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ラグビー コラム 2019年1月18日

チームの総合力が問われる戦い トップリーグカップ戦総合順位決定トーナメント 決勝プレビュー

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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国内シーズンの掉尾を飾るトップリーグカップ戦総合順位決定トーナメント最終日が、1月19日(土曜)、各地で行われる。16チームすべての順位が決まるが、カップ戦の王者を決める決勝戦は、サントリーサンゴリアス対トヨタ自動車ヴェルブリッツという顔合わせになった。秩父宮ラグビー場で午後2時キックオフである。

今季のトップリーグは神戸製鋼コベルコスティーラーズが王座に就き、サントリー、トヨタ自動車は優勝を逃した。トップリーグカップは、日本代表スコッドは原則として出場せず、若い選手や、出場機会の少ない選手に公式戦でプレーするチャンスを与える目的がある。ただし、チームによって考え方はさまざま。日本代表選手を除いたベストメンバーを組むチームもあれば、若い選手にチャンスを与えるチームもある。

サントリーの沢木敬介監督は、先週の準決勝で日本人選手だけのメンバーを組んだ。「日本人が育たないと、クラブのカルチャーがなくなってしまいます。カップ戦は若手が経験を積む場だと思います。一番ハードなトレーニングをしてきた選手たちの発表会という面もある。ただし、日本人を揃えることにこだわっているわけではありません」。日本出身以外の選手も出場する可能性をにおわせていたのだが、発表されたメンバーは日本人のみ。「若い選手を成長させる場」という考え方を貫いた。

尾崎晟也(サントリーサンゴリアス)

尾崎晟也(サントリーサンゴリアス)

突破役のNO8ジョーン・マクマーン、ツイ ヘンドリック、FB松島幸太朗、ボールハンターのFL西川征克、プレーメイカーのSOマット・ギタウ、CTB中村亮土は出場しない。しかし、PR堀越康介、LO加藤広人、CTB梶村祐介、リザーブ尾崎晟也のルーキー4人衆が揃ってメンバー入りするなど今後楽しみな選手が多く、このメンバーでトヨタ自動車とどこまで戦えるのか注目である。キャプテンは、PR垣永真之介が務める。

岡田優輝(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

岡田優輝(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

対するトヨタ自動車は、姫野和樹、ヘンリー ジェイミー、茂野海人など日本代表、サンウルブズのメンバー、そしてプレーメイカーのSOライオネル・クロニエは不在だが、それ以外では今季の主力が並んだ。身長2m超のLOコンビ、カール・ウェグナーとジェイソン・ジェンキンスは、セットプレーでサントリーに圧力をかけるだろう。トップリーグ新人賞の岡田は、今季はWTBでプレーしてきたが、準決勝ではCTBを務めた。瞬時の加速でパナソニックワイルドナイツのディフェンスを破るシーンもあり、WTBでも力を発揮するだろう。CTBはイェーツ スティーブン、クリントン・スワートという突破力あるコンビ。スワートは準決勝で約55mのPGを決めており、決勝戦でもロングPGが見られるかもしれない。

キャプテンは、FBジオ・アプロン。175cm、79kgという小さな体で南アフリカ代表17キャップを獲得したキレのあるステップはサントリーにとって脅威になる。先週の試合後、トヨタ自動車のジェイク・ホワイト監督は「トヨタはまだ勝ち方を学ぶ必要がある」とコメントした。トヨタ自動車のメンバーは、FW第一列の両PR三浦昌悟、木津悠輔はともに入社一年目。経験の浅い選手も多く、チームとしては発展途上だ。サントリーを相手に全力を出し切ることでさらに成長したい。

トップリーグ開幕節でも対戦したサントリーとトヨタ自動車

トップリーグ開幕節でも対戦したサントリーとトヨタ自動車

大型選手を揃え、フィジカル面で自信を持つトヨタ自動車が激しく前に出るのか、サントリーがスピーディーな連続攻撃でトライを奪うのか。体の大きさでは劣るサントリーが、スクラム、ラインアウトでどう対抗するか。見どころは多い。両者はトップリーグ開幕節(2018年9月1日、豊田スタジアム)で対戦し、27-25でサントリーが勝っている。しかし、このときの先発メンバーで今回も先発するのは、トヨタ自動車では、三浦、彦坂、木津のフロントロー、LOヴェグナー、CTBイェーツ、WTB岡田、FBアプロンの7名。サントリーは、堀越、北出、垣永のフロントローに、CTB梶村の4名。選手層の厚さも含めたチームの総合力が問われる。未来の日本ラグビーを明るく照らすような戦いを期待したい。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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