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1月5日(土)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「花園」こと、全国高校ラグビー大会の準決勝2試合が行われた。
1試合目はAシードの大阪桐蔭(大阪第1)が、初のベスト4進出となったBシードの流通経済大柏を攻守で圧倒し、31-17で勝利。2年連続の決勝に進出した。
2試合目はAシード同士の対決となり、桐蔭学園(神奈川)と東福岡(福岡)が激突。点の取り合いとなったが、桐蔭学園が得点力で上回り、46-38で勝利し3大会ぶり6度目の決勝に駒を進めた。
第1試合の大阪桐蔭と流通経済大柏。先制したのは初の準決勝となった流通経済大柏だった。キックを上手く使って相手陣に攻め込み、ボールを展開してCTB(センター)柳田翔吾(3年)がトライ。
だが、焦りはなかったという大阪桐蔭も12分、ゴール前スクラムからブラインドサイドを攻めて2年生WTB(ウィング)野村将大が飛び込んでトライ。
さらに14分には、相手のキックから攻撃を継続し、SO(スタンドオフ)嘉納一千(2年)が相手のギャップを突いて、最後はWTB三島琳久(3年)がトライを挙げて、14-5とリードする。
28分、流通経済大柏もキックチャージからSO家村健太(3年)がトライを挙げるが、大阪桐蔭が前半終了間際にPG(ペナルティゴール)を決め、17-12とリードして折り返した。
後半は、ディフェンスで上回り、敵陣で戦う時間が増えた大阪桐蔭が、強みであるFW(フォワード)がゴール前でボールを継続。
4分、11分にFL(フランカー)河村レイジ(3年)がトライを挙げて31-12と勝負を決めた。
19点差となったため、流通経済大柏も積極的にボールを動かし攻めたが、29分にFL木村倭(3年)がトライを返すのがやっとで万事休す。
終始、攻守にわたって相手にプレシャーをかけ続けた大阪桐蔭が、31-17で勝利して、2年連続の決勝進出を決めた。
2試合目は、桐蔭学園と東福岡という優勝経験のあるAシード同士の激突となった。入りが良かったのは桐蔭学園だった。
前半3分にはPR(プロップ)鈴木康平(3年)がトライを挙げて、PGを挟んで、9分にはボールを展開してWTB佐々木隼(3年)がトライを挙げ、17-0と大きくリードする。
だが、東福岡も負けていない。13分、キックカウンターから継続して、最後は2年WTB志氣陸王が快足を活かして右サイドを突破しトライ。18分にPGも成功させて17-10と追い上げを見せる。
桐蔭学園もFL西山周作(3年)の激しいタックルでターンオーバー。そこから、HO(フッカー)紀伊遼平が個人技を見せてトライ。
東福岡も前半ロスタイムにボールを展開してNO8(ナンバーエイト)西濱悠太がトライを返し、前半は桐蔭学園が24-17でリードして折り返した。
後半、東福岡が猛攻に出る。この1年、鍛え上げてきたモールから4分、主将HO福井翔(3年)が、7分もモールを起点にPR木原勇作(3年)がトライを挙げて24-31と逆転に成功した。
ただ、桐蔭学園も落ち着いていた。10分にはカウンターラックで相手の反則を誘い、最後はゴール前ラックから主将SH(スクラムハーフ)小西泰聖(3年)、FL渡邉誠人(2年)とつないでトライ。
難しい角度のゴールをSO津田貫汰(3年)が決めて31-31の同点に追いつく。
15分、桐蔭学園が再びカウンターラックを決めて、右に展開してWTB西山賢哉(2年)のトライで、36-31と逆転に成功。18分にはPGを決めて39-31とリードを8点差に広げる。
東福岡も3度、モールを組んで、21分に主将HO福井がトライを挙げて39-38と1点差に迫るが、桐蔭学園が25分にボールを継続し、最後はFL西川が飛び込んで試合を決めた。
点の取り合いになった試合は、桐蔭学園が46-38でノーサイド、0勝1分3敗と、これまで勝つことができなかった東福岡に初めて勝利することに成功した。
◆1月5日(土)準決勝結果
☆:Aシード、★:Bシード
☆大阪桐蔭 31-17(前半17-12) ★流通経済大柏
☆桐蔭学園 46-38(前半24-17) ☆東福岡
1月7日の決勝は大阪桐蔭と桐蔭学園というAシード同士の「桐蔭」対決となった。大阪桐蔭が勝てば悲願の初優勝、2011年度に同時優勝している桐蔭学園が勝てば初の単独優勝となる。
両者は昨年度の花園で対戦し、そのときは大阪桐蔭が12-7勝利した。しかし、今年度の選抜大会では桐蔭学園が46-26で大阪桐蔭を下している。
大阪桐蔭としては2年生のPR江良、FL奥井を中心としたFWを前面に出して戦いたいところ。
そのためには左足のキックに長けた高本、主将の松山という3年生のCTB陣が攻守に渡り、ゲームを作りたいところだ。
桐蔭学園としてはSH小西、SO津田の3年生ハーフ団がしっかりとゲームをコントロールしつつボールを継続し、突破力のあるPR鈴木、HO紀伊、今大会好調のWTB佐々木でトライを取り切りたい。
大阪桐蔭の綾部正史監督は「今年はFWとBKのバランスのいいチーム。自分たちの形をしっかり出してやるだけ」とコメント。
一方、桐蔭学園の藤原秀之監督は「ボールをしっかりと動かせるか。(相手のフィジカルに対し)最後まで走れる体力が残っているか」と勝敗のキーとなるポイントを挙げた。
「桐蔭」同士となった決勝戦は1月7日、14時にキックオフされる。大阪桐蔭が悲願の初優勝なるか。それとも選抜大会王者の桐蔭学園が2冠と初の花園単独優勝なるか。
ワールドカップイヤーの2019年、そして平成最後の花園にふさわしい、熱戦となることに期待したい。
◆1月7日(月)決勝 14:00 ☆大阪桐蔭 vs. ☆桐蔭学園
なお、決勝戦の前、12:15から「もう一つの花園」と言われる、11回目のU-18合同チーム東西対抗戦も行われる。
単独でチームを組めなかった学校の選手が対象で、毎年、夏に行われる「コベルコカップ」こと、全国高校合同チーム大会に参加した中から選出された選手が、東西のチームに分かれて対戦する。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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