人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2018年9月21日

3連覇を狙う天理、立ち塞がるのは京都産業か同志社か。ラグビー関西大学リーグのみどころ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
  • Line

関東に遅れること3週間、今年も9月24日(月・祝)、大阪・キンチョウスタジアムで関西大学ラグビーAリーグが開幕する。

昨年こそ大阪・東大阪市花園ラグビー場が、2019年ワールドカップに向けて改修中で使用できなかったが、今年は10月28日に2試合が予定されている。

昨年は天理大学が2年連続9回目の優勝を達成し、京都産業大学(2位)、立命館大学、(3位)、関西学院大学(4位)、関西大学(5位)、同志社大学(6位)、近畿大学(7位)と続き、8位の摂南大学は入替戦で敗れて降格。替わりにBリーグ優勝の大阪体育大学がAリーグに昇格した。

昨年度の大学選手権では天理大学がベスト4に進出したものの、決勝に残ることができず、今年も関西大学Aリーグは上位3チームが大学選手権に進出する。

なお例年通り、入替戦は下位2チームが進み、Aリーグの7位とBリーグの2位、Aリーグの8位とBリーグの1位が対戦し、勝ったチームが来季のAリーグに参加する。

◆天理大学:関西3連覇、大学選手権初制覇を目指す

一昨年同様、昨年もリーグ戦全勝で2年連続9度目の優勝を飾った天理大学。昨年は大学選手権でベスト4に終わったものの、今年も小松節夫監督は目標を「関西から30年以上出ていない日本一」と掲げており、関西大学Aリーグでは優勝候補筆頭である。

夏合宿では帝京大学に敗れたものの、その帝京大学に春、夏と勝っている明治大学に春、夏と連勝しており、大学選手権で優勝する力は十分あると見られている。

昨年4年生だった両PR(プロップ)が抜けたが、今年もセットプレーは大学随一を誇る。キャプテンHO(フッカー)島根一磨がリードし、左PR加藤滉紫(ともに4年)、PR小鍛治悠太、U20日本代表PR谷口祐一郎(ともに2年)らがおり、今年もスクラムから相手にプレッシャーをかけたい。

他にもU20日本代表も経験したルーキーのFL(フランカー)アリペリ・モアラ(日本航空石川出身)、U20日本代表では主将を務めたFL岡山仙治(3年)、サンウルブズの練習生にも選ばれたFL/NO8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシ(4年)、そしてOBのジョシュア・ケレビの弟で1回生のFLジョネら機動力、突破力に長けた選手が揃う。

ゲームをコントロールするのは、昨シーズン1年生ながらチームを引っ張ったU20日本代表でも存在感を示したSH(スクラムハーフ)藤原忍、そしてSO(スタンドオフ)松永拓朗(ともに2年)の2人。経験を積んだハーフ団が今年も天理大学の中核をなす。

ミッドフィルダーで、ボールキャリアとして存在感を示すのが昨年、1年生ながら関西リーグのベスト15になったCTB(センター)シオサイア・フィフィタ(2年)だ。また、バックスリーにも走力のある選手が顔を並べており、特にWTB(ウィング)久保直人、中野豪(ともに4年)の決定力は高い。

FW(フォワード)、BK(バックス)ともに総合力に長けており、春季トーナメントでも他の大学を寄せつけず3戦全勝で優勝したように、今年も関西は天理大学が頭一つリードしている。

小松監督が「昨年度は関東リーグ戦2位の東海大学に敗れ、正月を越せなかったので、関西で力をつけて大学選手権につなげたい」という通り、関西で1戦1戦と試合を行う中で、冬に向けて力をつけていきたい。

◆京都産業大学:セットプレーからBKを活かす

昨年度は天理大学にこそ敗れた、が6勝を挙げて2位になった京都産業大学。今年はまず天理大学に勝利し、関西大学Aリーグ制覇を大きな目標としている。

京都産業大学といえば、大西健総監督の下、伝統的にスクラムにこだわっているチームとして知られている。「スクラムは(昨年度の)4年生が抜けて手薄になったが、ここ5年で一番多く組んでいる」と元木由記雄ヘッドコーチが言うように、今年も強化を進めてきた。PR横山慶太郎、PR松本幸志郎(ともに4年)、HO宮崎達也(2年)らに期待がかかる。

今年からOBで、2015年ラグビーワールドカップメンバーの1人でもある、元日本代表LO伊藤鐘史が今年からコーチに就任し、ラインアウトの強化にあたっている。

そのラインアウトは伊藤コーチの実弟LO鐘平(3年)が鍵を握る。他にもキャプテンFL上田克希(4年)、運動量豊富な仕事人のFL城間賢(2年)、突破力のあるNO8フェインガ・ファカイ(3年)、ルーキーのNO8檜垣大宇(東海大仰星出身)もおり、FW戦でゲームをリードしたい。

BKはSO中村悠人、CTB田畑凌(ともに3年)、昨年のトライランキング2位のWTB濱田将暉(4年)、WTBニコラス・ホフア(2年)ら昨年度活躍したメンバーが揃っている。そのため、「FWのセットプレーが鍵になる」元木コーチが言うように、FWがいいボールを供給できればBKで決めきる力は十分だ。

さらにルーキーのSH廣田瞬(天理出身)、CTB ヴァカラヒ・ゴードン(日体荏原出身)、WTB 笹岡海斗、堀田礼恩(ともに京都成章出身)、WTB 焼山功雅(東福岡出身)と実力ある選手が加わり、メンバー争いに絡んで来るはずだ。

まずは11月24日に行われるライバルの天理大学戦まで1試合ごとに、力をつけていきたい。

◆立命館大学:攻撃的なディフェンスから勝機を掴む

昨年は最終戦で関西学院大学を下して、4勝3敗で3位。大学選手権に出場した立命館大学。だが、大学選手権で慶應義塾大学に12-101で敗れた。そのため、今年度も再び、大学選手権の舞台に戻り、ベスト4に入ることを目標に掲げた。

中林正一監督は「大学選手権に出て100点取られて負けるという、関西代表としてふがいない結果となりました。再びこの舞台へ戻るために3位ではなく優勝争いをするよう、1戦1戦戦っていく」と意気込んでいる。

FWは日本代表キャップも持つ、キャプテンのFL古川聖人がケガから復帰し、昨年9トライを挙げてリーグトライ王HO山口達也、LO小島佑太(いずれも4年)、PR向仲涼、金沢一希、LO横井達郎(いずれも3年)らが引っ張る。ルーキーではPR百地龍之介(東海大仰星出身)、FL宮下大輝(報徳学園出身)らメンバーに入ってきそうだ。

SH畠中優凪 、SO田中健登(ともに4年)、SO/CTB吉本匠、CTB藤高将(ともに3年)、ルーキーのSH平尾剛士(東福岡出身)がゲームをコントロールする。CTBは磯田凌平(4年)、原口智也、CTB片岡涼亮(ともに3年)、バックスリーではWTB山口匠(4年)、FB(フルバック)和田泰成(3年)、さらにルーキーのWTB木田晴斗(関西大倉出身)、藤井健太郎(伏見工業出身)が出場をうかがう。

キャプテンFL古川が「攻撃的なディフェンスでリズムをつかみ、アタックを仕掛けます」と言うとおり、まずは守備からゲームを組み立てて勝利を重ねたい。

◆関西学院大学:整備されたディフェンスでロースコア勝負

2014年の関西王者である関西学院大学。一昨年は1勝だったが、復調し昨年は4位(3勝4敗)。だが、惜しくも大学選手権出場を逃した。監督に復帰して2年目の牟田至監督は目標を「関西優勝、全国ベスト4」と掲げた。

FWのセットプレーとディフェンスを整備してきており、指揮官は「ロースコアで勝っていきたい」と言い、キャプテンのFL勝川耀(4年)は「セットプレーで勝負していきます」と意気込む。

FW第1列はPR安居大道(4年)、原口浩明(3年)、小寺晴大、HO竹内海斗(ともに2年)が引っ張る。ラインアウトはU20日本代表経験もあるLO杉原立樹(3年)が中心だ。また、キャプテンのFL勝川、突破力のあるNO8野村祐太(4年)も頼もしい存在だ。昨年、花園を制した東海大仰星出身のFL魚谷勇波もメンバー争いに絡んで来るだろう。

BKはSH山内俊央、藤林健太、SO房本泰治(いずれも3年)、SO/CTB香川凜人(4年)らがゲームをコントロールする。

他にもミッドフィールドにはU20日本代表経験のあるCTB山本悠大が、アウトバックスでは7人制日本代表でもプレー経験のあるエースのWTB/FB中孝祐(ともに3年)が軸となる。ルーキーでは中山幹太(千里出身)がすでにAチームで出場している。

チームスローガンは「UNITY」だ。勝川キャプテンを中心に、チーム一丸となって今年こそ、関西優勝、そして大学選手権上位進出を目指す。

◆関西大学:激しく前に出るディフェンスに手応え

一昨年は1勝に終わり入替戦に回ったが、引き分けて残留した関西大学。昨年は僅差の試合も多く、同志社大学に勝利するなど3勝を挙げて5位に入った。今年も持ち味の、近年力を入れてきた激しく前に出るディフェンスは健在で、キャプテンHO西勇樹(4年)も「ディフェンスで勝負したい」と意気込む。

FWのセットプレーは、キャプテンHO西、PR豊崎悠貴、杉本達郎(いずれも4年)がリードする。LO陣は中田涼介(4年)、南陽高、竹山晃稔(ともに2年)が争い、バックローはタックルが武器のFL井戸健二(3年)が引っ張り、ルーキーのFL栗本勘司(報徳学園出身)もメンバーに絡んできそうだ。

BKはチームの攻撃の要であるSH木下皓太(4年)、SO渡辺裕介(4年)や松本大吾(2年)らが試合をコントロールする。中盤ではCTB津田剛希、芝岡翔吾(ともに3年)が身体を張る。

バックスリーにはロングキッカーのFB和仁原和輝、WTB福井大介(ともに4年)、昨年はルーキーながら活躍した、WTB/FB末廣賢三(2年)が控える。ルーキーではCTB工藤広和(東福岡出身)がメンバー入りしてきそうだ。

桑原久佳監督は「今年は春からいろんなゲームをしてチーム力は上がってきている」と手応えを感じているように今年は上位進出、そして大学選手権出場を狙っている。

◆同志社大学:昨季6位の雪辱を果たす。序盤の上位戦がカギ

一昨年は関西2位、大学選手権ベスト4だった同志社大学は、昨年はリーグ序盤から苦しみ、3勝4敗で関西学院大学、関西大学と並び当該チーム同士で屈辱の6位に終わった。

ただ、今年は春から調子を上げており、慶應義塾大学、東海大学、筑波大学などに勝利しており、チームを率いて2年目となる萩井好次監督は「春シーズン、夏合宿と結果を出せた。初戦から上位校と当たるが、12年間達成できていない全勝優勝と全国制覇を目指す」と語気を強める。

FW第1列はHO平川隼也(4年)、橋本一真(3年)、PR田中翔、中村海輝(ともに3年)、文裕徹(2年)らおり、セットプレーを引っ張る。他にもU20日本代表経験のあるLO堀部直壮(3年)を筆頭に、LO/NO8で平澤輝龍、服部綾(いずれも3年)が中軸。また、ルーキーながらAチームに出場している、FL木原音弥(東福岡出身)もメンバー争いに加わってきそう。

BKはタレントが揃う。ハーフ団がU20日本代表のSH原田健司、SO古城隼人(ともに3年)がゲームをコントロールし、インサイドCTBにはSOでもプレーできる永富晨太郎、アウトサイドCTBにはキャプテン山口修平(4年)が入って攻守の要となろう。

バックスリーには、U20日本代表を経験したWTB山本雄貴(3年)、日本代表キャップを持つFB安田卓平(ともに4年)と決定力ある選手が揃う。

昨年悔しい思いをしたが、経験を積んだFW陣の成長と一体感がチームを支える。BKには能力の高い選手がいるだけに、BKにいいボールを供給できればトライを取りきる力は十分だ。今年は序盤で昨年の上位チームと当たるが、春からの調子の良さを出して白星を積み重ねることができるか。

◆近畿大学:ジャージを一新、新たな歴史を刻む

一昨年は4勝3敗の4位だったが、昨年は京都産業大学と接戦を演じたものの、2勝5敗で7位に終わり、入替戦に回ってしまった。今年はジャージも一新し、キャプテンのHO竹内嘉章(4年)は「目標は関西優勝です。シーズン後にこの近大ブルーのジャージがかっこよく見えるようにしたい」と意気込む。

スクラムはキャプテンのHO竹内を中心にPR石橋尚也、永田茂晃、佐々木昇壱(いずれも4年)らが引っ張る。LO下中順(4年)、川添公康(3年)、バックローはFL迫田冬馬(4年)、NO8相川純平、酒井秀章(ともに3年)らが中心選手だ。ルーキーのLO山本秀(京都成章出身)もメンバーに絡んで来るだろう。

ハーフ団は、SHは新人の松山将輝(大阪桐蔭出身)とSOは南部嵩史(3年)の2人がチームをリードする。CTB陣は長森健彦、中田翔太(ともに4年)、堀毛開登(2年)らがレギュラーを張りそうだ。

バックスリーはWTB川井太貴(3年)、WTB岩佐賢人(4年)、FB山田聖也とスピードランナーが揃う。新人の宮宗翔(大阪桐蔭出身)もメンバー入りしそうだ。 

中島茂総監督「ハードな練習をしているのでどうしてもケガ人が多い。そういうことで1年生のプレーヤーも思い切ってプレーできると思う」と新人たちの活躍に期待している。また、「仕上がりは70%くらいだ。近大は前評判がいいときは成績が良くない、今シーズンは台風の目では終わりたくない」と7位から上位進出を目論む。

◆大阪体育大学:帰ってきたヘラクレス軍団の挑戦

一昨年は関西大学に引き分けで昇格できず、昨年は摂南大学に28-17で勝利し、4年ぶりにAリーグ昇格を果たした大阪体育大学。SO高未來(4年)キャプテンは「4年ぶりに復帰して、先輩方に感謝しています、チャレンジャーとしてやっていき、大学選手権出場を目指します」と3位以内に目標を掲げた。

井上正幸ヘッドコーチは大阪体育大学の愛称「ヘラクレス軍団」の通り、「FWを中心に戦ってロースコアで勝利したい」と意気込む。そのFW陣はPR松岡啓太、HO柴田椋右(ともに4年)、PR山本剣士(3年)、LO高橋在人(4年)、突破力に長けたFL助田凌雅(3年)らが中心選手だ。

ルーキーはHO河野圭太朗(大阪桐蔭出身)、LO柳川正秀(石見智翠館出身)、FL吉田海(大産大付属出身)あたりがメンバーに絡んでくるだろ。

また、BKは、ハーフ団はSH赤堀風雅(4年)とキャプテンSO高がゲームをコントロールする。CTB山下真之介(3年)、FB中山敦喜(4年)らが中軸で、WTB田中晴哉(2年)の走りにも期待がかかる。

昇格組からいきなり大学選手権出場を目指すには、序盤で白星を重ねて勢いに乗りたいところ。「ヘラクレス軍団」の持ち味であるスクラム、モールでトライを重ねることができるかが鍵を握る。

*****

下馬評通り、今年も戦力が充実している天理大学が通算10度目の優勝を成し遂げるのか。それともリーグ戦を戦いながら昨年2位の京都産業大や、今年復調している同志社大学など天理大学を止めるチームが現れるのか。

優勝争いだけでなく、大学選手権には3位までしか出場できないため、3位争いも熾烈となるだろう。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ