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オンラインでの会見に臨んだ松島
昨年の夏からフランス「TOP14」の「ASMクレルモン・オーヴェルニュ」に移籍した日本代表WTB(ウィング)/FB(フルバック)松島幸太朗。
「TOP14」だけでなく、欧州王者を決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」でも存在感を示し、合計27試合で先発、11トライを挙げた今シーズンを振り返った。また、日本代表でのブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦に向けての意気込みも語った。
――フランスの1年間を振り返っていかがですか? 年間を通して、たくさん試合に出たので、その分、たくさん経験できました。フランス代表が各チームに散らばっているので、そういった相手とたくさん試合をしていますし、他にも元代表だった選手がたくさんいるので、個人的にはすごくいい経験ができたと思います。(コロナ禍の影響で)あまり外に出られなかったので、チームメイトとはすぐに仲良くなれました。
――フランスで自分が成長した点は? プレーで成長したのはキック。タッチキックを任されていた。どうやってキックするのかなど、キックをするときに考えながら、計画性を持ってキックするところが良くなってきたと思います。
全体練習が終わった後にキックの練習しています。以前は考えずに蹴っていましたが、ここだったら、こういうキックとか、フェーズ中のキックだったりを考えるようになってきた。自分の中での選択肢がより増えてきた感じがします。
(クレルモンはハーフ団の)9番、10番が左足なので、左タッチに蹴るときは、自分にやってくれと結構言われる。キックカウンターのときのキックが伸びるようになってきたのもあって、そういう印象だったと思います。
――自分のプレーで通用した部分は? ランは通用した部分はあったが、来季はラインブレイクの回数をもっと増やしたいと思います。事前にコミュニケーションを取るのが当たり前のように出てくるようになった。相手のアタックを予測するのが良くなってきたと思います。
ハイネケン・チャンピオンズカップ2020/21 プレーオフ 1回戦
【ハイライト】ワスプス vs. ASMクレルモン・オーヴェルニュ
(ラインブレイクをもっと増やすには)ミスマッチを見つけるとか、フェーズ中にどのサインが一番いいのかという早い判断だったり、スペースをすぐに見極めるところ。もっと早く判断することです。
――周りの選手を上手く使っていた印象があります。 自分で無理だと思って、他の選手が空いていたらパスしますし、自分でいけそうだったら行きますし、そういったところの使い分けはできていると思う。チームがすごく若くなってきているので、そういったコントロールが、最初の方は結構難しかったが、中盤から上手くできるようになったと思います。
――フィジカルではどの程度大きくなりましたか? 最大で体重は6~7kg増えました。終盤は身体もきつくて、ウェイトもあまりしなかったので、2~3kg落ちて、結局、85kgくらいをキープしていました。大きくするよりか、しっかり(フランスリーグの)フィジカルに耐えるようにした結果、身体が大きくなってきた。自然となりましたが、最大の目的はしっかり耐えられる身体を作ることです。
――メンタル的に大変な時期はありましたか? プレッシャーはあまりなかったのですが、シーズンの半ば、(昨年の)8月とか2月はモチベーションがしんどかった。長いというのもありますが、ずっと高いレベルのラグビーしたい思いがあり、プレーで失敗したくない気持ちが出て、堅くいきすぎたりした。シーズン終盤はメンタルの使い方はよくなったと思います。
――今季、27試合で11トライを挙げました。印象に残っているトライやプレーはありますか? 印象に残ったトライは、ハイネケン・チャンピオンズカップのワスプス戦のトライです。みんなが我慢して、我慢して自分が取り切った。最後の最後で取り切った分、みんなで喜びを爆発させたところが印象的でした。
――ハイネケン・チャンピオンズカップを戦った感想は? 圧倒的に違うと思ったのは、フィジカルな部分です。イングランドの全チームとやっているわけではないし、簡単には言えませんが、数試合をやった感覚では「TOP14」の方が、他のリーグのフィジカルより強い感じでした。そこはやりやすさはあった。スター選手が身近にいるので、こっちにいるとそういった代表選手と試合をするのが多くなるので免疫がついたり、フィジー人、サモア人もいるので、僕自身にとって貴重な体験になっています。
――1年、フランスでプレーして、新リーグが始まる日本が参考にすべきところは? やっぱり、どの「TOP14」のチームも地域とローカルの人たちと絆がある。チームに対する誇りが強くて、応援に対する熱量がすごく違うなという感じがありました。
例えば、ワールドカップで日本代表のファンの人たちが熱くなりましたが、そういったのが毎試合あるという感じでした。(コロナ禍の無観客で)リーグ戦の最初の数試合と、最終戦とプレーオフの1回戦としか体感してませんが、その数試合でもそういうのがありました。
――来季の目標は? やっぱり優勝を目指したい。ヘッドコーチも替わるので、どういったラグビーをするか楽しみですし、できるだけ多くの試合に出たい。来季もしっかり泥臭くやっていきたいと思います。
――この後、日本代表に合流します。6月26日にはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦が控えています みんなと久しぶりに会うので、そういった部分でも楽しいですし、新しいチームになっているので、連携の部分でどういった化学反応が起きるか楽しみです。ライオンズに関してはスーパースターばかりいるので、その時点で楽しみです。
――日本代表vs.サンウルブズは見ましたか? ライブでは見られなかったので、あとから見ました。結構、プレッシャーがかかっているのもありましたし、久しぶりの試合で当然、ミスするのはみんな予想できたと思うので、そこは別に気にしなくていいと思う。新しいプレイヤーのいいプレーがあったので、そこは日本代表にとって、いい材料じゃないかなと思います
――試合前にSO(スタンドオフ)松田力也に注目していると話していました キックも良かったですし、戦術に沿って、落ち着いてやっていたと思うので、すごく成長している感じがありました。
――これから日本代表に合流します。どんな部分で貢献したいですか? フランスで経験できたことが、自分にとってはすごく大きく関わっていくと思うので、試合中で、どういう状況になるかわかりませんが、負けている状況でも、勝っている状況でも、どうやって対応するのかをしっかり表現していきたい
――日本代表で一緒にプレーするのが楽しみな選手は? アタックの部分だったら(WTBシオサイア・)フィフィタがすごくいい突破を見せていた。試合に出続ければ、そういった場面が多くなると思うので、ラインブレイクできる選手がチームに必要。そういった選手をうまくサポートして、成長させていくことが大事かなと思います。
――藤井雄一郎ナショナルチームディレクターが「松島選手は戦術を頭にたたき込めれば大丈夫」と話していました サンウルブズの試合を見た感じは、そんなに戦術が変わっていないという印象。多少変わっていると思いますが、スムーズにいけそうです。
――日本代表ではWTB、FBのどちらでプレーしたいでしょうか? フランスではずっとFBをやってきたので、FBの方がプレーはやりやすいかなと。そっちの方がいいかなと思います。
――ライオンズ戦への意気込みをお願いします バックスリーとして、トライはしっかり取っていきたいと思うので、内側の選手にしっかり要求して どこが空いているのか、そういう情報を(内側の選手に)送って、スムーズに外にボールが流れるようしていきたい。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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