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関東大学対抗戦が終わり、筑波大学は4位で2年連続となる全国大学選手権進出を決めた。
筑波大は12月15日、同志社大学と対戦する。舞台は高校ラグビーの聖地「花園」だ。ラガーマンにとっては特別な想いがある聖地「花園」。
選ばれた23人の中には、4年ぶりに帰ってくる選手や初めてグラウンドに立つ選手などそれぞれ違った想いで花園に乗り込むことだろう。筑波の選手にとって「花園」とはどういう場所なのか。全国高校ラグビーでの思い出などを振り返ってもらった。
主将・杉山優平(4年・大阪桐蔭)は高校2年時、深谷相手に1人で4トライを上げた。この活躍に加え、実家が花園から自転車で10分の距離にあることから、スポーツニッポンに「花園の申し子」と名付けられた。
そんな体験を恥ずかしげに話しながら、「(花園は)慣れ親しんだ場所で、4年ぶりに帰ることになる。いろいろな想いがあるし、自分が一番緊張すると思う」と語った。
地元・大阪の凱旋試合となるのは杉山だけではない。FB(フルバック)松永貫汰(2年・大阪産業大附)は1、2年生の時に全国高校ラグビーの大阪府予選決勝を花園で戦った。
だが、どちらも敗れ、悔しい想いがある。「花園の第1グラウンドで勝った経験があまりない。だから今回は勝ちたい」と話す。また、「関東の大学に来たため、花園で戦えることは嬉しい」と語った。
写真:高3で花園優勝を果たした野中
CTB(センター)野中亮志(4年・東海大仰星)も「地元で試合ができることは嬉しい」と語る。
野中は3年生の時、全国高校ラグビーで優勝を経験している。野中は「高校の頃を思い出すのかもしれない」と微笑む。「いいイメージは残っている。やるからには勝ちたい」と話した。
一方で、花園で悔しい経験をした選手も多い。PR(プロップ)木原優作(1年・東福岡)は1年生で優勝を経験。
だが、自身も出場した2年時は優勝を逃した。だからこそ、3年で優勝したい気持ちが強かったが、準決勝で桐蔭学園に敗れた。木原は「(花園は)悔いの残る場所になった」と話す。
木原にとって高校の先輩でもあるPR鎌田慎平(4年・東福岡)も同じ思いがあった。2年生の時は優勝したが、3年生ではベスト4に終わった。「勝った試合はあまり覚えていないが、負けた試合は鮮明に覚えている」という。
SO(スタンドオフ)山田雅也(3年・桐蔭学園)も「3年生の時は自分のせいで負けた」と悔やむ。だが、「苦い思い出の方が大きいからこそ、また大学で戻ってこようと思えた。ここで1つ壁を越えたい」と意気込んだ。
また、高校生の時には花園の地に立てなかった選手もいる。FL(フランカー)土谷深浩(4年・福岡)は「花園は中学3年生以来。高校の時は、東福岡に勝つことだけを考えていた」と、花園は遠い存在だったことを明かした。
写真:初めて花園で戦う田上
NO8(ナンバーエイト)田上徳馬(4年・熊本)も「花園を目指してはいたが、実力が足りず、どこか諦めていた」。
一方で、「大学生になって、花園のイメージも変わる。花園でプレーできることは嬉しいが、浮つくことなくプレーに集中したい」と話す。
他にも、個性的な想いを持った選手がいた。SO島田悠平(4年・國學院久我山)は「観客が近いイメージで、サイン等、声が届くか心配。ただ、芝生は好きな印象がある」と冷静に振り返る。
LO(ロック)後藤海夏人(4年・茗溪学園)は「心臓バクバクでグラウンドに向かった思い出しかない」と話す。それでも「同志社大に勝つことを念頭に置いて、邪念をなくしたい」と引き締めた。
筑波大が公式戦で同志社大と対戦するのは、2015年以来となる。選手権のセカンドステージ第2戦で、場所は奇しくも今回と同じ花園だった。
2015年は36-22で筑波大が勝利した。この時、筑波大は対抗戦で帝京大学の公式戦連勝を50で止める大金星を挙げたものの、選手権の第1戦で大東文化大学に敗れ、自力でのセカンドステージ突破が絶たれていた。
そんな中で行われた同志社大戦だったが、「彼らが見せるパフォーマンスはすごかった」と嶋崎達也監督(体育系・助教)は振り返る。「そこで良かったのはディフェンスと接点だった」。
そこで、嶋崎監督は選手たちに当時の映像を見せて、「自分たちはまだこの接点のレベルに達していない」と訴えた。選手権進出を決めた日本体育大学戦で、接点に課題が出ていたからだ。
「今シーズン磨いてきた接点をさらに進化させるために、いいイメージをつかんでもらいたかった」と話す。
加えて、これから当時と同じ場所、同じ相手と戦うことも踏まえ、「2015年に同志社大に勝った時のようなプレーはできていない」と奮い立たせる意味も込めた。
様々な想いが交錯する聖地「花園」。筑波の選手はどんな想いでグラウンドに立つのだろうか。彼らが浮かべる表情にも注目したい。
文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)
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