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写真:自信を持つ接点での攻防が勝敗の鍵を握る
強豪ひしめく関東大学対抗戦を戦い抜いた筑波大学の強さは伊達ではなかった。
対抗戦4位の筑波大は全国大学選手権の初戦で、関西リーグ戦2位の同志社大学と対戦。平均体重は優に100kgを超える同志社大のFW(フォワード)に対して、接点で圧倒した。
HO(フッカー)安里大吾(3年・名護)は「重さや強さは感じたが、いける感覚があった」と話す。接点での攻防を制した筑波大は、序盤こそ苦戦を強いられたものの、後半は一挙に5トライを挙げ、48-17で大勝した。
嶋崎達也監督(体育系・助教)は「アタックは9月から修正してきたものが機能した」と手応えを口にすると、「ディフェンスはやってくれると思っていた」と期待通りの活躍を称えた。
負けたら終わりの選手権。ラグビーの聖地「花園」。様々な思いが交錯したのだろうか。序盤は「緊張でみんなの動きが固かった」と嶋崎監督は振り返る。普段はしないミスや同志社大のディフェンスを前に、攻めても前に出られない時間が続いた。
主将のSH(スクラムハーフ)杉山優平(4年・大阪桐蔭)は「前半は風下でもあったから、厳しくなると想定していた」と話す。ディフェンスの時間は「我慢」と叫び続けた。
同志社大ペースで試合が進むも、要所でターンオーバーするなど、我慢強いディフェンスでトライを許さなかった。
均衡を破ったのは筑波大。パスミスが返っていい方向に働いた。「ミスによって自分の得意とするアンストラクチャーができていた」と話したFB(フルバック)松永貫汰(2年・大阪産業大附)が見せた。
転がったボールを拾い、ラインが崩れたギャップを突くと、巧みなショートパントで最後の1人も抜き去りトライ。松永は「ミスをリカバリーできたことはよかった」と振り返る。
さらに16分には、内側に切り込んでラインブレイクしたWTB(ウイング)仁熊秀斗(4年・石見智翠館)と杉山の2人で切り崩し、最後は仁熊がトライを決めた。
34分に自分たちの反則からトライを返されるも、終了間際にSO(スタンドオフ)島田悠平(4年・國學院久我山)のPG(ペナルティゴール)が決まり、17-5で前半を折り返した。
写真:同志社戦で苦しんだスクラム。挽回なるか
突き放したい筑波大だったが、後半直後にノックオンで与えたスクラムから同志社大が局地戦に持ち込んだ。フェイズは40を数え、10分近く耐えていた筑波大だったが、ついにゴールラインを割られた。
これで5点差まで迫られた。それでも、全員の切り替えが早く、相手に流れを渡さなかった。
杉山は試合前、メンバーに「どんな状況になっても切り替えを大切にしよう。勝つことが全てだから、過去のミスを引きずる必要はない」と話していた。
直後の15分、ラインアウトを起点に、WTB嶋田修(3年・大分上野丘)が5人に囲まれながらもトライを取り切った。
杉山は「やることは明確だった」と振り返る。風上のため、島田のキックを使い、敵陣で戦うことを決めた。敵陣に入ると、縦に強く、テンポの速い攻撃で相手を圧倒。
5連続トライを挙げ、相手に付け入る隙を与えなかった。杉山は「どっちに転ぶかわからない」と話していたが、終わってみれば48-17の大勝だった。
勝敗を分けたのはやはり接点での攻防だった。安里は「接点で自分たちのやりたいことができた」と語る。アタックでは接点の1つひとつでゲインし、杉山がすかさずパスを供給できる状況を作った。
ディフェンスでは逆に接点で相手の攻撃のテンポを抑えた。土谷は「接点で圧力をかけられたから、次のアタックに向けてラインを整備することができた」と話す。
準々決勝の相手は関東大学リーグ戦1位の東海大学。勝敗の鍵を握るのは、まず接点だろう。同志社大に見せた接点での攻防ができれば、十分勝機はある。
また、「(東海大は)セットプレーに自信を持っている」と土谷は話す。筑波大は同志社大戦で、スクラムでの反則を2本取られるなど苦しんだ。
更に、東海大のモールは最大の脅威だ。リーグ戦の流通経済大学戦ではリードを許して迎えた後半、徹底してモールを使い、逆転勝利を収めている。筑波大としてはスクラムで反則を犯さず、規律を守ることで、相手の強みを封じたい。
筑波大が公式戦で東海大と対戦するのは2014年度以来。当時は、17-16で僅差をものにしている。ケガから復帰したPR(プロップ)北島純(4年・城南)は並ならぬ想いで東海大との試合に臨む。
北島は2014年の東海大戦を見て、大学でもラグビーを続けることを決めた。北島は「筑波でやりたいと思った試合だった。今度は自分の番」と意気込む。
様々な想いを胸に戦う筑波大部員。1年ぶりに乗り込む秩父宮の地で、ありったけの想いをぶつけて欲しい。
文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)
ラグビー全国大学選手権 3回戦
【ハイライト動画】同志社大学 vs. 筑波大学
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