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ラグビー コラム 2021年5月21日

いよいよ今季の欧州ラグビー最強クラブが決定! ハイネケン・チャンピオンズカップ決勝でトゥールーズとラ・ロシェルのフランス勢が激突。

ラグビーレポート by 直江 光信
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ラ・ロシェル vs. トゥールーズ

4月2日よりプールマッチ上位16強によるノックアウトステージに突入した『ハイネケン・チャンピオンズカップ』は、いよいよ5月22日にファイナルを迎える。決戦の舞台となるトゥイッケナムのピッチに立つのは、11大会ぶり5度目の優勝を目指すトゥールーズと、クラブ史上初のビッグタイトル獲得を狙うラ・ロシェル。両者は現在フランスのTOP14でも首位を争っており、ヨーロッパ最強クラブの座を決するにふさわしい顔合わせとなった。

プールBを1勝1不戦勝で通過したトゥールーズは、新型コロナウイルス感染拡大による中断を挟んで約3か月半ぶりの大会再開となった決勝トーナメントの初戦で、過去2度のチャンピオンズカップ優勝を誇るアイルランドのマンスターに40-33で勝利。翌週の準々決勝で松島幸太朗が所属するTOP14のASMクレルモンとの熱闘を21-12で制すると、5月1日の準決勝では同じくフランス勢のボルドー・ベグルをホームのスタッド・エルネスト・ワロンで21-9と退けて決勝にコマを進めた。

同様に1勝1不戦勝でプールAを勝ち上がったラ・ロシェルは、ノックアウトステージ1回戦でグロスターに27-16と競り勝って勢いに乗った。続く準々決勝ではセール・シャークスを相手に6トライを奪う猛攻を見せ、45-21で快勝。過去4回の優勝を誇る強豪レンスターとの準決勝は終盤まで一進一退の展開が続く中、後半25分、33分とFW戦で2トライを挙げて32-23と突き放し、ホームのスタッド・マルセル・デフランドルに歓喜の雄叫びを響かせた。

勝てば優勝回数単独トップとなるトゥールーズは、2度のワールドカップウィナーであるNO8ジェローム・カイノ(ニュージーランド代表)や208センチのLOローリー・アーノルド(オーストラリア代表)、日本でもおなじみの南アフリカ代表WTBチェズリン・コルビ、2010年のチャンピオンズカップ優勝メンバーのベテランFBマクシム・メダール(フランス代表)など、要となるポジションに強豪国の代表選手を擁し、攻守にバランスのとれたチームだ。中心となるのは、世界屈指のHB団と評されるSHアントワーヌ・デュポンとSOロマン・ヌタマックのフランス代表ペア。2020年のシックスネーションズ最優秀選手に選出されたデュポンは、テンポのいいパスワークに加えフィジカルの強さを生かした弾丸ランとハードタックルが持ち味で、ヌタマックは1996年のチャンピオンズカップ初優勝時のトゥールーズのキャプテンでフランス代表キャップ46のレジェンド、エミール・ヌタマックを父に持ち、卓越したスキルとビジョンを兼備する。

チームを率いるウーゴ・モラ監督は、主にFBとして12テストに出場し1999年のワールドカップでも活躍した元フランス代表の好ランナー。名将ギー・ノヴェス監督のあとを継いで2015年より国内随一の伝統と戦績を誇るトゥールーズの指揮官に就任し、2018-2019シーズンに7季ぶりのTOP14優勝を達成した。チャンピオンズカップ初制覇を果たした1996年のチームの一員でもあり、ほかにもFWコーチのジャン・ブイユは2003年、2005年、BKコーチのクレマン・ポワトルノーは2010年の優勝メンバーと、指導陣には本大会の勝ち方を知るスタッフがそろう。

一方のラ・ロシェルは、TOP14では2016年度、2018年度のセミファイナル進出が過去最高の成績。下部大会であるチャレンジカップに回る年が多かったため、ハイネケン・チャンピオンカップの通算成績も11勝7敗で8強が最高と目立つところはないが(トゥールーズは123勝50敗5分)、2019シーズンより就任した元アイルランド代表SOのローナン・オガーラヘッドコーチ(2006年、2008年にマンスターでチャンピオンズカップ制覇)のもとで近年急速にチーム力を高め、今回初の決勝進出を果たした。オールブラックスのNO8ヴィクター・ヴィトにSHタウェラ・カーバーロー、ワラビーズの巨漢LOウィル・スケルトン、フィジー代表のCTBレヴァニ・ボティア、フランス代表のFL/NO8グレゴリー・アルドリット、PRウイニ・アトニオ、FBブリス・デュランなど、こちらもメンバーには世界的スターがずらりと並び、戦力はトゥールーズにも引けをとらない。優勝候補のレンスターを撃破した勢いに乗って、一気に頂点へと駆け上がりたいところだ。

ファイナルを展望する上での参考として両者のTOP14での戦いを振り返ると、過去7回の対戦はトゥールーズが6勝と優勢で、今季の2度の対戦でも第2節がホームで39-23、第15節はアウェーで14-11と、いずれもトゥールーズが勝利している。ただ、24節を終えた時点での順位はトゥールーズが15勝8敗1分の勝点73でトップに立っているものの、ラ・ロシェルも16勝8敗の勝点72で2位と、勝点の差はわずかに1しかない。勝利数ではラ・ロシェルが上回っており、今シーズンに関してはほぼ互角という印象だ。

スタッツで目を引くのはラ・ロシェルの失点の少なさで、24試合で計400失点(1試合平均16.7)は他を大きく引き離すリーグ最小の数字。トゥールーズは得点がリーグ2位の710、失点は5位の520でボーナスポイントが2位の11(ラ・ロシェルは8)と、総合的なチーム力の高さをうかがわせる。決勝とあって堅く重い展開が予想されるだけに、いかに相手の攻撃を封じつつ、チャンスで着実にスコアを積み重ねられるかが、勝利の条件となるだろう。この試合のために準備してきたスペシャルプレーをそれぞれがどの局面で使うかという点にも、興味はふくらむ。

なお、チャンピオンズカップの決勝がフランス勢同士の顔合わせとなったのは2003年(トゥールーズ対ペルピニャン)、2005年(トゥールーズ対スタッド・フランセ)、2009年(トゥールーズ対ビアリッツ)、2013年、2015年(いずれもトゥーロン対クレルモン)に続き6回目。トゥールーズのンタマックは勝てば大会史上初の親子でのタイトル獲得となり、ラ・ロシェルが勝てばトゥールーズ、ブリーヴ、トゥーロンについでフランス勢として4つ目の優勝クラブとなる。ちなみにトゥールーズは2004年大会でもトゥイッケナムで決勝を戦っているが、その時は20-27でワスプスに敗れている。

J SPORTS 放送情報

トゥールーズの5度目の戴冠か。それともラ・ロシェルが歓喜の初優勝を遂げるのか。注目のキックオフは5月22日土曜日の深夜0時45分(現地時間5月22日16時45分)。必見だ。

文:直江光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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