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○東芝48-26日野
○トップリーグ9~16位決定トーナメント1回戦(12月2日、埼玉・熊谷)
○相手シンビンの10分間で3トライ。形勢逆転の東芝が入替戦行きを回避した。
負ければ入替戦行きが決定する下位トーナメント1回戦。東芝のSH小川高廣ゲーム主将のコメントが、両軍の置かれた状況を表していた。
「試合前から“負けたら入替戦”というプレッシャーもありました。リラックスしている選手もいましたが、そういう選手を見ても、逆に不安になってしまって。『大丈夫かな』と」
昨季6位の東芝は、2勝5敗でホワイトカンファレンスを6位通過した。
日本代表主将として今秋の全4試合にフル出場したリーチマイケル、三上正貴もスタメンで起用。「ベストメンバー」(東芝・瀬川智広監督)で、順位に直結する大一番に臨んだ。
トップリーグ初参戦の日野は、開幕戦で宗像サニックスから歴史的1勝を挙げてからは黒星が続き、1勝6敗でレッドカンファレンスを7位通過。
日野にとっては、勝てばチーム史上初の“トップリーグ残留”が決まる一番。指揮官の細谷直監督も意気込んでいた。
「どちらがこの試合に懸ける意気込みを出せるか、その差が出る、ということで臨んだ試合でした」
序盤は一方的な展開となった。東芝が開始20分間のほとんどを相手陣で過ごし、猛攻を浴びせ続けたのだ。
しかし日野の防御は崩れない。ラインアウトモールも「非常に良いディフェンスをしました」(日野・細谷監督)。気持ちのこもったファイトを続け、防戦一方の20分間をしのいだ。
「試合の入りから『勝ちたい』という思いを身体で示すことができました」(日野・LO村田毅主将)
すると前半20分、サンウルブズ加入が決定している32歳の元オールブラック、CTBレネ・レンジャーが自陣からクイックスタート。怒涛の攻めでWTB小澤和人が右隅に飛び込み、日野が反転攻勢で先制した。0-5
しかし日野の好調ムードが一変したのは前半27分。
FL佐々木隆道がラックでの不当なプレーによりシンビンに。元早大主将を10分間欠くことになり、直後のスクラムを押されてペナルティトライを許す。7-5
14人となった日野だったが、LO村田主将は、その後のディフェンスを修正できなかったと明かした。
「『この10分間をしのごう』という話でしたが、FW・BKのコネクションの部分で、いつもいるような形でプレーしてしまった。そこで相手の9番、10番にビッグゲインを許しました」
東芝のSO中尾隼太が何度も決定的なゲインをした。前半33分、36分とトライを重ね、10分間で3トライ。東芝リードの21-5で後半へ向かった。
15人に戻った日野だったが、後半は開始から厳しい戦いとなった。
タックル精度やイーブンボールへの反応速度などで後手を踏んでしまい、後半だけで5トライ。33歳の東芝WTB宇薄岳央は、前後半で4トライと決定力を披露した。
日野は新戦力のCTBレンジャーが後半の2トライに絡む活躍。後半ロスタイムにはアッシュ・パーカーがチーム4トライ目を演出し、歓声を浴びた。
26得点(4T3G)と得点力は披露した日野。細谷監督は「立ち上がりから東芝の圧をしっかり止めて、序盤は相手のミスも誘発した。そこまでは非常に良かった」
「しかし個人でやってしまったシンビンから、トライを3つ取られてしまった。そこから東芝のラグビーの精度が良くなり、うちが取り急いだ。それが長時間続いてしまった」と敗戦を分析した。
日野の次戦はトーナメント2回戦、12月8日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でコカ・コーラと相まみえる。
入替戦を回避した東芝は48得点(7T3G1PT)。指揮官の瀬川監督は「内容はともかく勝つことができて良かった。このような試合が続きますので頑張りたい」と淡々と振り返った。
東芝のSH小川ゲーム主将は「前半は自分たちが攻めたが、日野さんが良いディフェンスをして取られてしまった」
「ただチャンスでは全員でサポートし、取りきれたところは良かった。課題は後半。バテてしまったところがあった。勝って修正できるのは良いこと」と、胸を撫でおろした様子で語った。
東芝の2回戦の舞台は、同じく12月8日の福岡・北九州。コカ・コーラに大勝したNECとの対戦だ。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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