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東海大学で行われた春季大会4戦目。慶應義塾大学は、50-41で東海大に勝利し、2勝目を飾った。
試合は前半から大きく動く。試合開始早々お互いに得点を決める。先制点は東海大。前半2分だった。しかし、慶大も左サイドに空いていたNO8(ナンバーエイト)山中侃(商4・慶應)にボールが渡りトライ。すぐに追いつく。
その後、お互いに7点ずつ取り合い、一進一退の攻防が続く。しかし、前半25分。「モールで絶対1本取ろう」と試合前から狙っていたモールでトライを奪うと、徐々にタイガー軍団が牙をむき始める。
CTB(センター)栗原由太(環3・桐蔭学園)がタックルを弾いてラインブレイク。自陣10mライン付近から、敵陣10mライン付近までボールを運ぶと、その栗原から右サイドでパスを受けたWTB(ウィング)高木一成(商3・慶應)がフィニッシュ。
続く31分、FB(フルバック)宮本恭右(環2・慶應)が相手に掴まれながらも抜け出すと、インゴール前で東海大のディフェンスに捕まりかけたが、トライを取りきる。連続トライで一気に東海大を突き放した。
前半終了間際に、相手の効果的な飛ばしパスから得点を返されてしまうが、12点差をつけて前半を終えた。 後半に入っても慶大の攻撃は活発だった。後半6分には強力なタックルでボールを奪うと、カウンターで敵陣を攻め、SO古田京(医4・慶應)がトライ。さらにその2分後には古田の絶妙なパントキックで、WTB中島光貴(環2・慶應)のトライをお膳立て。
なおも止まらない慶大の攻撃。栗原のビックゲインを起点に、SH(スクラムハーフ)若林俊介(政2・慶應)、高木と繋ぎトライ。後半始まって11分で3トライを奪い、試合を決定づけたように見えた。
だが、この後に慶大の守りの時間が待っていた。劣勢だったスクラムのペナルティや、途中出場した外国人選手の力によって東海大に流れがいき、試合終了までに4つのトライを奪われてしまう。
一時、最大31点差をつけていたが、終わってみれば9点差での勝利という結果になってしまった。
BK(バックス)陣だけではなく、FW(フォワード)陣の活躍が目立った東海大戦。春季大会序盤でミスが多かったラインアウトの成功率は高かった。
セットプレーの精度を上げるため、「プレッシャーをかけての練習、心肺に負担をかけた練習、個人的な自主練習、他の選手とラインアウトの練習を行ってきた」とHO(フッカー)中本慶太郎(経4・慶應)が語ったように、日々の練習が今日の試合につながったといえるだろう。
さらに、中本や山中が積極的にゲインを切る場面や、モールによるトライを決めるなど、FW陣が起点となるアタックも多かった。
タレント揃いのBK陣によるアタックに、進化したFW陣のアタックが加わると、対戦校は慶大を封じ込めるのが困難であろう。
また、昨年から出場しているWTB宮本瑛介(経4・慶應)や公式戦以外を含めて数試合出場できていなかったFL(フランカー)川合秀和(総3・國學院久我山)らがチームに戻った。
明治大学戦で復帰した司令塔の古田も「10番としての役割はできているのかな」と徐々に本来の調子を取り戻しつつある。追加点のトライを決め、WTB中島のトライのお膳立てをするなど、存在感を見せつけた。
そして、CTB三木亮弥(総2・京都成章)、宮本恭など、新しい顔ぶれがスタメンに名を連ねた。彼らが試合での経験を積み重ねることと経験豊富な選手の復帰により、慶大の慢性的な課題である選手層の薄さの克服につなげたいところだ。
東海大戦でポジティブな面も多かったが、依然として課題もある。それは後半の失点の急増だ。昨年度の大学選手権の決勝や準決勝を振り返ると、後半の攻防が勝敗に直接つながることが多かった。
選手権の決勝では帝京大学は後半で逆転。準決勝で明大も、後半で大東文化大学に勝ち越し、決勝へ駒を進めた。
このことから勝てるチームには、最後まで守りぬくディフェンス力、最後まで攻め続けるオフェンス力が備わっているといえよう。慶大も後半の強さを手にし、ペナルティなどが減ることでより強いチームへと進化できるに違いない。
春季大会の最終戦となる次の試合の相手は帝京大。今年の春季大会で明大に敗北を喫したが、東海大を1トライに抑え込むなど、実力は健在。帝京大優勢だというのが下馬評だろう。
しかし、「僕たちの力が出せるか出せないかでイーブンな戦いになりうる」(古田)と、9年連続で日本一に輝いている帝京大に勝てる自信を伺えた。
最終戦でどのようなラグビーを見せるか。大学王者を前に、今の慶大の真価が問われる。
慶應義塾大学と帝京大学の対戦は、6月10日(土)午後1:55から、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
文:萬代理人、田中壱規/写真:萬代理人(慶應スポーツ)
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