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ラグビー コラム 2018年9月7日

帝京の連覇を阻めるか、早慶明の伝統校が挑む。ラグビー関東大学対抗戦のみどころ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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9月9日(日)、早稲田大学vs.筑波大学の試合を皮切りに、今年も関東大学ラグビー対抗戦Aグループが開幕する。

対抗戦記録となる、8連覇を狙う帝京大学が優勝候補筆頭だが、明治大学が春と夏の練習試合で、早稲田大学も夏の練習試合で帝京大学に勝利し、例年以上に混戦模様となりそうだ。

昨年も入替戦で降格したチームはなく、今年も帝京大学(昨年1位)、明治大学、慶應義塾大学、早稲田大学(いずれも2位タイ)、筑波大学(5位)、日本体育大学(6位)、青山学院大学(7位)、成蹊大学(8位)の8校が総当たりで対戦し、優勝を争う。

順位は勝ち数の合計により決まり、勝敗数が並んだ場合は同順位とするが、大学選手権や入替戦などに進むチームは、当該成績や全試合の得失点差などで決める。

今年は、昨年度の大学選手権で帝京大学と明治大学が決勝に進んだため、上位5チームが大学選手権の出場権を獲得し、7~8位チームは入替戦に回る。

◆帝京大学:大学選手権10連覇に挑む絶対王者

今年度、対抗戦8連覇、そして大学選手権10連覇を狙う「赤い旋風」こと帝京大学。もちろん戦力は充実している。

高校からラグビーを始めて高校代表に選ばれた実力者である主将LO(ロック)秋山大地、そして副将のNO8(ナンバーエイト)ブロディ・マクカラン、WTB(ウィング)竹山晃暉(いずれも4年)のリーダー陣と、SH(スクラムハーフ)小畑健太郎がチームを引っ張る。

さらに、チームの中軸として活躍しているのが2年生の選手たちだ。LO久保克斗、FL(フランカー)安田司、SO(スタンドオフ)北村将大、ブロディの弟・CTB(センター)ニコラス・マクカラン、SOとしてもプレー可能なFB(フルバック)奥村翔、スピードスターWTB木村朋也らタレント揃いだ。

新人としてはNO8リッチモンド・トンガタマ、7人制日本代表合宿にも招集された実績のある、SO/CTB(センター)/WTB西川虎哲(京都成章出身)らがメンバー入りしてきそうだ。

今年、アタックではFW(フォワード)の圧力、BK(バックス)の展開力に加えて、キックも有効に織り交ぜた「トータルアタック」、そしてディフェンスでは積極的に前に出て、攻守にわたって相手にプレシャーを与えるラグビーを目指している。

練習試合で明治大学、早稲田大学に敗れてファンを心配させたものの、経験豊富な岩出雅之監督は「3ヶ月、対抗戦で力をつけて、12月の(大学選手権の)戦いに向かっていきたい」と先を見据えている。

◆明治大学:春季大会は全勝優勝、帝京の牙城を崩すか?

昨年は大学選手権で帝京大学に肉薄したが、惜しくも敗れてしまった明治大学。

今年、創部95年を迎え、昨年度はヘッドコーチだった田中澄憲氏が監督に昇格し、昨年のチーム、自分を超える、昨年の自分に勝つという意味が込められた「Exceed」のスローガンの下、1998年以来の対抗戦単独優勝を目指す。

チームを引っ張るのは主将のSH福田健太、そしてリーダーの一人であるFL井上遼(ともに4年)の2人だ。SH福田はパス、ラン、キックでSHの位置からゲームをコントロールし、FWのまとめ役であるFL井上は、決定力も高い。

自陣からでもボールを継続するアタッキングラグビーは今年も変わらず。それでいてFW戦でも強さを見せる。PR(プロップ)齊藤剣、祝原涼介(ともに4年)、HO(フッカー)武井日向(3年)、LO小宮カズミ、舟橋諒将(ともに4年)、FLでもプレーできる箸本龍雅(2年)、NO8坂和樹(3年)らがおり、スクラムやモールも強い。

BKもタレントが揃う。SOは松尾将太郎、忽那鐘太(ともに4年)らが争い、CTBには森勇登、齊藤大朗(ともに2年)、WTBには山村知也(3年)、石川貴大(2年)、FBには山沢京平(2年)と個々の能力は高い。

さらに昨年度、花園を湧かせたCTB児玉樹(秋田工業出身)、WTB雲山弘貴(報徳学園出身)らルーキーも出番をうかがう。

春季大会は全勝優勝し、「1月12日の大学選手権の決勝をターゲットにし、1年間を3つに分けて強化をしてきました」という田中監督は、夏合宿を終えて「ほぼ計画通り」と胸を張った。

ポジション争いも激しくなってきており、チーム力は上向きである。春に続いて秋も優勝することができるか。

◆慶應義塾大学:接戦を制して頂点を狙う

昨年は対抗戦で帝京大学に僅差で敗れ、明治大学に勝利し、力をあるところみせた慶應義塾大学。金沢篤HC(ヘッドコーチ)体制4年目を迎えて、対抗戦優勝、大学日本一をターゲットに、結果にこだわることを掲げて日々の練習に励んでいる。

チームの中軸は、4年前に花園にも出場した慶應義塾出身の選手たちだ。

慶應義塾大学初の医学部主将となった司令塔SO古田京、PR渡邊悠貴、HO中本慶太郎、LO田中芳樹、NO8山中侃、CTB豊田康平、WTB宮本瑛介、FB丹治辰碩(いずれも4年)、WTB高木一成(3年)らがおり、中学生時代から一緒にプレーしている選手も多く、コンビネーションも取れている。

他にも力強いプレーがウリの副将LO辻雄康、SH江嵜真悟(いずれも4年)、CTB栗原由太(3年)、三木亮弥(2年)、WTB小原錫満(4年)ら実力者も揃う。

他にも春シーズンはU20日本代表に選出されていた2人、FL相部開哉(2年)とルーキーのFL山本凱(慶應義塾出身)は、激しい前に出るディフェンスからリズムを作り出す慶應義塾大学にとっては頼もしいタックラーである。

また、山中湖での恒例の夏合宿では、元日本代表指揮官のエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表HC)を招聘し、2日間にわたって、接点の特に2人目の動きにコーチングをしてもらったという。

金沢HCは「いかにリーダー陣にプレッシャーをかけるか」と言うように、古田、辻のさらなる成長に期待をかける。

昨年度は接戦で敗れる試合が多かったが、今年は僅差で勝つ試合を増やし、2000年以来の対抗戦優勝を果たして、さらに大学日本一まで駆け上がることができるか。

◆早稲田大学:創部100周年、実りの秋に

創部100周年を迎えて、何としても10年ぶりの大学日本一を奪還したい早稲田大学。指揮官には新たに相良南海夫監督が就任し、キャプテンFL佐藤真吾(4年)の下、「原点回帰」をコンセプトにした新ジャージーで対抗戦を戦う。

「春からディフェンスをしっかりやってきた」と新監督がディフェンスに注力し、練習試合とは言え、夏合宿では8年ぶりに帝京大学に勝利してその成果を出したことは大きな自信になったはずだ。

「学生にとっても大学選手権で9連覇しているチームに『どうせやっても……』と怖じ気づくことなく、同じステージ、土俵に立つことができた」(相良監督)。

アタックは「ゲインラインの攻防」をテーマに掲げつつ、選手たちにある程度任せているという。特にハーフ団の出来が勝敗を握りそうだ。

SHは大学生で唯一日本代表候補に選出されている齋藤直人、そしてキックパスも上手いSO岸岡智樹(ともに3年)がゲームをコントロールする。

BKは他にもWTB桑山聖生(4年)とCTB淳生(3年)の兄弟、大型CTB中野将伍(3年)、U20日本代表WTB古賀由教(2年)、FB梅津友喜(3年)、そして昨年の花園で東海大仰星を優勝にもたらした2人、CTB長田智希、WTB/FB河瀬諒介とタレントが揃う。

FWは佐藤キャプテンを筆頭に、PR鶴川達彦、HO宮里侑樹(ともに4年)、FL西田強平(いずれも4年)、FL柴田徹(3年)ら運動豊富だ。また新人のPR小林賢太(東福岡出身)もすでにチームの中軸の一人となっている。

スローガンは「Moving」と定めた。グラウンドを走り回る、ボールを動かし続けるといった意味だけでなく、ファンを感動させるなどの意味を持つという。

相良監督は「100周年を特に意識していない」というが、「対抗戦や大学選手権で優勝する景色を今の学生たちは見たことがない。そういったことは、一つ一つ積み上げた先にある」と、アニバーサリーイヤーの対抗戦、そして大学選手権の優勝に向けて静かに闘志を燃やしている。

◆筑波大学:ターゲットは大学選手権出場、さらにその先へ

一昨年、昨年と対抗戦5位で大学選手権出場を逃してしまった筑波大学。ただ、伝統のしつこいブレイクダウンと、チーム一丸となったディフェンスは健在である。

2005年から指導し続けている古川拓生監督の下、今年こそ、2012年以来の対抗戦優勝、そして、大学選手権初優勝に向けてチーム一丸となって、努力を続けている。

BKはタレントが揃ったと言っていいだろう。日本代表キャップも持つ副将のCTB前田土芽(4年)を筆頭に、SH杉山優平、SO/FB島田悠平、CTB野中亮志(いずれも3年)、SO岡崎航大、WTB仁熊秀斗(ともに2年)。

そして、ルーキーのWTB松永貫汰(大阪産業大付属出身)と高校時代から名を馳せた選手が並ぶ。

やはり、セットプレーでどこまで互角に戦えるかが勝敗の鍵を握りそうだ。FWを引っ張るのはキャプテンのHO大西訓平、FL森太生(ともに4年)、PR鎌田慎平、No8土谷深浩(ともに3年)といった選手たちだ。PR安里大吾、FL中田都来(ともに2年)は成長著しく、メンバー争いに加わってきそうだ。

昨年レギュラーだったメンバーだった4年生が多く、今年は日々の練習、一つ一つのプレーに一丸となって熱くやり切るために、「Grit ~団結・情熱・追求~」をスローガンに掲げた(※Grit=やり抜く力という意味)。

大学選手権で準優勝した2012年度、14年度のように、対抗戦で上位に進出し、再び、大学選手権でツクバ旋風を巻き起こすことができるか。

◆日本体育大学:序盤の上位校との戦いがカギ

伝統的にランニングラグビーを持ち味としている日本体育大学は、昨年は、レスリング部の指導の下、フィジカル強化が実り、2勝5敗で6位だった。

今年は、昨年度以上の勝利数と、5位以内に入って大学選手権出場を目標に掲げ、「直向き」というスローガンの下、グラウンド内外でラグビーと向き合う生活をし、どのチームより走り勝つラグビーを目指している。

中心選手はBKでは主将のFB中野剛通(4年)、CTB石田大河(3年)、そしてFWでは副将のPR橋耕太(3年)だ。また、今年から系列校から初めて外国人留学生3人が加わった。特に飛び級でU20日本代表でも活躍した豪快なランが魅力のルーキーCTB/WTBハラトア・ヴァイレア(柏日体出身)には期待がかかる。

秋廣秀一HCが「まだ外国人選手3人は部内で競争させている段階です」と言うとおり、試合出場までには少し時間がかかりそうだが、活躍が楽しみだ。序盤は昨年の上位校との対戦が続くが、1つでも2つでも白星を重ねることができるか。

◆青山学院大学:1994年以来の大学選手権出場を目指す

青山学院大学は、昨年は成蹊大学にしか勝利できず7位に終わり、入替戦でどうにか勝利し、残留を決めた。今年からOBの大友孝芳監督が就任、「基本的にはFW、BK一体となって、テンポを速く、つないで外で取り切りたい」というアタッキングラグビーを標榜している。

中心選手は東福岡出身の主将FB野恭二(4年)とSH古賀駿汰(4年)で、アタックをリードする。FWは副キャプテンのNO8橋昂大(4年)、PR鈴木健也が引っ張る。

他にも「身体が強くフィットネスもある」と大友監督が期待をかける成長著しいLO今野光樹(3年)、そして、ルーキーながら春から試合に出場しているFL中谷玲於(京都成章出身)も激しいタックルで、すでに指揮官の信頼は高い。

スローガンは「tough choice」と掲げた。5位以内=大学選手権出場を目指し、日々練習に精を出している。

◆成蹊大学:「打倒・日体」、5年ぶりの対抗戦Aでの勝利を

一昨年、昨年も対抗戦で勝利できず、入替戦に回ったが残留した成蹊大学。過去2年、対抗戦Aグループに在籍しているが、1勝もできていなかったため、今年は「打倒・日体」を掲げた。「より具体的な目標を設定しました」(池田元監督)。

今年のチームスローガンは「ゲイン」。アタックでもディフェンスでもゲインラインの攻防を意識するラグビーを標榜している。特にディフェンスから流れを作ることをテーマに、例年以上にフィジカル強化を図ってきたという。

FWではキャプテンのHO古市龍馬、PR鈴木瑛敬(ともに4年)を中心に、NO8原島航佑(4年)、FL阿部卓朗(3年)の2人が特に身体を張ったタックルでチームに貢献する。BKでは決定力の高いFB(フルバック)神田圭大(3年)が鍵を握る。

また、ルーキーでは春5試合に出場したSH諸藤陸(茗渓学園出身)を筆頭に、CTB鈴木大之(幕張総合出身)、FL金子知史(伊奈学園総合出身)、NO8荒川紘章(佐野日大出身)らがメンバーに絡んできそうだ。

ターゲットとなる日体大戦は12月2日の最終戦だ。そこまでに約50人の部員一体となってチーム力を上げていきたい。

*****

9月9日(日)に開幕し、最終戦は12月2日(土)、そして入替戦は12月9日(土)に行われる。

今年も対抗戦7連覇中の帝京大学が栄冠に輝くのか、それと帝京大学に春と秋に勝利している明治大学、創部100周年を迎えた早稲田大学、そしてルーツ校の慶應義塾大学が覇権を奪還するのか。

また、今年の対抗戦は5チームが大学選手権に出場できるため、5位争いも熾烈となりそうだ。

いずれにせよ、今年の対抗戦は注目試合、みどころの多い試合が目白押しで、ファンも大いに楽しめること間違いないだろう。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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