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ラグビー コラム 2020年11月2日

関西学院大学、31歳の若き指揮官がさらなる高みを目指す。ラグビー関西大学リーグチーム紹介

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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昨季は大学選手権で明治に善戦

昨年は関西大学Aリーグで、4勝3敗で3位となり5年ぶりに大学選手権に出場した関西学院大学。3回戦は朝日大学に49-19と勝利し、準々決勝で、ディフェンディングチャンピオンの明治大学と激突、途中まで相手を苦しめ、14-22と惜敗したが、大いに存在感を示した。

今年、3シーズン率いたOBで元サントリーの牟田至監督が退き、やはり関西学院高校、関西学院大学のOBで、31歳になったばかりの小樋山樹監督が新たに指揮官に就任した。

前年度までNTTドコモレッドハリケーンズで活躍していた小樋山監督は、以前から監督就任を打診されており、「高校、大学とお世話になりましたし、現役続行か、監督か、監督になる方がワクワクしたので」と誘いを受けた。現在は人材紹介会社で働き、時短勤務などを使いながらも「毎日、顔を出すようにしています」と話す。

キャプテンの竹内海斗(写真:関西ラグビーフットボール協会)

伝統的にキャプテンは選手たちが自分たちで決めており、4年生たちはHO(フッカー)竹内海斗(4年)を選出し、副キャプテンにはSO(スタンドオフ)呉嶺太(4年)が就いた。

そして、自分の考えを言葉で伝えることのできる選手たちをリーダーに選んだ。小樋山監督は「竹内は、口はそんな上手い方ではないですが、最前線でプレーしてくれる。呉は言葉でも引っ張ることができる。いいバランスだと思います」と説明した。

4年生を中心に選手たちは目標を「日本一」、そして目的を「ただ勝つだけでなく、愛されるチームになる」ということに定めた。そしてスローガンを「more」に決めた。

「昨年は4年生が多く、メンバーが揃っていましたが、明治大学と対戦して、初めて日本一というところがおぼろげながら見えてきた。明治戦で満足するのではなく、日々の練習から『もっと、もっと』高いものを求めていかないといけない。もっと上を目指すということで『more』になりました」(小樋山監督)。

ただ、青年監督が就任して早々の春、新型コロナウィルスの影響で自粛期間に入った。

学生が主体となって部を運営する

小樋山監督は「関西学院大学は、学生主体がアイデンティティであり、それを変えることはないですし、強みと選手たちには言い続けていました。制限が厳しい中、自分たちでできることを考えてやろうと各自に任せていましたし、4年生が中心となってトレーニングを厳しくやってくれていた」と話す。

6月末、大学側からコンタクトは禁止だが、20人以下の練習は許可された。しかし、ラグビー部に限らず他の部活も同様、「学生の安全第一」ということで、それ以上の制限解除はなかなか進まず、もちろん合宿も行うことができなかった。

大学の中ではもっとも厳しい制限も9月中旬に入ってやっと緩和されて、60人で全体練習ができるようになり、10月に入って初めて部内マッチを行った。そして10月25日、交流戦で昇格組の関西大学と対戦し、26-24で勝利。関西大学Aリーグ開幕の前に、やっと初の実戦を踏むことができたというわけだ。

HO竹内キャプテン曰く「年齢が近くて話しやすい」という小樋山監督がより上位に進出するためアタックを整備し、セットプレーの強化も重ねた。「最後まであきらめず、オールブラックスのように80分間戦い続けるラグビーを目指しています」(竹内キャプテン)。

昨シーズンを経験したメンバーが多いFW(フォワード)から見ていこう。第1列はキャプテンHO竹内を筆頭に、PR(プロップ)榊優樹、小寺晴大、田畑司に、FWリーダーの伊ヶ崎瑛太(いずれも4年)、齊藤遼太(3年)らが先発を争い、新人の西村優希(京都成章)も将来が楽しみな存在だという。

LO(ロック)は渡邉蓮(4年)、そして1年生の野矢健太郎(石見智翠館)と濱崎真一(関西学院)の2人が争っている。「1年生の2人はかなりいい」と小樋山監督も期待しているルーキーだ。 

バックローは、FL(フランカー)は魚谷勇波(3年)、上條元也(4年)、冨岡青(4年)が争い、NO8(ナンバーエイト)には、竹内キャプテンもボールキャリアとして期待する松田進太郎(3年)が入りそうだ。特に冨岡は昨年、タックルの強さや運動量を評価され、CTB(センター)からFLに転向した選手で、FWに転向して2年目の今年は存在感を示しそうだ。

BK(バックス)は昨年からレギュラーだった、SH(スクラムハーフ)橋詰学(3年)、FB(フルバック)奥谷友規(4年)の2人以外は、大きくメンバーが変わりそうだ。SHの控えにはBKリーダーの佐藤響(4年)が入りそうだ。SH橋詰、佐藤とハーフ団を組むのは副キャプテンの呉だ。新人のSO齊藤綜馬(関西学院)も伸びているという。

そして、小樋山監督が「4~5人高いレベルの選手がいて一番、層が厚く、誰を起用するか悩んでいる」というのがCTBだ。徳岡虎太郎、塩谷大稀、石山夏祈(いずれも3年)、昨年度の花園で御所実業の準優勝に貢献した高校日本代表の冨岡周(1年)もメンバーに絡んできそうだ。

バックスリーはFB奥谷を筆頭に、7人制日本代表経験のあるWTB(ウィング)奥平湧(3年)、スピードのあるWTB伴井亮太(2年)がレギュラー組だ。SH、SOでもプレーできるバックスリーの坂原春光(2年)のベンチメンバーに入りそうだ。

いずれにせよ、昨春に付属の関西学院高校が選抜大会でベスト8に入っており、その選手たちが入部したことで、選手層の底上げは進んでいる。

小樋山監督以外は、コーチ陣に大きな変更はないという。ただ、昨年度のチームで司令塔を任されていた房本泰治が新たにコーチに就任した。昨年度も房本は練習の運営をしたり、戦術を考えたりしており、今年も「絶対に必要」(小樋山監督)な存在ということで、働きながら土日を中心にコーチングしている。

竹内キャプテンが「チーム一丸となって日本一になります」と語気を強めれば、監督就任1年目の小樋山監督は「やっと試合ができたばっかりですが、勝つために準備していきたい。どのチームも油断して勝てる相手ではないので、チャレンジャー精神を持って1試合1試合、戦っていきたい」と本番を見据えている。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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