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1月7日(月)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「花園」こと、全国高校ラグビー大会の決勝が行われた。
昨年度の準優勝だった大阪桐蔭(大阪第1)と、春の選抜で2連覇している桐蔭学園(神奈川)の『桐蔭対決』となった。
序盤から点の取り合いとなったが、最後はFW(フォワード)の圧力とディフェンスで上回った大阪桐蔭が、26-24で勝利して初優勝。平成最後の高校王者に輝いた。
上空はやや風があったが、天候は晴れという絶好のコンディションの中、約8000人の観客を集めてキックオフされた。
「今年度のチームはFWとBK(バックス)のバランスがいい」と綾部正史監督が自負するように、大阪桐蔭がセットプレーから素晴らしいアタックを見せる。
前半7分、ラインアウトを起点としたサインプレーで、WTB(ウィング)三島琳久(3年)がゲインし、FB(フルバック)伴井亮太(3年)が左中間にトライ。
さらに13分はスクラムからのサインプレーで、WTB野村将大(2年)が抜ける。
キャプテンCTB(センター)松山千大(3年)がボールを前に運び、最後はCTB高本幹也(3年)からSO(スタンドオフ)嘉納一千(2年)とつないでトライ。SO嘉納は自身でゴールも決めて、12-0とリードする。
ただ、「継続ラグビー」を自負する桐蔭学園も負けていない。「5本取ってこい」と藤原秀之監督に送り出された選手たちが見事なアタックを見せる。
22分、アタックを継続し、ペナルティを得るとゴール前のサインプレーからPR(プロップ)床田淳貴が右隅に押さえて反撃開始。
続く25分にはゴール前のワンパスで、1年のNO8(ナンバーエイト)佐藤健次、さらにPR鈴木康平(3年)が縦を突き、最後は鈴木がトライ。
さらに28分にはHO(フッカー)紀伊遼平がオフロードパスでつないで、最後は左隅にWTB佐々木隼が飛び込んでトライ。12-17と逆転に成功し、そのまま桐蔭学園がリードして前半を折り返す。
後半、綾部監督の指示もあり、ディフェンスを修正したという大阪桐蔭は3分、桐蔭学園の攻撃をどうにか止めてトライを許さなかった。
逆に大阪桐蔭は相手のラインアウトのミスに乗じて攻め込み、プレー中にモールを形成。7分、ゴール前まで攻め込んで最後はPR江良颯(2年)が中央にトライ。ゴールも決まって19-17と逆転に成功。
その後、1トライ1ゴールを追加し、26-17とした大阪桐蔭。隙ができれば相手のラックにプレッシャーをかけてターンオーバーし、主導権を握らせない。
それでも桐蔭学園は28分、ボールを継続し、FB伊藤大祐(2年)が抜けだしチャンスメイク。最後は主将SH小西泰聖(3年)が左中間に押さえて、SO津田貫汰(3年)がゴールを決めて、26-24と2点差に迫る。
残りは2分、PG(ペナルティゴール)でも逆転という状況の中で、桐蔭学園は自陣から攻め込む。
しかし、大阪桐蔭は昨年度の悔しさを知るCTB高本が「勇気が必要だったけど、外が余っていたのでいった」と思いっきり前に出て相手にタックルし、外への攻撃を遮断。
ルーズボールを大阪桐蔭の選手が一気に乗り越えてキープし、最後はボールを蹴り出してノーサイド。その瞬間、大阪桐蔭フィフティーンは歓喜を爆発させた。
26-24で勝利した大阪桐蔭が、1995年度大会の初出場から数えて13回目の出場で初の栄冠に輝いた。
目を赤くしていた大阪桐蔭の綾部監督は「春の選抜決勝よりもディフェンスで粘り勝ってくれたので良かった」。
「(アタックは)敵陣に入ってからFWで攻めて、時間を掛けながらですが、モールは嫌がるだろうなと思っていて、そこは私の感覚と彼らの感覚が一致していた」。
「昨年度の準優勝の結果がすべてだったので、そこを超えられた。タフな3年生になったなと思います。(優勝は)実感がないですが、胴上げは気持ち良かったです」と初優勝をしみじみと振り返った。
CTB松山キャプテンは「ラグビー人生最高の試合になりました。しっかりディフェンスどれだけ行くが、キーだったので後半は修正できた。最高の気持ちです」。
「1年間、日本一になるためにやってきたので結果につながってよかった」と胸を張った。
5度目の準優勝で、またも単独優勝できなかった桐蔭学園の藤原監督は「決勝に来るまで、しんどい試合でよく勝ちを拾ったなと思います」。
「最後の試合も、もうちょっとで勝ちを拾えるかと思いましたが、最後はしんどかった。(最後は)FWの差が出たし、相手の守備が上回った」と淡々と話した。
SH小西キャプテンは「この試合は高校3年間の集大成でした。(昨年度の)リベンジより、こっちの思い強かった。大阪の地で大阪のチームに勝つこと、花園で優勝することは難しいなと思いました」。
「1つのミスが勝敗につながった。ハイプレッシャーの中で普段通り、練習通りするという点では、ハーフのパス、タックルをどんな場所、大会でも100%できるようにすることが今後も大事だと思います」と反省しつつも先を見据えた。
こうして平成最後の花園、そして新しくなった花園ラグビー場で行われた初の大会は、大阪桐蔭の初優勝で幕を閉じた」。
「すでに2年生を中心に全国各地で新チームが始動し、新人大会が行われている。来年度、「飛球の旗」を掲げるチームはどこになるのか、楽しみに待ちたい。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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