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ブレイクダウン判定へのこだわり。選手と衝突の危険も。
――素朴な疑問なのですが、どうしてレフリーは選手とぶつからないのでしょうか?
いや、僕はけっこうぶつかるんですよ(笑)。注目度の高い試合でもコケたり、ぶつかったりしていて、他のレフリーより多いはずです。
――よく選手とぶつかる理由があるのですか?
タックルが起きたあとにラックに移行するわけですが、そこで起こるブレイクダウン(ボール争奪局面)の攻防にはすごくこだわりがあります。ブレイクダウンにできるだけ近い場所、説得力のある場所から見て判定をしたい。どうしても近づきたいんですね。
僕はラグビーの選手時代、遠くにいたレフリーに反則を吹かれて「そこにいて見えるのか」と思ったことがありました。だからこそ僕は、そこで吹かれたら文句を言えない、という位置で判定をしたい。
そうして選手に近くなると、どうしても当たる確率が多くなるんですね。
――屈強なラグビー選手と激突するのは危険ですね。
以前、千葉で開催されたトップリーグの試合で選手とぶつかってアゴがズレたことがありましたね。
背後から選手がぶつかってきたのですが、首がむち打ちになって、つんのめったところに相手側の選手のタックルがアゴの右側に入り、アゴがずれて、アゴの左側が割れました。
噛み合わせが悪くなって食べられなくなり、試合があった12月24日のクリスマスイブから1月7日まで、豆腐の生活ですよ。正月にやっと「絹ごし豆腐」から「木綿豆腐」を食べられるようになりました。(笑)
大学でラグビーを始めた理由。「半年待つから」
――そもそもサッカーの国体選手だった戸田さんが、どうして大学でラグビーを始めたのでしょうか?
まず大学のサッカー部があまり強くなくて、張り合いがなかったんですね。
そんな時に友達から借りたバイクで転んでしまいした。修理代の17万円を返済するためにサッカー部に行かずにバイトばかりしていたら、当時の大学ラグビー部の顧問だった松岡敏男先生に声を掛けられました。松岡先生は、筑波大学が(元スコットランド代表の)ジム・グリーンウッドをコーチとして招いた時(※1)、FWコーチとしてチームを支えた方ですね。
※1 筑波大学は1979年、外国人コーチとして元スコットランド代表のジム・グリーンウッド氏を招聘。当時日本ラグビー界としては画期的な「スクリューパス」を導入した。
ラグビー部の顧問だった松岡先生が「最近サッカー部に行ってないな」「将来体育教師になろうとする者が何事か」というので、事情を説明しました。そうしたら残っていた修理代を立て替えてくれたんです。
さらに、そこで松岡先生が「入部まで半年待つから」と言ってくれたことが、ラグビーを始めたキッカケですね。
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