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大成功の東京大会!次は初登場のパーマネントサーキット | FIA フォーミュラE世界選手権 2024 第6・7戦 ミサノ プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ大きな話題を呼んだ東京大会「Tokyo e−prix」
3月30日(土)に日本初の市街地自動車レースとして開催され、大きな話題を呼んだ「フォーミュラE」の東京大会「Tokyo e−prix」。皆さんはご覧になられましたか? 東京大会の興奮から僅か2週間しか経っていませんが、「フォーミュラE」は今年初めてとなるヨーロッパでのレースです。今回は4月13日(土)14日(日)の2日間、イタリアのミサノで開催される第6戦&第7戦「Misano e−prix」のレースプレビューをお届けします。
さて、初開催の「Tokyo e−prix」は大いに盛り上がりました。入場無料のFAN VILLAGEを含めて2万人が来場。ゆりかもめの車内からフォーミュラカーが走る姿が見ることができたのも市街地ならではと言える光景でした。
「ニッサン」にとって初のホームレースとなった東京大会では、なんとオリバー・ローランド(ニッサン)がポールポジションを獲得。オーバーテイクが難しい非常にタイトなコースでそのまま優勝かと思いきや、緻密な計算に寄って巻き起こったスリリングなエネルギーマネージメント合戦が勃発。エネルギーセーブを強いられたオリバー・ローランド(ニッサン)は2位に後退するも、ファイナルラップでは首位に立っていたマキシミリアン・ギュンター(マセラティ)に応戦。非常に面白いバトルで最後はギュンターが初の東京大会を制しました。
ド派手な表彰式を含めて、見る人の心を捉えた「Tokyo e−prix」。フォーミュラE初開催は大成功と言えるのではないでしょうか。
東京の次はまたも初コースです。といってもこちらは常設サーキットのミサノ(イタリア)での開催です。「ミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリ」と呼ばれる同サーキットは故マルコ・シモンチェリの名前が冠されていることからも分かる通り、主にMotoGPやスーパーバイク世界選手権など2輪オートバイのレースが開催されるコースとして知られています。
4輪のメジャーイベントとしてはGTワールドチャレンジ・ヨーロッパが開催されているくらいで、F1の開催歴は皆無。過去の開催レースを見てみても、DTM(ドイツツーリングカー選手権)が2018年〜19年に開催されたくらいで、FIA F2やF3といったF1直下のピラミッドにあるカテゴリーの開催は、ごく僅かしかありません。やはり2輪がメインのコースと言えるでしょう。
MotoGP(サンマリノGP)で使われるコースは1周4.2kmありますが、今回「フォーミュラE」で使用されるコースは特設ショートコースとなる1周3.4kmのレイアウトを使用します。クランク状になった本来のターン1、2で折り返し、ターン3から6を使用しないコースとなります。また本来のターン11は高速コーナーですが、ここにシケインが設けられ、コーナーの数は全部で14のレイアウトです。
レイアウトの3分の2が同じであるため、多少なりともコースを知っているドライバーが練習の少ない「フォーミュラE」では有利そうな気がするのですが、ここでレース経験があるドライバーは実は結構居ます。それは2018年、19年のDTMに出ていたドライバーたちです。
ロビン・フラインス(エンヴィジョン)、ニコ・ミュラー(アプトクプラ)、エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)、ジェイク・デニス(アンドレッティ)らがDTMでミサノを経験。2018年のDTMと同時開催されたユーロF3のレースではダン・ティクトゥム(ERT)、サッシャ・フェネストラズ(ニッサン)もミサノでレースをしていました。
ロビン・フラインス(エンヴィジョン)はDTM(Class 1規定車両)のコースレコードを持っていたり、エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)が2018年に2連続表彰台を獲得、2019年のDTM(FIA GT3改)ではニコ・ミュラー(アプトクプラ)が優勝。ジェイク・ヒューズ(マクラーレン)もジュニアフォーミュラ時代にコースレコードを記録しているようです。
今季の「フォーミュラE」はパーマネント(常設)サーキットでの開催が増加しています。年間16戦の内、メキシコシティ、ミサノ、上海、ポートランドの合計7戦がパーマネントサーキットでのレースとなったのです。市街地コースの場合、初開催のコースでは詳細な路面データを得て事前に分析することが難しいと思いますが、パーマネントコースの場合は他のレースから得たデータを元にある程度のシミュレーションが可能ですし、データ解析能力に長けるのはやはりメーカーワークスチームの強みと言えるでしょう。
昨年初開催となったポートランド(アメリカ)では予選デュエルに進んだトップ8の内、「アンドレッティ」「DSペンスキー」「マクラーレン」とインディカーにも参戦するチーム絡みのマシンが4台。そして「ニッサン」パワートレイン勢が4台ともトップ8に進出。ポールポジションはジェイク・デニス(アンドレッティ)が獲得しました。
ミサノの場合ですと、ヨーロッパですからある程度のデータはあると思いますが、DTMやGT3のレースで豊富なデータを持っている「ポルシェ」「マクラーレン」あたりは強いかもしれません。
それにしても、東京でのレースでは「ジャガー」「ポルシェ」が予選から失速。一方で「ニッサン」勢が地元の利点を活かして躍進したのに加えて、「ERT」や「アプトクプラ」といったあまり上位に来ることが少ないチームのドライバーが予選から躍進しました。
ニック・キャシディ
ランキング首位だったニック・キャシディ(ジャガー)は19番グリッドに沈み、そこからいつものように猛烈な追い上げで8位。しかし、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)が5位に入ったことで、ランキングではウェーレインが逆転し、2点差の首位に立ちました。
ミサノは2レース開催ということで、特にウェーレインとキャシディにとってはシーズンの流れを占う意味でも最重要レースと言えるでしょう。東京で活躍したニッサン勢にも注目。3戦連続で表彰台に登り、速さを見せたオリバー・ローランド(ニッサン)がその勢いを維持できるかも含めて見逃せない大会となるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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