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1899年に創部され、日本最初のラグビーチームである慶應義塾大学蹴球部。ルーツ校として日本ラグビーを長らく支え、今年で創部120年目を迎える。
今季は、慶大卒業後トップリーグのサントリーなどでプレーし、日本代表経験もある栗原徹氏がヘッドコーチに就任し、早稲田大学からコーチとして三井大佑氏を招聘するなど、スタッフ陣が一新された。
”Unity” “Balance” “Varsity”というスローガンを掲げ、節目の年に日本一奪還を目指す。
新指揮官の下で指向するラグビーは、低いタックルで相手のアタックを食い止める慶大の伝統的なスタイルに加え、「型にこだわりすぎずに、それぞれがしっかりと“考えて判断する”」(栗原由太主将)スタイルである。
具体的には、ボールに絡んでいる一部の選手だけでなく、「全員がオプションになる、全員がリンクする」ラグビーである。そんな新チームの注目すべきポイントは、ハーフ団。
昨季まで主力であった江嵜真悟(平成31年度商卒)、古田京(平成31年度卒部)が抜け、上村龍舞(環4・國學院栃木)、若林俊介(政3・慶應)、中楠一期(総1・國學院久我山)、鎌形正汰(商3・慶應)など、新ハーフ団がどのようなゲームメイクをするかに注目だ。
写真:攻撃の選択肢は幅広い
特に今季の慶大は、現代ラグビーの潮流に合わせて、エリアマネジメントにおいて10番に頼るだけでなく、「9番も積極的にキックを多用して、単純にプレゼントボールをしない方法でエリアを取っていく」(若林)戦術を取り入れようとしている。
春季大会の前半では、9番のキックの精度や、判断力が伴わなかったため、十分に機能しなかったが、後半戦では、「少しずつ形になってきた」(若林)と手応えを感じつつある。
この新戦術がはまれば、慶大のアタックの幅が広がり、新しいアクセントが加わるにちがいない。
写真:セットプレーの安定がカギだ
さらに、セットプレーの出来が慶大の躍進の鍵を握るだろう。辻雄康(平成31年度文卒)など大型の選手が引退したため、今季の慶大のFW(フォワード)陣は、早大、明治大学、帝京大学といった強豪に比べると、体格に劣る。
その体格差をカバーするために、ラインアウトでは、「自分たちが絶対に取れる場所ではなく、空いているスペースで確実に取りに行く」(川合)ことを意識している。
また、スクラムは昨年と同様に低く組むように徹底している。だが、この夏の間に菅平で行われた明大戦と天理大学戦では、セットプレーでの課題が浮き彫りとなった。
明大戦では勝利を挙げたものの、ラインアウトの成功率が低く、天理大戦では、スクラムで優位に立てなかった。少なくとも11月の明大戦、早大戦、帝京大戦までにセットプレーを立て直さなければいけないだろう。
春季大会は、1勝4敗に終わった慶大。だが、選手たちは夏合宿を経てより強くたくましくなったはずだ。
文/写真:竹内大志(慶應スポーツ)
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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