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ラグビー コラム 2019年12月15日

進化した筑波大学、「チーム力」で全国の舞台に挑む。ラグビー全国大学選手権

ラグビーレポート by 筑波大学新聞
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「圧倒的な力の差があるという感覚がない。去年や一昨年にはなかった感覚。そう思えることが嬉しい」。そう語る主将の杉山優平(4年・大阪桐蔭)の言葉には、確かな自信が伺える。

筑波大学は今年の関東大学対抗戦を4位で終え、全国大学選手権進出を決めた。

2年連続の選手権進出となったが、「今年は自分たちで勝ち取った選手権」とNO8(ナンバーエイト)田上徳馬(4年・熊本)は言う。昨年は選手権進出の枠が5つとなり、5位での出場だった。

4年生は3年間で1度も早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、帝京大学の牙城を崩せなかった。1年生から関東大学対抗戦に出場しているFL(フランカー)土谷深浩(4年・福岡)は「毎年5位だった。もう引退していたかもしれない」と語る。

だが今年は違う。慶應大に劇的な逆転勝利を収めた。さらに、明治大には敗れるも5トライを挙げ、帝京大をあと一歩まで追い詰めた。

SO(スタンドオフ)山田雅也(4年・桐蔭学園)は「やってきたことは間違ってない。手応えを感じる」と話す。

CTB(センター)岡崎航大(3年・長崎北陽台)も「去年は歯が立たなかった早慶明帝と戦えている。日本一になれる位置にいる」と自信を見せる。

筑波大は選手権でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。まずは、その強さの秘訣に迫りたい。

「対抗戦を良い流れで戦えた。ただの勝ち負けで終わらず、成長や課題を次戦に活かすことができた」と杉山は話す。4年生を中心とした「準備」が今年の筑波の強さを物語る。

日本一の明治に勝つことを目標に始まった対抗戦。「身体の面でも気持ちの面でも多くの準備をしてきた」と土谷が言うように、明治相手に5トライを挙げた。敗れはしたものの、杉山は「このチームの可能性を感じた」と言う。

ただ。そこで満足せず、「(慶應大戦前は)何回もミーティングをした。練習から常に勝つと言い続けてきた」(土谷)。慶應大戦では、ロスタイムに逆転サヨナラトライを決め、確かな自信を得た。

写真:強みである接点で力を見せたい

だが、早稲田戦では「勝負させてもらえなかった」と嶋崎達也監督(体育系・助教)が語るほど、大敗した。「慶應に勝てた自信と早稲田に負けて、自分たちがまだまだだという、成長と課題の両方を得た」と杉山は振り返る。

ワールドカップの中断期間を経て再開した対抗戦。帝京大相手に最後のワンプレーまで追い詰め、PR(プロップ)鎌田慎平(4年・東福岡)は「(対抗戦の)前半戦とは違った筑波を見せられた」と語る。

帝京大相手に最後のワンプレーまで追い詰めた。だが、ロスタイムに逆転負けを許し、杉山は「選手権で戦うためには、緊迫したゲームで勝ち切るチームにならないといけない」と気持ちを引き締めた。

その後の日本体育大学戦、青山学院大学戦、成蹊大学戦では、けが人の多さから、多くのメンバーが初めての対抗戦を経験した。

メンバーが変わっても、試合での成長を自信に変え、課題を次戦の目標にしてきた。こうした一戦一戦に向けた「準備」が筑波大を進化させ続けている。

だが、筑波大の最大の強みは、杉山がシーズン初めから訴えてきた「チーム力」にある。「今シーズンは全員が納得できるまで話し合うことができた。今はチーム全員が同じ認識でいる」と杉山は話す。

同期はもちろん、監督と選手、A・B・Cチーム、各学年といった、縦横どのカテゴリーでも徹底的に話し合った。

「みんなが当たり前に話せるようにしたかった」と副主将・石川千暁(4年・洛北)は語る。そうすることで、「4年生それぞれの思いは伝わるし、行動に出る。1~3年生はその影響を受けて、がんばろうと思ってくれる」(杉山)。

さらに、CTB(センター)野中亮志(4年・東海大仰星)は「下級生もよく話してくれるから、上級生は下級生がどう思っているかがわかる。意思統一している感覚がある」と言う。

嶋崎監督も手応えを口にする。「週ごとに目標を変えても、みんなが理解してくれている。うまくイメージが共有できているし、例年よりも響いている」と話す。

写真:ジャージ渡しは「筑波の心臓」石川の熱い言葉から始まる

当然、こうしたまとまりのあるチームの代表として戦う23人には「誇りと責任がある」(土谷)。

そう感じさせるのが、試合前の行事である「ジャージ渡し」だ。今年から、「メンバー外の人に向けても、どういう意気込みでプレーをするのか宣言して欲しい」という石川の思いから、やり方を少し変えた。

始めに、石川から試合に向けた想いを語り、23人にジャージを渡していく。そして、渡された選手一人ひとりが抱負を語る。

WTB(ウイング)仁熊秀斗(3年・石見智翠館)は「気持ちを共有しているからこそ、メンバー全員に勝ちたい気持ちがある」と話す。

もちろん、筑波大の強さはプレーにも現れている。シーズン当初から強化してきた「接点」と「泥臭さ」は筑波大の武器となるだろう。

慶應大や帝京大相手に当たり負けないタックルができたことで、「自分たちの強みが明確になった」(杉山)。

7日に行われたジュニア選手権の入れ替え戦でも、特に前半は接点での強さが光った。土谷も「4年間の中でいちばんの仕上がり」と語る。

選手権初戦の相手は同志社大学。身体の大きいFW(フォワード)を起点とし、セットプレーに強みを持つ。筑波大としては近場で攻めてくる相手の強みを消すため、どこまで身体を張り続けられるかが焦点となるだろう。

筑波大の「泥臭さ」を発揮する絶好の機会だ。HO(フッカー)吉田隼人(4年・長崎北陽台)は「派手なプレーができない分、泥臭く体を張りたい」と話す。

負ければ終わりの選手権がいよいよ始まる。山田が「4年生と1日でも長くやりたい」と話せば、PR木原優作(1年・東福岡)も「4年生のためにも、身体を張りたい」と語る。

4年生が積み上げてきたチーム力の高さで、「勝ち切るチーム」になれるかどうか。筑波大の真価が問われる。

文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)

◆ラグビー全国大学選手権3回戦
・12月15日(日)午後1:53 同志社大学 vs. 筑波大学 J SPORTS 3

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筑波大学やつくば市内のニューズを扱う、筑波大学公認の新聞。発行は年7回で発行部数は2万部以上。取材や原稿執筆、紙面の作成などは学生中心で行う。»Twitter »Facebook

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