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▼アメリカ代表×日本代表
▼パシフィック・ネーションズカップ2019最終戦/8月10日(土)/フィジー・スバ
▼W杯最終登録メンバー発表前、最後のアピール機会で勝利。課題を残しつつも大会全勝でPNC制覇。
環太平洋6か国が参加するパシフィック・ネーションズカップ(PNC)は最終戦を迎え、世界ランキング11位の日本代表が、カナダ、サモアに連勝して同13位にランクアップしたアメリカ代表と対戦した。
ともに2勝0敗。日本(プールB)が勝てば8年ぶりのPNC制覇となり、アメリカ(プールA)が勝てば大会初優勝が決まる一戦。
しかし両国のターゲットは、あくまで9月20日(金)開幕のワールドカップ(W杯)日本大会だろう。
各国のW杯最終登録メンバー31人は9月2日までに決定される。日本代表の選手にとって、特に当落線上を自覚する選手にとっては、最後のアピール機会となりうる重要な一戦となった。
上り調子のアメリカは地力をつけている。
2018年にはプロリーグ「メジャーリーグラグビー」がスタート。日本戦のメンバー23人中12人が同リーグでプレーする。
PNCでは先週、難敵サモアに13-10で劇的勝利。そのサモア戦からは先発を7人変更した(FW5人+BK2人)。
ただ15年W杯メンバーである10番のAJマクギンティ、英プレミアシップのハーレクインズに所属するCTBポール・ラシケ、キッカーを務めるFBウィル・ホーリーなど主力は、先週に続いての登場となった。
日本の先発メンバーを見てみると、FW第1列はパナソニック・トリオ(PR稲垣啓太、HO堀江翔太、PRヴァル アサエリ愛)となり、スクラムハーフはキヤノン・コンビ。右足の怪我から復帰のSH田中史朗が大会初出場となり、キヤノンでチームメイトのSO田村優とコンビを組んだ。
NO8はこちらも大会初出場のツイ ヘンドリック。センターは、こちらはコカ・コーラのコンビ。CTBラファエレ ティモシーと、今大会フルバックで起用されてきたCTBウィリアム・トゥポウだ。
フルバックの先発は大会初出場の山中亮平。相手のアメリカ代表HC(ヘッドコーチ)は、以前は神戸製鋼の指揮官だったギャリー・ゴールドだ。またプロップの山本は国内での試合、トレーニングから合流し、リザーブに名を連ねた。
【日本代表アメリカ戦メンバー23人】
▼FW PR稲垣/HO堀江/PRヴァル/LOムーア/LOヘル/ FLリーチ(主将)/FLラブスカフニ/NO8ツイ
▼BK SH田中/SO田村/WTB福岡/CTBラファエレ/CTBトゥポウ/WTB松島/FB山中亮平
▼Re. 坂手/山本/木津/ファンデルヴァルト/姫野和樹/流/松田/レメキ
序盤は日本が優勢だった。
前半3分、SO田村の好タッチキックから、この日最初の敵陣ゴール前ラインアウト。
ここでモールを組むと、バックス3人も後押しをして、NO8リーチ主将がグラウンディング(ゴール成功)。母の母国フィジーで先制トライを決めた。7-0
さらにPG(ペナルティゴール)で確実に加点するなど、敵陣に入って高確率でスコアする好ペース。
前半11分にはHO堀江のノールックパスなどを交え、素早いパスを組み合わせ、右大外でWTB松島がラインブレイク。この日絶好調だったWTB福岡がパスを受け、インゴールまで独走した。0-17
この日はトンガ戦に続いてラインアウト・ディフェンスも冴え、スピード感のあるリフトでスティールを連発。しかしアメリカも強力なフィジカルで反撃してきた。
ジャパンのダブルタックルの精度が低くなると、元アメリカンフットボール選手(NFLシカゴベアーズ)のCTBラシケを筆頭に、ニュージーランドでプレーするHOフィアガイ、英プレミアシップのLOピーターソンなど、強いランナーが存在感を発揮。
波状攻撃から前半16分、SOマギンティが突破すると、内側をフォローしていたWTBヒューズがスコアラーに。スコアは7-17となった。
日本は接点付近でのハンドリングエラーが続き、スクラムでも反則を吹かれて劣勢模様。アメリカはさらに2PGを追加。
序盤の優勢ムードは立ち消えたが、しかし7点リード(20-13)で前半を折り返した。
後半の日本を勢いづけたのは、大会初先発の山中だった。
後半4分、敵陣でフォワードが近場で身体を当てると、相手ゴール前の展開からSO田村が2人を引きつけ、内返しのパス。走り込んだFB山中が飛び込み歓喜した。13-27
後半15分にもWTB福岡のカウンターを起点として、FB山中、途中出場の流、HO堀江とつなぎ、最後はFLリーチが左中間へ。フォロワーが次々と湧き出て、トライを奪った。13-34
しかし今大会で安定していたスクラムがこの日は課題に。
後半31分、自陣深くのマイボールスクラムでプレッシャーを受け、イーブンボールを確保されて失トライ。フォワードは悔しい失点を浴びてしまった。20-34
ただ激しいディフェンスで、これ以上の失点は許さなかった。
残り1分、アメリカボールのゴール前スクラム。リザーブからPR木津がNO8ツイと交替して3番に。バックロー経験者のPRヴァルは、NO8に下がってスクラムを組んだ。
このスクラムでしっかり対抗した日本は、インゴールを背負って最後のディフェンス。最後は80分出場のLOムーアが好タックルで落球を誘い、ボールを蹴り出して、ノーサイド。
最終スコアは20-34。日本は大会全勝(3勝)で、8年ぶりのPNC優勝を決めた。
好成績を残した日本は今後、8月18日(日)から28日(水)まで北海道・網走で合宿を行い、9月2日までにW杯最終登録メンバー31人が決定される。
【ハイライト】日本 vs. アメリカ ラグビー パシフィック・ネーションズカップ2019
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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