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スポーツランドSUGOで開催されるスーパーフォーミュラ第3戦。
スポーツランドSUGOで2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が開催される。開幕戦は王座奪還を狙う野尻智紀(TEAM MUGEN)が優勝を飾り、先月オートポリスで行われた第2戦では牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が涙の初優勝を飾った。さまざまなドラマと手に汗を握る好バトルが生まれている今シーズンだが、今回のSUGOは序盤戦の締めくくりとしてポイントの奪い合いが展開されそうだ。
舞台となるスポーツランドSUGOは、シリーズで開催されるサーキットの中でも一番短い全長3.586kmで、決勝レースは51周で争われる。高低差が大きく様々なタイプのコーナーがあるコースという印象だが、一番の特徴は“狭い”ということだ。
通常はフリー走行でマシンのセットアップなど様々な調整や確認を行うが、21台が同時に走ると他のサーキットと比べても他の車両に引っかかる確率が高く、有益なデータを取りづらい状況にある。昨年も日曜のフリー走行2回目でリアム・ローソンがコース上の混雑(トラフィック)で満足に走れず、かなり怒っていたという話を聞いた。
現地での微調整が難しいとなると、これまでのデータをもとに事前に組み上げた“持ち込みセットアップ”が重要となってくる。その点でいくと、以前からSUGOを得意とするダンディライアン勢に注目が集まる。前戦優勝した牧野だけでなく、太田格之進も好調ということを考えると、かなり手強い存在となりそうだ。
ダンディライアン勢は連勝なるか!?
また、昨年のSUGO大会では宮田莉朋が圧倒的な強さをみせて優勝を飾ったが、そのVANTELIN TEAM TOM’Sのマシンを駆るのが坪井翔。開幕戦ではノーポイントに終わったものの、第2戦オートポリスでは後半追い上げる走りで3位に入った。この流れを良い方向に持っていければ、今回もトップ争いに絡んでく昨日は気配がある。加えて、チームメイトの笹原右京も前戦オートポリスではノーポイントに終わったが、今後に向けて大きな手応えを掴んだとのこと。SUPER GTでは悲願の初優勝を飾って勢いに乗っているドライバーということで、今回は上位に絡んできそうな予感だ。
さらに2戦連続で上位に食い込んでいる山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)や山下健太(KONDO RACING)も、後半戦に向けて1ポイントでも多く稼ぎたいところ。なかでも山本はSUGOで2勝した経験を持っているだけに、目が離せない存在となりそうだ。
それに対して“どこに行っても速い”という印象が強くなっているTEAM MUGEN。実はスポーツランドSUGOでは2018年に山本と優勝を飾って以来、チームとしては勝利がない。昨年は野尻が肺気胸での欠場から復帰した1戦で2位を獲得したが、優勝した宮田に大きく離されてのゴールで課題が残った。チームメイトの岩佐歩夢とってはSUGO初挑戦。前回のオートポリスではトップ争いをする活躍を見せたが、一筋縄ではいかないSUGOをどう攻略するのか。2台揃って注目である。
この他にも、挙げれば切りがないほど多くのドライバーが活躍しそうな雰囲気がある今大会。コース全長が短い分、タイム差も接近するため、予選では0.001秒単位で順位が決まるという展開になるだろう。そこで、誰が先行して決勝レースを優位に進めていくのかが、ひとつのポイントとなりそうだ。
戦略面では、ここ数年の傾向を見ると、2021年の福住仁嶺、2022年のサッシャ・フェネストラズともにタイヤ義務が発生する10周目にピットストップを済ませる戦略を選び、最終的に逆転して優勝を飾った。昨年も相手よりも先に仕掛ける“アンダーカット”の戦略を採ったドライバーが上位にきた印象だった。
この傾向に対して各陣営がどんな戦略を立ててくるのか。今回もどのタイミングでピットストップを済ませるかも、大きな見どころとなってくるだろう。
冒頭でも触れた通り、このレースが終わると公式テストが行われるため、第4戦以降は勢力図に変化が出てくる可能性も考えられる。その前に誰がランキングをリードした状態でSUGOを終えるのかが、チャンピオン争いを占うという点でも気にかけておきたいところだ。
そして、今大会で注目の1人となるのが、ITOCHU ENEX TEAM IMPULからデビューを果たす平良響だ。テオ・プルシェールの離脱に伴い、現状で後任のレギュラードライバーが決まっていない19号車に今回乗ることになったのだ。
SUPER GTでも活躍している平良響
昨年スーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオン争いを繰り広げるも、最終大会で木村偉織に逆転されランキング2位に終わった。そんな木村は今季スーパーフォーミュラデビューを果たし、惜敗した平良はフォーミュラのカテゴリーでシートを得ることができなかった。
そんな中で巡ってきたチャンス。チームの発表によると現時点で第4戦以降のドライバーは未定とのことで、平良自身もSNSで「最初で最後のチャンスを切り開けるよう全開魂で頑張ります」と意気込みを披露。ここから先のチャンスを手繰り寄せることができるか、彼にとってはデビュー戦ではあるものの大一番の週末となりそうだ。
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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