズは伝統、格式のある相手なので、その相手とできたのは嬉しく思います」(LOコーネルセン)。
「僕のプレーというより、チームが前に出てくれて、テンポを上げることができたので、アタックで相手のディフェンスにプレッシャーをかけられた。テストマッチは初めてだったが、これまで経験したことがない雰囲気を味わえました。(次に向けて)チームから求められていることを遂行できるように、それプラス、試合を楽しめるようにやっていきたい」(SH齋藤)。
次はアイルランドと戦う日本代表
ラグビー日本代表にとって、2019年ワールドカップ以来のテストマッチで、ライオンズという強豪かつ、伝統あるチームとの対戦となり、試合に勝つことはできなかったが、特に後半は日本代表らしいアタックやプライドを見せることができ、自信も得たようだ。
7月3日(土)のアイルランド代表戦では、今日の試合で出た反省を糧に、前半から自分たちのラグビーでトライを挙げて勝利で、この遠征を締めたいところだ。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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