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歴史的な東京開催!日本が育てたキャシディがシリーズをリード | FIA フォーミュラE世界選手権 2024 第5戦 東京 プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ現在ランキングトップのニック・キャシディ(ジャガー)
日本初の公道を使用する自動車レースとなる「フォーミュラE」の東京大会「Tokyo e-prix」が3月30日(土)にお台場で開催。今季も全戦を生中継するJ SPORTSでぜひお楽しみください。今回は3月30日(土)の「Tokyo e-prix」のレースプレビューをお届けします。
今季の「フォーミュラE世界選手権」は全10ラウンド16戦での開催。「Tokyo e-prix」はシリーズ第5戦の開催。今シーズンはミサノ、上海、ポートランドなど常設サーキットのレース数が増加し、初開催となる市街地コースは東京が唯一の存在です。それだけに事前シミュレーションができにくい大会ということでシリーズの流れを大きく左右する1戦になるかもしれません。
4レースを終えてシリーズランキング首位で東京大会を迎えるのはニック・キャシディ(ジャガー)。彼がニュージーランドから日本にやってきたのは2015年のこと。全日本F3選手権に参戦し、初年度から7勝を飾る圧倒的な速さを見せました。その後はSUPER GT/スーパーフォーミュラでトヨタの強力な戦力として活躍。2017年にはGT500クラスで王座に輝き、2019年にはスーパーフォーミュラで王座を獲得しました。チャンピオンは逃しましたが、2018年スーパーフォーミュラ最終戦で山本尚貴と演じた死闘は今でも語り草になっていますね。
その後キャシディは「フォーミュラE」に転向し、ワールドクラスの世界でその実力をいかんなく発揮していくことになりました。近年はFIA F2で好成績を残したエリートたちが日本のスーパーフォーミュラに繋ぎの1年として参戦するケースが増えていますが、ニック・キャシディ(ジャガー)は日本のレース環境でプロドライバーとしての地位を確立していった代表格のドライバーと言えるでしょう。
そんなキャシディは昨シーズン、ジャガーのパワートレインを使用する「エンビジョン」でチャンピオン争いを展開。今季はジャガーのフルワークスチームのドライバーとしてエース級の扱いを受けています。キャシディの強みはレースでの強さ、ステディさです。しかし、ブラジルのサンパウロ市街地コースではクラッシュしてしまい、まさかのリタイアに。大幅リードを築いていた2位とのマージンは4点に縮まってしまいました。
彼を追いかけるランキング2位は元F1ドライバーのパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)です。サンパウロで15点縮めることに成功しましたが、ポールポジションから優勝を飾ることができず、東京までにキャシディを逆転できなかったことは痛手。東京での巻き返しが必須です。
ランキング3位はキャシディのチームメイトで大ベテランのミッチ・エヴァンス(ジャガー)。新鋭のチームメイトに比べて影が薄くなりつつありますが、キャシディが落としてしまったサンパウロのレースではきっちり2位フィニッシュし、良い流れを掴みました。
一方、昨年のチャンピオン、ジェイク・デニス(アンドレッティ)は第2戦・サウジアラビア(レース1)で優勝を飾りましたが、表彰台はその1回のみ。混戦のレースで着実にポイントを取っていくのが彼の戦法ですが、1レースのみ開催で不確定要素の多い初開催コースでの「Tokyo e-prix」は本命として名前を挙げておきたい一人です。
日産のエース、サッシャ・フェネストラズ
そして初の母国レースとなる「ニッサン」からはオリバー・ロウランド(ニッサン)が第3戦・第4戦と連続3位表彰台で波に乗っている状態。チームの中ではエース格であるサッシャ・フェネストラズ(ニッサン)も日本はプロレーサーとして育った特別な地であることから好成績を期待したいところです。
東京ビッグサイトに作られた約2.6kmの特設コースは高速コーナリングの区間もありますが、コース幅は日本の道路事情ならではな感じで非常に狭く、アクシデントに遭遇する可能性も非常に高いと予想されます。1レース限りのイベントではありますが、ここで着実にポイントを取れるか取れないかで常設サーキットのレースが増えるシーズン中盤から後半に影響が出てくることになるでしょう。現在の「フォーミュラE」はデータ解析も大きな鍵ですから、リソースが限られるプライベート体制のチームはなおさら東京が重要なレースとなります。
マシンの出力を350kwに一時的にアップさせることができる「アタックモード」を多用したオーバーテイク合戦になるのか、それともアクシデント発生で周回数が増え、各チームのマネージメント能力が問われる波乱の展開になるのか。いずれにしても歴史的な1戦となることは間違いない「Tokyo e-prix」。チケットはすでにソールドアウトになっていますので、ぜひJ SPORTSでその歴史的瞬間をお楽しみください。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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