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ラグビー コラム 2019年11月3日

南アフリカ、横浜の夜空に「ウェブ・エリス・カップ」を掲げる。ラグビーワールドカップ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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写真:大統領とともにカップを掲げるシヤ・コリシ キャプテン

9月20日(金)に開幕、44日間に渡り、大きな盛り上がりを見せたラグビーワールドカップ日本大会も遂に最終日を迎え、11月2日(土)、神奈川・横浜国際総合競技場で決勝戦が行われた。

2007年以来3度目の優勝を狙う「スプリングボクス」こと、南アフリカ(世界ランキング2位)が、2003年以来2度目の優勝を目指す「ラグビーの母国」イングランド(世界ランキング1位)が激突した。

準決勝で「オールブラックス」こと、ニュージーランドに19-7で快勝したイングランドは決勝も同じ23人で臨んだ。

エディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、「南アフリカは簡単には私たちのプレーをさせてくれないでしょう。彼らのフィジカルに立ち向かわなければいけませんが、それを乗り越えて自分たちのプレーをしたい」と意気込んだ。

一方「イングランドを追い詰め、勝つチャンスがあると思っている」とヨハン・エラスムス監督が自信をのぞかせた南アフリカは、接戦で勝利した準決勝のウェールズ戦から変更は1人のみ。

WTB(ウィング)シブシソ・ンコシに代えて、ケガの治ったチェスリン・コルビが先発した。また前の試合と同じく、控えには「ボム(爆弾)・スコッド」と言われる6人のFW(フォワード)を入れた。

本大会史上最多であり、横浜国際総合競技場記録となる7万0103人の大観衆が見守る中、南アフリカ、SO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラードのキックオフで試合が開始された。

まず、2分に南アフリカが相手の反則から先制のチャンスを得るが、やや距離のあるPG(ペナルティゴール)をSO(スタンドオフ)ポラードがポスト左に外してしまう。

しかし、その後も南アフリカは押し気味に試合を進め、10分にポラードのPGで3-0と先制に成功する。

一方、前半序盤は固さの目立ったイングランドだったが、時間経過と共に次第に調子を上げ始め、23分にCTB(センター)オーウェン・ファレルがPGを決め、3-3と試合を振り出しに戻す。

だが、イングランドはその後もスクラムで劣勢に立たされ、26分に南アフリカのSOポラードがPGを決めて6-3リードする。

3点を追うイングランドは、その後フェーズを重ねて敵陣へ攻め入るものの、ゴールラインを割ることができず、35分にファレルのPGで6-6に同点に追いつく。

南アフリカは39分にポラードのPGで追加点を挙げ、9-6とする。さらにロスタイムには、前半ラストプレーのスクラムで南アフリカがスクラムに押し勝って反則を得て、SOポラードがPGも決め、12-6として前半を折り返す。

後半序盤は両チームともにスクラムから得たPGを、ポラードとファレルが蹴る展開となり、ノートライのまま試合は流れていく。残り20分のところで、互いにPGを決めあい、南アフリカが18-12とリードする。

後半26分。南アフリカがついに試合を動かす。ブラインドサイドにアタックし、タッチライン際でパスを繋ぐと、WTBマカゾレ・マピンピが裏へとキック。

このボールにCTBルカニョ・アムがキャッチし、フォローしたマピンピにつないで、そのままトライを挙げた。

「裏へキックしろというコールが聞こえた(から蹴った)。(南アフリカ史上決勝初のトライということは)知らなかった!」(マピンピ)」。南アフリカはSOポラードのゴールも決まり、25-12と大きくリードする。

その後、2トライ2ゴールで逆転可能なイングランドは果敢にアタックを仕掛けたが、34分に南アフリカがターンオーバーからWTBチェスリン・コルビが試合を決めるトライを取り切って32-12と突き放す。

結局、南アフリカはイングランドにトライを許すことなく、そのまま32-12でノーサイドを迎えた。

南アフリカプール戦で負けたチームとして、史上初の大会制覇を果たし、最多タイとなる3度目の「ウェブ・エリス・カップ」を手にした。

この試合のプレイヤーオブザマッチは南アフリカのNO8(ナンバーエイト)ドウェイン・フェルミューレンが選出。

「私たちは南アフリカの5700万人のために戦いました。チームの一貫性が欲しかったですし、何かを成し遂げたかった。希望を作りたかったのです。幸運にも今日その目標を達成しました」と声を弾ませた。

優勝という公約を果たせなかったイングランドのジョーンズHCは、「ゲームの入りが良くなかった。選手はよくやったが、スクラムがうまくいかなかった」と悔しさをにじませた。

そして、「選手たちは今までハードワークをしてきて、準備に失敗はなかった。選手たちはプライドと情熱を持って戦った」と選手たちを労った。

キャプテンのCTB(センター)オーウェン・ファレルは「あまりよいスタートを切れず、残念な前半になったが、このグループを誇りに思う。後半は戦ってそれを見せたが、南アフリカがとても良かった」と試合を振り返った。

そして、「この大会を通してだけでなく、大会に向け準備のために一緒に過ごした時間を含めて大きく成長した。このチームの一員であることを大いに誇りに思う」と締めくくった。

初のワールドカップで南アフリカを優勝に導いたエラスムス監督は、「選手たちは自分たちを信じてプレーをした。19週間を一緒に過ごし、互いによく知り合った。選手は最後まで懸命に戦った。彼らを誇りに思う」と選手たちを称えた。

続いて、「まず、この素晴らしいワールドカップを主催した日本に感謝する。スプリングボクスのサポーターのおかげで、日本での生活が寂しいと思ったことはない」。

「日本に来てくれたサポーターだけでなく、南アフリカで応援してくれた人たちにこの気持ちを伝えたい。フェースブックやツイッターなどで何百万の人たちが応援してくれているのが分かった。皆さんを愛しており、早く帰国したい」とファンに感謝した。

「ウェブ・エリス・カップ」を掲げたキャプテンのFL(フランカー)シヤ・コリシは「僕たちの国にはいろいろな問題がある。いろいろなバックグラウンドや民族から選手が集まり、1つの目標に向かって一丸となった」。

「南アフリカという国のために戦った。何かを成し遂げたいと思ったら1つになれるんだということを見せたかった」と胸を張った。

アジアで初めて開催されたワールドカップ日本大会は、日本がベスト8に入ったこともあり、大いに盛り上がりを見せ、南アフリカがニュージーランドに並ぶ3度目の優勝で幕を閉じた。

【ハイライト】ラグビーワールドカップ 決勝 イングランドvs.南アフリカ

(c) Rugby World Cup Limited 2019

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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